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「僕の人生を占拠してくれないか?」リバティ広場でのプロポーズ
Occupy My Life (Marriage Proposal at Liberty Plaza)
2011年10月16日 - ビージーとデブ
原文:http://www.youtube.com/watch?v=3KzMT2u0nlE



訳文:
マイク・チェック!

デブ!

僕が君をここに連れてきたわけはね、デブ、このみんなを使って、君がずっと待ち望んでいたあることを伝えたいからなんだ。けれど短くても一年も前から、君への愛を示す機会を待っていたんだよ。君の全て、君が信じるもの全てに対する愛を示す機会を。だから少しばかり言わせてもらえないか。その瞬間が今なんだ。僕が大好きで信じているみんなの声を使って、君に結婚してもらえないかどうか訊きたいんだ。この運動がどうなるかわからない。けれど、僕はそれがこの告白と同じくらい成功することを願っている。だから、デブ、僕の人生を占拠してくれないか?

いいわ!


訳者による書き起こし:
Mic Check!

Deb!

I brought you, Deb, for all these people to give you something you desired for a long time. At least a year, so I say, but I'm waiting for a moment digging up to demonstrate my love for you, all you are and all your believing. So, got my speech a little bit. That moment is now, using all those people that I'm loving and believing and their voices to ask you to marry me. I don't know what is going to happen to this movement, but I hope it has as successful as a marry just gonna be. So, Deb, will you occupy my life?

Yes!


訳者コメント:
 The New York Timesのこの記事経由で知った、「ウォール我を占拠せよ」参加者による愛の告白の場面。女性はデブ・ゼップ(Deb Zep)という名前で、動画は告白した本人がアップロードしたものであるらしい。彼のチャンネルによれば、名前はビージー(Beezy)となっている(付記:Beezy Douglasとのこと)。

 訳者が、聞き取って書き起こしたものの翻訳であるため、正確さには自信がないが、それでも彼らの愛だけは伝わるはずだ。これは人間マイクロフォンが愛を伝えた瞬間だ。

by BeneVerba | 2011-10-23 12:31 | 翻訳 | Trackback | Comments(2)
We Are the 99% (As We Gather Together)
2011年10月20日 - ビリー牧師
原文:
http://www.youtube.com/watch?v=IgEdrh617qs
http://www.nycga.net/resources/declaration/






We are the 99%...
We are the 99%...
We are the 99%...
We are the 99%...

私たちは99%だ……
私たちは99%だ……
私たちは99%だ……
私たちは99%だ……

We are the 99%
We are the 99%
We are the 99%
We are the 99%
We are the 99%
We are the 99%

私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは99%だ

Mic Check
Mic Check
Mic Check

マイク・チェック
マイク・チェック
マイク・チェック

As we gather together in solidarity
To express a feeling of mass injustice
We must not lose sight of what brought us together
We write so that all people who feel wronged
By the corporate forces of the world

私たちは連帯しつつ共に集う
とてつもない不正義に対する感情を表現するために
何が私たちをここに連れてきたのかを見失ったりはしない
私たちはこれを書く、不当な扱いを受けたと感じている全ての民衆が
世界の企業の力によって、不当な扱いを受けている全ての民衆が

Can know that we are your allies
As one people, united

私たちは、あなたの仲間なのだと知ることができるように
一つになった民衆として団結し

We are the 99%
We are the 99%
We are the 99%

私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは99%だ

Mic Check
Mic Check
Mic Check

マイク・チェック
マイク・チェック
マイク・チェック

We acknowledge the reality
That the future of the human race requires
The cooperation of its members
That our system must protect our rights

私たちは次の現実を承認する
人類の未来は要求するのだ
その成員の協働を
私たちの体制は私たちの権利を守るべきなのだ

And upon corruption of that system
It is up to the individuals to protect their own rights
And those of their neighbors
That a democratic government derives its just power from the people

そして腐敗した体制においては
自身の権利を守ることが個人の責務となるのだ
隣人たちの権利を守ることも責務となるのだ
民主政府はその正当な権力を民衆に由来するのだ

But corporations do not seek consent
To extract wealth from the people and the Earth

だが、企業は決して同意を求めたりしないのだ
民衆と地球から富を絞り出すことについて

We are the 99%
We are the 99%
We are the 99%

私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは99%だ

And that no true democracy is attainable
When the process is determined by economic power

そして、真の民主主義は達成できないのだ
その手続きが経済の力によって決定される時には

Mic Check
Mic Check
Mic Check

マイク・チェック
マイク・チェック
マイク・チェック

We come to you at a time
When corporations which place profit over people
Self-interest over justice and oppression over equality
Run our governments

同時に私たちはあなたのところへとやって来た
民衆より利益を重んじる企業が
正義より私欲を重んじる企業が、平等より抑圧を重んじる企業が
私たちの政府を運営しているのだと知らせるために

We are the 99%
We are the 99%
We have peaceably assembled here
As is our right, to let these facts be known

私たちは99%だ
私たちは99%だ
私たちは平和的にここに集まった
私たちの権利として、これらの事実を広めるために

We are the 99%!

私たちは99%だ!


下:もうひとつのヴァージョンも紹介(例によって@byondakiさんから)。こちらも素晴らしい。非常に生々しくパワフル。これがアップロードされた日付は10月18日になっている。いずれにせよ、この数日間に出てきたものだと思われる。それにしても、素晴らしい。ずっと聴いていたい。そして一緒に歌いたくなる。




訳者コメント:
 「ビリー牧師と買い物止めようコーラス(Reverend Billy & The Stop Shopping Choir)」による、「ニューヨーク市の占拠の宣言」の前文の感動的で美しく、力強い楽曲化を紹介する。

 この深く感動的なコーラスの中には、9月29日の「ニューヨーク市の占拠の宣言」に基づいているのはもちろんのこと、その後現れた「We are the 99%」というスローガンや、「人間マイクロフォン」までもが盛り込まれていることがわかるだろう。

 何人もの人が指摘するように、人間マイクロフォンは音楽のコール・アンド・レスポンスを思い起こさせる。ビリー牧師たちは、素晴らしいやり方で、まさにそれを実証して見せたわけだ。こうしたグループが出てくるのも「ウォール街を占拠せよ」運動の面白さであり、可能性だろう。

 話は変わるが、前の記事で紹介した「NY金魚 - ナオミのチャントから、この大陸での太古からの母権民主制を思う」には、こう書かれている。
 ここにいたって、資本主義を批判するのにわれわれは、ナオミやスティグリッツのことばを反復し、反芻し、くり返し、すべてを暗記するまでに声にする。そのおおぜいの声は宇宙に向かってこだまし、99%のわれわれにとっていったいなにが悪かったのか、魂の底まで納得できるような理解が生まれる

 革命とは案外、そんな原始的な方法で個々を変革することなのかもしれないと、いま感じている。

*協調は引用者による。
 NY金魚さんは、ネイティブ・アメリカンの民主主義のあり方に、あるいは、ナオミ・クラインの演説にそれを見ていると思われるが、そこにさらに、この「We Are the 99% (As We Gather Togethor)」を重ね合わせて考えてみるのも、面白い考え方だ。それが何であるのか名指すことは難しいが、コール・アンド・レスポンス的な共働の営みから生まれる共感や合意があるのではないか、と私は今考えている。

 訳に当たっては、「レイバーネット - ニューヨーク占拠宣言:『私たちが99%』の曲ができました」、「虹とモンスーン - Occupy Wall Street-ウォール街を占拠せよ ニューヨーク声明」、「今日、考えたこと - 『ニューヨーク市の占拠の宣言』」を参照した。これらの訳者たちに感謝の言葉を申し上げる。

 なお、原文URL先にあるように、この曲のMPが配布されていることを付け加えておく。


10/23の更新:
 訳文をあらため、歌詞的であるよりも、英語の歌詞を理解する補助とする方向で手直しした。上のコメント欄を、大意を変えないようにしつつ、多少の手直しを加え、さらにNY金魚さんのブログ記事からの引用とそれに対するコメントを付け加えた。

 エキサイト・ブログではTABLEタグが使えないため、苦心の末段差をつけるというやり方で、原文と訳文を併置した。少しでも可読性が増していれば幸いである。

 なお、この機会に述べたい。私のブログに対してもっとフィードバックがほしいと感じている。コメント欄及びトラックバックの承認制は、スパムやレイシスト、歴史修正主義者などの否定されるべき価値観の持ち主に対しての防衛である。また、リンクは自由にしてほしい。

 トラックバックやコメントすることに、気後れしないでほしい。そして、リンクを貼る際には、このブログが参照元であることを明示してほしい。インターネットの片隅の孤独なブロガーから、読者の皆様に対して、時折の私へのささやかな力づけ(エンパワーメント)をお願い申し上げる。

2012/7/8の更新:

 全角空白での表記を止めて、<center>タグを使用して中央揃えとした。

by BeneVerba | 2011-10-22 17:27 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
アメリカの民衆は私たちを支持している
The American People Agree with Us
2011年10月20日 - マイケル・ムーア
原文:
http://www.youtube.com/watch?v=6bT8ust5oIw
http://www.youtube.com/watch?v=xmqPp1cncek






 君たちは、この国の歴史において、最も重要な運動の一つを始めた。なぜなら、この国は民主主義国家として建設されたからだ。それはつまり、私たち民衆が統治するということだ。そして、私たちの代表としてワシントンにいる人たちは、私たちの意志によってのみ、そこにいるということだ。

 You have started one of the most important movements in the history of this country. That's because this country was established as a democracy. That meant that We the People were to govern. And that those who represent us in Washington are only there by the will of the people.

 どの世論調査も、アメリカの民衆の大半が、私たちを支持していること示している。ここリバティ広場にいる私たちをだ。私たちは、今夜ここに来られなかったその大半のアメリカの民衆の代表として、そして代理としてここにいるのだ。

 Every single public opinion poll shows that the vast majority of the American people agree with us, here in Liberty Plaza. We are here as representatives and stand-ins for that vast majority of people who can't be here tonight.

 だが、この数週間この国を駆け回って言えることは、君たちがここに彼らの代理として存在することに、本当に多くの人々が感謝しているということだ。ありがとう!

 But I'm here to tell you, having traveled across this country in the past few weeks: There are so many people grateful for you being their stand-ins. Thank you!





 私は、これからキース・オルバーマンと対談する。なぜなら、主流派メディアにこの出来事を、この蜂起を、この民衆のための反逆を報道させることが、当初からの私の仕事だからだ。

 I'm gonna go talk to Keith Olbermann now because it's been my job since the beginning to get the mainstream media to cover this event, this uprising, this rebellion for the people.

 そして、私は大勢の中の一市民であることに光栄だ。私がここにいることに感謝させてほしい。私がこの運動の一部であることに感謝したい。私は、君たちと一緒にこの運動の一部でいられて、とても幸せだ。

 And I am honored to be just one citizen amongst many. Thank you for being here. Thank you for being part of this with me. I'm so happy to be part of this with you.

 私たちは、ここでみな平等だ。声を上げ続けよう。決して諦めないようにしよう。この闘いは長いものになるだろう。私たちはどこにも去らない!

 We're all equals here. Let's keep our voices strong. Let's not ever give up. This struggle may be long. We're not going anywhere!



訳者コメント:
 「ウォール街を占拠せよ」の常連であるマイケル・ムーアのごく短い演説を、少しでも「ウォール街を占拠せよ」運動に、マイケル・ムーアに興味を持ってもらえないかと思って、原文の書き起こしと一緒に掲載してみた。

 彼のYouTubeのチャンネルは、どうやら書き起こしを一緒に掲載する方針らしいので、おすすめだ。英語と共に今のアメリカを知ることができると思うのだが、どうだろう。誰かそういう風にでも関心を持ってくれる人が現れたら良いのだが。

 私的に気になるのは、以前から感じていたことだが、「ウォール街を占拠せよ」運動はアメリカ建国の原点に(そこには先住民の問題もあるとはいえ)立ち返ろうとしているのではないかということ、そして、やはり代表制民主主義の機能不全が問題なのではないかということだ。

 「ウォール街を占拠せよ」は、あまりにも行き過ぎた資本主義に対する民主主義の反抗なのかもしれない。

 ところで、先住民に関連しては、ブログ「壊れる前に… - 占領と連帯」と「NY金魚 - ナオミのチャントから、この大陸での太古からの母権民主制を思う」の二つの記事を興味深く読んだので、併せて紹介したい。

10/26の追記
 その後、この翻訳を元にスピーチの動画に字幕を付けたので、このエントリの中で紹介しておく。

by BeneVerba | 2011-10-22 05:50 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
OWSスナップショット
OWS Snapshot
2011年10月19日 - ウォール街を占拠せよ
原文:http://occupywallst.org/article/ows-snapshot/


 「ウォール街を占拠せよ」運動は、活気で溢れかえっている。リバティ広場の隅々で、人々は企業の貪欲さに対して団結し、恐れることを拒否し、沈黙することを拒否している。地元のコミュニティ・センターや近隣のアトリウム、周辺の公園やカフェといった場所は、行動の計画を練り、地域の団体と調整し、報道関係者と話をし、お互いに助け合い、この運動への連帯を高めようとしているワーキング・グループたちで律動している。我々は、ウォール街の富、貪欲、窃盗のすぐそばで、大きく変化しながら成長し続けているのだ。

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「ウォール街を占拠せよ」のハイライト:

10月17日、1ヶ月記念の夜に:
 リバティ広場は美しく、都市のランプの光の下で輝いていた。占拠者たちは、清浄な通路を静かに流れ行き、都市計画委員会によって設計された新しい空間で、言葉を交わし合った。我々は、ロウソクに灯りを灯して、「我々は移動されない(We Shall Not Be Moved)」を歌った。我々は、1ヶ月記念ケーキを分かち合った。

 1ヶ月だ!1つの医療テントが設置されて、数十名の警察官がそれを取り壊そうとして列をなした時には、彼らは何百もの占拠者たちと対面しなければならなかった。ジェシー・ジャクソン牧師も参加して、我々は腕をつないでスクラムを組み、占拠者たちはニューヨーク市警と対決し、医療テントは今も同じ場所にある。これは2ヶ月目を迎える驚くべきやり方ではないか!


善き隣人たちであること:
 地域連携委員会は、猛烈なる活動を続けている。総会(General Assembly)が、5日前に「善き隣人政策(Good Neighbor Policy)」を承認したからだ。合意を完全に実施し、ビラを通して政策を広め、広場中の目立つ場所にポスターを飾り、口コミで伝えるために、ノンストップで働いている。

 ドラムの演奏は、1週間前における弾幕のような1日10時間もの演奏から、思い切って短縮された。我々は、ドラムの演奏を最優先事項と見なしつつも、1日2時間のポリシーを実行するため、瞑想を活用しながら、良識と互いの尊重とともに、ドラマーたちと活動を続けている。


ノー・ヘイト:
 それぞれ異なる出身の多くの人々が、1%の貪欲、企業の貪欲への偽の解決法、組合潰し、公共サービスの削減と民営化といったものから、悪影響を受けてきた。99%の人々は多様であり幅広い。だが、我々には連帯という原則があり、より良い世界――包摂と、尊厳と、愛と尊重の世界――を作るために、共に働いているのだ。「ウォール街を占拠せよ」に、レイシズム、セクシズム、トランスフォビア、移民への憎悪、ゼノフォビア、憎悪一般を受け入れる余地はない。


要求:
 「ウォール街を占拠せよ」のために、まさに要求を出すところだと主張するとあるグループが、話題に飢えたメディアの注目を集めた。我々の存在こそが要求である(We are our demands)。「ウォール街を占拠せよ」は対話であり、組織であり、1%の富裕層による専制政治を終わらせることに狙いを定めた行動なのだ。

 土曜日に我々は連帯して、腐敗した銀行システムに反対し、戦争に反対し、差し押さえに反対するデモを行った。我々は、「大き過ぎて潰せない」金融会社をどうやって解散させるかについて議論し、過剰なまでのウォール街の重役連中のボーナスをどうやって止めさせるかについて議論し、これらの危険な組織の占有から我々のお金を取り除こうとしている時に逮捕された

 我々は、彼らが悲しく寂しい思いをしないですむように1%の人々の重役会議室を占拠し、合法的に99%の人々の家を盗み取るためにぶっ壊れたシステムを使う差し押さえ法廷を占拠したのだ。我々は、軍の徴兵募集センターの正面で、アメリカの戦争を終わらせることを要求するデモを行い、そして数万もの我々は、大量消費社会のネオン製の心臓たるタイムズ・スクエアまで、経済的な正義を求めて行進したのだ。


 「ウォール街を占拠せよ」は、2011年の9月17日にマンハッタンの金融街にあるリバティ広場で始まった、民衆によって力を受けた運動であり、今や合衆国の100を越える都市に広がり、世界の1,500を越える都市にまで広がっている。「ウォール街を占拠せよ」は、腐敗した大銀行と、民主主義に対して力を振りかざす無責任な多国籍企業と、1世紀近くで最も大きな景気後退を引き起こした経済崩壊において、生みの親を務めたウォール街の役割に対して、反撃する。この運動は、エジプトと世界の民衆蜂起に鼓舞され、1%の最富裕層がどのように我々の未来を盗み取る危険な新自由主義のアジェンダのルールを制定しているかを、暴くためのものである。


やすし玉キングさん撮影の写真:
 原文は以上だが、ニューヨーク在住、「ウォール街を占拠せよ」にも何度も参加しているやすし玉キングさんが、この記事が掲載されたまさに当日に撮影した「善き隣人政策」の写真を、感謝しつつ、紹介する(クリックにて拡大)。
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上:「『ウォール街を占拠せよ』は、リバティ広場のあらゆる場所でのドラッグやアルコールを全面的に禁止する(zero tolerance)」「全ての人に対する暴力及び言葉の暴力を全面的に禁止する」などの条文が見える。前文として「9.11のトラウマから回復しつつある地元コミュニティとの対話に従い」とある。

下:左から二番目に「善き隣人政策」のポスター。その左の「Community Affairs」というポスターは、やすし玉キングさんによれば、連絡を取りたい人のための連絡先の掲示とのこと。運動を開かれたものにするためのこうした運営にも注目したい。彼らはひょっとして無職かもしれないが、間違いなく働いているのだ。
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訳者コメント:
 「ウォール街を占拠せよ」運動が1ヶ月記念を迎えた翌々日に、自らのアイデンティティを確認するかのように発表された文章。お読みになった通り、この彼ら自身によるスナップショットでは、「ウォール街を占拠せよ」運動のあり方がはっきり示されている。

 「占拠」を続けるために善き隣人であること、あらゆる差別へのきっぱりとした反対を表明すること、これまで何度も繰り返された運動への非難に明確に答えていることなどだ。中でも、「『ウォール街を占拠せよ』に憎悪一般を受け入れる余地はない」という言葉と、「我々の存在こそが要求である」という言葉は、端的にこの運動のあり方を示すものだろう。

 アメリカの、そして日本のメディアでも「占拠せよ」運動に対して、「要求が具体的でない」あるいは「要求がバラバラだ」という批判が繰り返されてきた。しかし、彼らは自らの存在と行動で要求を既に示している。それが「占拠せよ」運動の意義ではないだろうか。

 「まともで包摂的な社会を」 とナオミ・クラインは演説した。日本の「占拠せよ」 運動が今後どうなるかは不明である。「我々は99%だ」 という世界的に共有されたスローガンの下、日本でも再び人々が集い、「占拠」が行われる時、そこがどんなマイノリティも排除しない開かれた社会の雛形となることを強く願う。

 なお、読みやすさを考慮して、特に日本語におけるウェブ上の文章は、細かく段落分けするべきだとの訳者の判断により、原文の段落を適当に段落付けしたことをお断りしておく。

 最後に、自らが撮影した写真の転載を快く許諾してくださったやすし玉キング(@yasushitamaki)さんに、あらためて心よりのお礼の言葉を申し上げる。

by BeneVerba | 2011-10-20 09:14 | 翻訳 | Trackback(1) | Comments(0)
一%の最富裕層アメリカ人について知っておくべき五つの事実
How Unequal We Are: The Top 5 Facts You Should Know About The Wealthiest One Percent Of Americans
2011年10月03日 - シンクプログレス
原文:http://thinkprogress.org/economy/2011/10/03/334156/top-five-wealthiest-one-percent/


 数百人の抗議者たちによる目下継続中のウォール街占拠は三週目――そして、抗議活動はボストンやロサンジェルスといった他の都市に拡大中だ――を迎え、デモ参加者は新しいスローガンを掲げた:「我々は九九%だ(We are the 99 percent)」。このスローガンは、九九%のアメリカ人と最も豊かな一%のアメリカ人と間の経済的な闘いについて触れたものだ。最も豊かな一%のアメリカ人は、中産階級の富をすり減らして、ますます国富において大きなシェアを占めるようになっている。

 一%の最富裕層アメリカ人が正確にはどれほどお金持ちであるかを知って、あなたは衝撃を受けるかもしれない。シンクプログレスは、アメリカのこの超富裕階級に関する五つの事実をまとめた。


1. 一%の最富裕層アメリカ人が、アメリカの富の四〇%を所有している:

 ノーベル賞受賞者のジョセフ・スティグリッツが指摘したように、最富裕層の一%のアメリカ人は今や国家の富の四〇%を所有している。社会学者のウィリアム・ドムホフ(William Domhoff)は、二〇〇七年の統計を用いて、一%の最富裕層アメリカ人が四二%の金融資産を所有しているという、この富の不均衡を図示している(自己資本合計は個人の住宅の価格を引いたもの)。最下部の八〇%はどれほどの富を所有しているのだろうか?たったの七%である:

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 スティグリッツが指摘したように、この不均衡は過去のそれよりもひどくなっている。二五年前には1%の最富裕層は、三三%の国家の富を所有していた。


2. 一%の最富裕層のアメリカ人は、国民所得の二四%を得ている:

 今日では、一%の最富裕層アメリカ人がほぼ四分の一の国民所得を得ているが、一九七六年にはたった九%を得ているだけだった――つまり、彼らの国民所得におけるシェアは、およそ三〇年で三倍になった。


3. 一%の最富裕層アメリカ人は、アメリカの株式、債券、投資信託の半分を所有している:

 政策研究所(The Institute for Policy Studies)は、金融投資の所有における非常に大きな不均衡を図示している。五〇%の最下層のアメリカ人は、これらの投資のたった〇.五%を所有するだけであり、無に等しい:

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4. 一%の最富裕層のアメリカ人は、わずか五%の個人的負債を抱えるだけである:

 二〇〇七年の統計を用いて、社会学者のウィリアム・ドムホフは、一%の最富裕層が五%の個人的負債を抱えているのと対照的に、九〇%の最下層が七三%の個人的負債を抱えていると指摘している

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5. 一%の最富裕層のアメリカ人は、一九二〇年代以来最も多くの国民所得を得ている:

 予算政策優先度センター(Center for Budget and Policy Priorities)が、二〇〇七年のデータを用いたこのチャートで図示するように、一%の最富裕層アメリカ人は、国民所得における非常に大きな割合を占めるにとどまらず、彼らの国民所得におけるシェアは大恐慌の時代よりも大きくなっている:

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 エリザベス・ウォーレン教授が解説したように、「この国には、独力で豊かになった人など誰もいない。誰もだ。隠された社会契約の一部は、あなたが何かを得るためには、次にやってくる子どものために先に支払う、ということだ」。さらに頻繁にこの現象は起こり続け、デモ参加者たちに、通りへと繰り出す理由を与え続けている。



訳者コメント:
 アメリカの不平等をわかりやすくまとめた簡潔な記事。原文にあるリンクはThinkProgress内の記事へのリンクを除いて全てそのまま。ただし、訳者はそれらの全てを消化しきれなかった。

 「total net worth minus the value of one’s home」というのをどう訳するか、最後のエリザベス・ウォーレン教授の言葉をどう訳するか、考えあぐねた。どなたかご教示を。


2012/6/3:
 若干の語句の修正と表記の統一。わからなかった部分を「自己資本合計は個人の住宅の価格を引いたもの」と訳してみた。題名を「一%の最富裕層アメリカ人について知っておくべき五つの事実」に変更。

by BeneVerba | 2011-10-19 20:22 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
民主主義と資本主義の結婚は終わった
The Marriage Between Democracy and Capitalism is Over
2011年10月09日 - スラヴォイ・ジジェク
原文:
http://occupywallst.org/article/today-liberty-plaza-had-visit-slavoj-zizek/
http://www.imposemagazine.com/bytes/slavoj-zizek-at-occupy-wall-street-transcript
http://beneverba.exblog.jp/16220243/

 私たちは負け犬と呼ばれています。しかし、真の負け犬たちはあそこウォール街にいます。彼らは、数十億もの私たちのお金で、救済措置を受けたのです。私たちは社会主義者と呼ばれています。しかし、ここには既に富裕層のための社会主義が存在しています。彼らは、私たちが私有財産を尊重していないと言います。しかし、二〇〇八年の金融崩壊においては、ここにいる私たちの全員が、昼夜の境なく数週間の破壊活動に及ぶよりも多く、苦労の末に手に入れた私有財産が破壊されたのです。

 彼らは、私たちは夢を見ているのだと言います。真に夢を見ている人というのは、ものごとが永遠にそのままの状態であり続けることが可能だと考えている人たちのことです。私たちは夢を見ているのではありません。私たちは、悪夢へと変わろうとしている夢から、覚めつつあるのです。私たちは何一つ破壊していません。私たちはただ、どのように体制が自壊するのかを目撃しているのです。

 私たちがみな知っているカートゥーンの古典的な場面があります。断崖へと到達した猫が、下には何もないという事実を無視して、そのまま歩き続けるのです。下を見てそのことに気づいた時に、ようやく落下します。それが私たちがここでやっていることです。私たちは、ウォール街の面々にこう言っているのです。「おい、下を見ろ!」と。

 二〇一一年の四月中旬、中国政府は、別の現実やタイム・トラベルを含む内容のTV、映画、小説を、全て禁止しました。これは中国にとって良い兆候です。つまり、人々が未だオルタナティブを夢見ていることを意味しているからです。そのため、そうした夢を禁止しなければならなかったのです。ここでは、そのような禁止は必要ありません。なぜなら、支配体制が私たちの夢見る能力を抑圧すらしないからです。私たちが普段観ている映画を思い浮かべてください。世界の終わりを想像することは容易です。小惑星が地球に激突して、全ての生命体が絶滅するとか、そういったたぐいのものです。しかし、資本主義の終焉を想像することはできません。

 それでは一体、私たちはここで何をしているのでしょうか?ここで一つ共産主義時代の、素晴らしく、古いジョークをお話しさせてください。一人の男が、東ドイツからシベリアへと、働くために送られました。彼は、自分の手紙が検閲官によって読まれるであろうことを知っていました。そこで自分の友達にこう言いました。「暗号を決めておこう。もし、私から受け取った手紙が青いインクで書かれていたら、私の言っていることは真実だ。もし赤いインクで書かれていたら、嘘だ」。

 一ヵ月後、彼の友達は最初の手紙を受け取りました。全てが青いインクで書かれていました。その手紙にはこう書かれてました。「ここは全く素晴らしいところだ。商店はおいしい食べ物で一杯だ。映画館では西側の面白い映画をやっている。アパートメントは広々として豪華だ。ここで買えないものと言ったら、赤いインクだけだ」。

 私たちは、このようなあり方で生きているのです。私たちには、私たちが望むあらゆる自由があります。私たちには、ただ赤いインクがないだけなのです。私たちの不自由を明確に表すための言語が。私たちがそういう風に話すようにと教えられた自由についての話法――「テロとの戦い」とかそういったことです――が、自由を偽ってしまうのです。そして、それがあなたたちがここでしていることなのです。あなたたちは、私たちみなに赤いインクを授けているのです。


 そこには危険もあります。自分自身と恋に落ちないようにしてください。私たちはここで楽しい時を過ごしています。だが、覚えておいてください。カーニバルは安上がりなのです。重要なのはその翌日、私たちが日常の生活に戻らねばならなくなった時です。そこに何らかの変化はあるのでしょうか?私はあなたたちに、これらの日々を「ああ、私たちは若く、全ては素晴らしかった」とか、そういった想い出にしてほしくありません。

 覚えておいてください。私たちの基本的なメッセージは、「私たちはオルタナティブについて考えることを許されているのだ」ということです。タブーは破られました。私たちは最善の可能世界に住んでいるわけではないのです。しかし、この先に長い道のりがあります。そこには真に困難な問いが、立ちはだかっています。私たちは、私たちが何を望んでいないかを知っています。ですが、私たちは一体何を望んでいるのでしょう?どのような社会組織が資本主義の代わりとなることができるのでしょう?私たちはどのようなタイプの新しいリーダーを望んでいるのでしょう?

 覚えておいてください。問題は腐敗でも貪欲でもありません。腐敗へと駆り立てる体制が問題なのです。敵だけに注意するのでなく、既にこの抗議運動を薄めようと画策している偽の友にも注意してください。あなたが、カフェイン抜きのコーヒーを、アルコール抜きのビールを、脂肪抜きのアイスクリームを渡されるのと同様なやり口で、彼らはこれを無害で道徳的な抗議運動に変えようとするでしょう。カフェイン抜きの抗議(A decaffienated protest)です。


 私たちがここにいる理由は、私たちがこの世界にうんざりしているからなのです。数ドルをチャリティに寄付することで、コーラの缶をリサイクルすることで、もしくは、スターバックスのカプチーノを買うと、その一%が飢えに苦しむ第三世界の子どもたちのところに行くことで、私たちをいい気分にして、それで良しとしているこの世界に。労働と拷問を外部に委託したその後で、結婚仲介業者が今や私たちの性生活ですら外部に委託しているその後で、私たちの政治的参加もまた長い間委託されるに任せていたことを、私たちは今や理解しています。私たちはそれを取り戻したいのです。

 もし、共産主義が一九九〇年に崩壊した体制を意味するのならば、私たちは共産主義者ではありません。今日では、それらの共産主義者たちがもっとも能率的で冷酷な資本主義者であることを、思い起こしてください。今日の中国には、アメリカの資本主義以上にダイナミックな資本主義が存在しますが、それは民主主義を意味しません。それが意味することは、あなたが資本主義を批判しようとする際に、まるであなたが民主主義に反対しているかのように、脅されるような真似を許してはならないということです。民主主義と資本主義の結婚は終わったのです。


 変革は可能です。ところで、今日私たちは何を可能だと見なしているのでしょう?メディアを追いかけてみましょう。一方では、テクノロジーとセクシャリティーにおいて、全てが可能であるかのように見えます。月まで旅行に出かけることも可能です。遺伝子工学によって不死になることも可能です。動物であれ何であれとセックスすることも可能です。しかし、社会と経済の領域を見渡してみると、そこではほとんど全てのことが、不可能だと見なされているのです。

 あなたが富裕層の税率をちょっとばかり引き上げたいと言えば、「それは不可能だ、競争力を失う」と彼らは言うのです。あなたがもっとヘルスケアにお金がほしいと言えば、「それは不可能だ、全体主義国家のやることだ」と彼らは言うのです。不死になることを約束されているのに、ヘルスケアに費やすお金をほんの少しも上げることができない世界は、どこかが間違っているのではないでしょうか。

 おそらく私たちの優先順位を、ここできちんと設定することが必要なのでしょう。私たちはより高い生活水準など望んでいないのです。私たちはより良い生活水準を望んでいるのです。たった一つの意味において、私たちが共産主義者(コミュニスト)であるのは、私たちはコモンズに配慮しているのだということです。自然のコモンズ、知的所有権によって私物化されたもののコモンズ、遺伝子工学のコモンズ。このために、このためだけに私たちは闘うべきなのです。


 共産主義は間違いなく失敗しました。しかし、コモンズの問題がまだここにあります。彼らは、ここにいる私たちは非アメリカ的だと言います。しかし、自分たちこそが本当のアメリカ人だと主張する保守派原理主義者たちは、何かによって気付かされなければなりません。キリスト教とは何でしょうか?それは聖霊です。聖霊とは何でしょうか?それは、お互いへの愛で結びついた、信じる者たちによって構成される平等主義の共同体です。そして、自らの自由と責任を所有する者だけが、それをなすことができるのです。

 この意味において、聖霊は今ここに存在します。そして、あそこウォール街にいるのは、涜神的な偶像を崇拝する異教徒どもです。だから、私たちに必要なのは忍耐だけです。私が恐れているたった一つのことは、私たちがいつの日にか家に帰り、一年に一度会うようになり、ビールを飲みながら、ノスタルジックに「私たちは、なんて素敵な時をあそこで過ごしたのだろう」などと想い出に耽るというものです。そういうことにならないように、自らに誓いましょう。


 私たちは、人々がしばしば何かを欲するのに、本当にはそれを望もうとしないことを知っています。どうか、あなたが欲するものを望むことを恐れないでください。

 どうもありがとうございました!



訳者コメント:
 昨日投稿した翻訳を別のソースによって補完したもの。「Don't fall in love with yourself」と呼ばれているようだが、「民主主義と資本主義の結婚は終わった」という題名はそのままとした。

10/19の更新:
 ウェブ上の文章においては、一つの段落に文字を詰め込みすぎるのは、読みにくいと判断したため、段落分けを細かくした。数カ所のみ、前後どちらの段落に入れるか変えた部分があるが、訳文の変更はなし。

10/30の更新:
 今回の更新では、基本的に、この翻訳を元に作成した日本語字幕付き動画を作る際に訳を見直した部分を、今度はこの翻訳そのものに反映した。だが、改めて気づいた部分も併せて変更した。

 つまり、原文URLに書いた通り、二つの英文書き起こしとジジェクのスピーチの動画を参照したのだが、それらのそれぞれ異なる部分に改めて気づき、思ったよりも大変な作業になった。混乱するかもしれないが、現時点での私にできる限りでのベストな訳文がこれ。

 少し煩わしくなるが、注意すべきと思われるいくつかの変更点を以下に書き記す。

変更前:もし規則が破られるのなら、私たちは可能な限り最善の世界に住んでいるわけではないのです。
変更後:タブーは破られました。私たちは最善の可能世界に住んでいるわけではないのです。

 この部分は「rule」とも「taboo」とも聞こえる。参照した二つの書き起こしのそれぞれで違っている。何度もスピーチの動画をリピートしたが判断つきかねた。「taboo」とした方が意味が取りやすいと思うのだが、どうだろうか。

変更前:カフェイン抜き過程(A decaffienated process)です。
変更後:カフェイン抜きプロセス(A decaffienated process)です。

 この部分、「process」とも「protest」とも聞こえる。上と同様に判別がつきかねるが、どうしても「protest」とは聞こえなかった。もし、そうであるならば「カフェイン抜きのプロテスト」ということになる。どちらにしろ、ジジェクはそれを否定している。

変更前:それが意味するのは、もしあなたが資本主義を批判しようとするなら、まるであなたが民主主義に反対しているかのように、脅されかねないということです。
変更後:それが意味することは、あなたが資本主義を批判しようとする際に、まるであなたが民主主義に反対しているかのように、脅されるような真似を許してはならないということです。

 今回の更新で一番重要な変更。ジジェクは民主主義と資本主義が一体であるかのように見えた状態は終わったのだから、資本主義を批判することに躊躇するな、と言っている。それは、これのすぐ後の「民主主義と資本主義の結婚は終わった」という言葉へと続く。

変更前:ありふれたもの(the commons)を望んでいるという意味においてのみ、私たちは共産主義者(communists)なのです。自然の共有権(the commons)。
変更後:たった一つの意味においてのみ、私たちがコミュニストであるのは、私たちはコモンズを望んでいるのだ、ということです。自然のコモンズ。

 この前後の文章はいろいろな含みがあると思うのだが、「the commons」の訳を「コモンズ」で統一することにした。それに合わせて、この部分のみ「共産主義者」を「コミュニスト」に変えた。

10/31の更新
 ジジェクが10月26日付で英ガーディアン紙に寄せた論説「Occupy first. Demands come later(まず占拠せよ、要求はそれから)」を読んだところ、これがこの「ウォール街を占拠せよ」でのスピーチを、ジジェク自身が書き言葉として定着させたような内容のものだということがわかった。

 これで、前回の更新で悩んだばかりの聞き取りの問題が解決した。ごく簡単に言うと、ジジェクは「rule」ではなく「taboo」、「process」ではなく「protest」と書いている。また、他に「まず占拠」に合わせて変えた箇所や、それを読んではっきりした誤りを訂正した部分などが数カ所ある。

 それにしても、ジジェクの発音はとても「protest」には聞こえない。

2012/5/6の更新
 これまで「常に(always)」としていたところを「既に(already)」とするなど、細かな修正。

5/16の更新
 昨年10/30の追記で触れた動画とは別に、二分割されていない動画を、新たにYouTubeにアップロードしたことを機会に、訳文全体の見直し。また、Artamikaさんから訳文についての指摘をいただき、これも反映した。

 ついでながら、先日発売された『私たちは“99%”だ――ドキュメント・ウォール街を占拠せよ』に所載の同じジジェクの講演は、「自分自身に恋するなかれ(Don't Fall in Love with Yourselves)」となっていることを付言しておく。この翻訳は、動画を参照せずにテキストから訳を起こした疑いが濃く、拙訳には参照してない。

by BeneVerba | 2011-10-17 09:53 | 翻訳 | Trackback(1) | Comments(4)
民主主義と資本主義の結婚は終わった
The Marriage Between Democracy and Capitalism is Over
2011年10月09日 - スラヴォイ・ジジェク
原文:http://occupywallst.org/article/today-liberty-plaza-had-visit-slavoj-zizek/

パート1





 ……2008年の金融崩壊では、ここにいる私たちが昼夜の境なく数週間の破壊活動に及んだとしても達成できないほど、苦労の末に手に入れた私有財産が多く破壊されました。彼らは、私たちは夢を見ていると言います。本当の夢を見ている人というのは、ものごとが永遠にそのままであり続けると考えている人々のことです。私たちは夢を見る人ではありません。私たちは悪夢へと変わろうとしている夢から覚めつつあるのです。私たちは、何も破壊していません。私たちはただ、どのように体制が自壊するのかを目撃しているのです。私たちがみな知っているカートゥーンの古典的なシーンがあります。荷車(cart)が断崖に到達します。それなのに、下には何もないという事実を無視して、進み続けるのです。下を見てそのことに気づき、ようやく落下します。それが私たちがここでやっていることなのです。私たちは、ウォール街の面々にこう言っているのです。「おい、下を見ろ!」と。(歓声)

 2011年の4月、中国政府は、別の現実やタイム・トラベルを含む内容のTV、映画、小説を全て禁止しました。これは中国にとって良い兆候です。すなわちこれが意味するのは、人々が未だオルタナティブを夢見るためには、そうした夢を見ることを禁止するべきだ、ということです。ここではそのような禁止はありません。なぜならこの支配体制は、私たちの夢見る能力を抑圧すらしないからです。私たちがいつも観ている映画を思い浮かべてください。世界の終わりを想像することは容易です。小惑星が地球に激突して、全ての生命体が絶滅するとか、そういったたぐいのものです。しかし、資本主義の終焉を想像することはできません。それでは私たちはここでいったい何をしているのでしょう?ここで、古い共産主義者の時代の素晴らしいジョークを一つお話しさせてください。

 ある男が、東ドイツからシベリアへと、働くために送られました。彼は自分の手紙が検閲官によって読まれるであろうことを知っていました。そこで、彼は自分の友達にこう言いました。「暗号を決めておこう。もし、私から受け取った手紙が青いインクで書かれていたら、私の言っていることは本当だ。もし赤いインクで書かれていたら、嘘だ」。一ヶ月後、彼の友達は最初の手紙を受け取りました。全てが青いインクで書かれていました。その手紙にはこう書かれてました。「ここは全く素晴らしいところだ。商店はおいしい食べ物であふれている。映画館では西側の楽しい映画が観られる。アパートは広々として豪華だ。ここで手に入らないものと言ったら赤いインクだけだ」。

 私たちはこのようなあり方で生きています。私たちには、私たちが望む全ての自由があります。私たちには、ただ赤いインクがないだけなのです。私たちの不自由を明確に表現するための言語が。私たちがそういう風に話すようにと教えられた、自由やテロとの戦いなどについての話し方が、自由を偽ってしまうのです。そして、それがあなたたちがここでしていることなのです。あなたたちは、私たちに赤いインクを授けているのです。

 これには危険もあります。自分自身と恋に落ちないようにしてください。私たちはここで素晴らしい時を過ごしています。だが、覚えておいてください。カーニバルは安上がりなのです。重要なのはその翌日です。私たちが日常の生活に戻る時、そこには何の変化もないでしょう。私はあなたたちに、この日々を「ああ、私たちは若く、全ては素晴らしかった」とか、そういった思い出にしてほしくありません。私たちの基本的なメッセージを覚えておいてください。私たちは、オルタナティブについて考えることを、許されているのだということです。あの規則は破られました。私たちは、可能な限り最善の世界に住んでいるわけではないのです。この先に長い長い道のりがあります。真に困難な問いに我々は直面しています。私たちは、私たちが何を望んでいないか知っている。だが、私たちは一体何を望んでいるのでしょう?どのような社会組織が資本主義の代わりになるのでしょう?どのようなタイプのリーダーを私たちは望んでいるのでしょう?

 覚えておいてください。問題は腐敗でも貪欲でもありません。問題はあなたたちに諦めるようとさせる体制なのです。敵だけに注意するのでなく、既にこの過程を薄めようとしている偽の友にも注意してください。カフェイン抜きのコーヒーを、アルコール抜きのビールを、脂肪抜きのアイスクリームを、あなたが受け取るのと同様なやり方で。彼らはこれを無害で道徳的な抗議運動に変えようとするでしょう。彼らは…[判別不能]…と考えています。私たちがここにいる理由は、私たちがコーラの缶をリサイクルする世界にうんざりしているからなのです……


パート2





 ……スターバックスのカプチーノ。1%の富裕層が、飢えに苦しむ世界の子どもたちのところにおもむく光景は、充分に私たちを慰めます。労働と拷問を外注にした後でも、です。結婚仲介業者が今や私たちの性生活ですら日常的に外注している、その後でもです。

 (あまりにも聞き取りづらいため聴衆の方から)マイク・チェック。

 今や私たちは、私たちの政治的参加もまた長い間外注されるに任せていたことを、理解しています。私たちはそれを取り戻したいのです。もし共産主義が1990年に崩壊した体制を意味するのならば、私たちは共産主義者ではありません。今日では彼ら共産主義者たちが能率的で冷酷無比な資本主義者であることを思い出してください。今日の中国では、アメリカの資本主義以上にダイナミックな資本主義が存在しますが、民主主義は存在しません。それが意味するのは、もしあなたが資本主義を批判しようとするならば、まるであなたが民主主義に反対しているかのように、脅されかねないということです。民主主義と資本主義の結婚は終わったのです。

 変革は可能です。ところで、今日私たちは何を可能だと見なしているのでしょう?メディアを追いかけているだけです。一方では、テクノロジーとセクシャリティーにおいて、全てが可能であるかのように見えます。月まで旅行に出かけることも可能です。遺伝子工学で不死になることも可能です。動物であれ何であれとセックスすることも可能です。しかし、社会と経済の領域を見渡してください。そこでは、ほとんど全てのことが不可能だと見なされているのです。あなたが富裕層の税率を、ちょっとばかり引き上げたいと言えば、彼らは「それは不可能だ、競争力を失う」というのです。あなたがもっとヘルスケアのお金がほしいと言えば、彼らは「それは不可能だ、全体主義国家のやることだ」と言うのです。不死になることを約束されているのに、ヘルスケアに費やすお金をほんの少し上げることもできない世界は、どこかが間違っているのです。おそらくそれは…[判別不能]…私たちの優先事項をここできちんと設定しましょう。私たちは高い生活水準など望んでいないのです。私たちはよりましな生活水準を望んでいるのです。ありふれたもの(the commons)を望んでいるという意味においてのみ、私たちは共産主義者(communists)なのです。自然の共有権(the commons)。知的所有権によって私物化されたものの共有権。遺伝子工学の共有権。このために、このためだけに私たちは闘うのです。

 共産主義は間違いなく失敗しました。しかし、共有権の問題がまだここにあります。それは、あなたたちがここではアメリカ人ではないのだと、告げています。しかし、自分たちこそが本当のアメリカ人だと主張する保守派の原理主義者たちは、何かによって気づかされなければなりません。キリスト教とは何でしょうか?それは聖霊です。聖霊とは何でしょうか?お互いに愛で結びついた信者によって構成される、平等主義の共同体です。そして、自らの自由と責任を所有するものだけが、それをなすことができるのです。この意味において、聖霊は今ここに存在します。そして、あそこウォール街には不敬な偶像を崇拝する異教徒たちがいるのです。だから、私たちに必要なのは忍耐です。私が恐れているたった一つのことは、私たちがいつの日か家に帰り、一年に一回会い、ビールを飲みながら、ノスタルジックに、素晴らしい時を過ごしたことを思い出すというものです。そういうことにならないように誓いましょう。

 わたしたちは、人々がしばしば何かを欲するが、本当はそれを望んでいないことを知っています。あなたが欲するものを望むことをおそれないでください。どうもありがとうございました。



訳者コメント:
 まず何よりもこれが、部分的に撮影されたジジェクのスピーチを、書き起こしたものを、さらに翻訳したものであることに注意してほしい。スピーチの原題は不明。訳はほとんどリンク先の書き起こしを参照した。意味の取りにくい部分は意訳さぜるを得なかった。ぜひ、原文の書き起こしそのもの、映像そのものを参照してほしい。

10/22の追記:
 遅ればせながら、この記事をさらに別のソースで補完したものを既に投稿しているので、この記事の中であらためて紹介しておく。

2012/5/16の追記:
 新たにジジェクスピーチの全体を収めた日本語字幕付き動画を、アップロードしたことを機会に、このエントリの題名を「翻訳:スラヴォイ・ジジェク - 民主主義と資本主義の結婚は終わった [部分訳]」と変更。今後は、10/22のリンクとともに、そちらを参照されたい。

by BeneVerba | 2011-10-16 21:21 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
マイケル・ムーア - 今日は歴史的な日だ
This is a Historic Day
2011年10月05日 - マイケル・ムーア
原文:http://www.youtube.com/watch?v=MtYnoOpLYAE





 今日は歴史的な日だ。この運動は様々な人々が協力するものになった。なぜなら人々がそれが起こることを願っていたからだ。誰かリーダーのおかげじゃない。下積みの組織のおかげでもない。ただ人々がそう望んだからだ。

 オレは人間マイクロフォンが大好きだ。その理由を言おうじゃないか。なぜなら、これはオレだけの声じゃないからだ。それに、彼だけの声でもないし、彼女だけの声でもない。これがオレたちみんなの声だからだ。

 こういう風にずっとこの運動を続けていこうじゃないか。政治家たちにこの運動を利用させてはいけない。今日ここにいる君たちの一人一人が、ここに来られなかった一〇万人のアメリカ人を代表しているんだ。でも、彼らは君たちがここにいることを喜んでいる。そして、彼らはこれからも自分たちの都市にいるだろう。占拠運動はあらゆる場所にあるんだ。占拠しよう!あらゆる場所を!

 これらのビルの最高階にいる連中――とくにお前だ、ゴールドマン・サックス!――は、数百万の人々の生活を、いや地球上の数億の人々の生活を、破滅させた責任がある。誰かメディアの一人が、オレにこう訊ねてきた。「誰がこの運動を組織したんですかね?」。オレはこう答えてやった。「(ビル群を指しながら)奴らがこれを組織したんだ!」。

 奴らはブーツでアメリカの民衆に蹴りを入れたが、アメリカの民衆は今それをはねのけようとしている。今だ。来年じゃない。今だ!もう充分だ。もういいかげんにしよう(Enough is enough)。企業に支配されたアメリカで、一番汚い言葉は「充分(enough)」ってやつだ。奴らは充分ってことを知らない。強突張りの金持ちになっても奴らは飽き足らなかった。奴らは強突張りの金持ち以上の何者かになろうとした。そして今これを受け取っているというわけだ。

 奴らはおそらく数兆ものドルを盗み取った。だが、オレたちは「オレたちの金を返せ」と言うためにここにいる。いつオレたちの金を返してほしい?いつオレたちの金を返してほしい?(「今すぐ」という声)

 奴らはもうとっくに役割を終えた。奴らが数十億も貯め込んでいて、まだ飽き足らないのはお気の毒様だ。だが、麻薬中毒患者みたいに、奴らはまだ欲しがっている。奴らはもう手がつけられなくなっている。奴らは金銭依存症の問題を抱えているんだ。だからオレたちが介入を行うってわけさ。



訳者コメント:
 10/5の「ウォール街を占拠せよ」運動は、労組や大学生も参加し、それまでで最大の規模になった。このマイケル・ムーアのスピーチは、特に冒頭の部分など、そのことを踏まえていると思われる。

 訳者の聞き取り能力の限界のため、訳はリンク先に書き起こされた英文を参照した。意訳多し。

10/26の追記:
 その後、この翻訳を元にスピーチの動画に字幕を付けたので、このエントリの中で紹介しておきたい。

2012/6/3の変更点:
 記事を整理する中で、この翻訳も見直した。ほとんど変更はなし。「corporate America」という言葉を「企業に支配されたアメリカ」と訳していたが、この言葉には「実業界」という意味と「企業国家アメリカ」という意味があることを知って、一安心。

by BeneVerba | 2011-10-15 06:44 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
一〇・一五行動の呼びかけ
October 15th Call to Action
2011年10月14日 - ウォール街を占拠せよ
原文:http://occupywallst.org/article/10-15-call-to-action/


 過去三〇年以上に渡って、一%の富裕層は、我々の人権を侵害し我々の環境を破壊するグローバルな経済システム――新自由主義――を、作り上げてきた。新自由主義は世界的な現象だ。このシステムこそが、あなたにもはや職がない理由であり、あなたが医療費、教育費、食費、住宅ローンをまかなうことができない理由である。

 新自由主義は、盗まれたあなたの未来だ。

 新自由主義は、労働基準を、最低生活賃金を、社会契約を、環境保護を破壊しながら、いたるところに存在する。それは「人類の顔の周囲に触手を巻き付けている大吸血鬼であり、金の臭いのするもの全てを容赦なくその血管に詰め込む」のだ。このシステムは南半球を荒廃させ、グローバルな経済危機――スペイン、ギリシャ、合衆国の経済危機――を引き起こしている。それは貪欲を基盤として築かれたシステムであり、ショックを与えて動揺させることで繁栄するシステムである。

 それは、人類を貧困化することで、一%だけが富むことを許すシステムなのだ。

 このシステムを停めなければならない!
 我々は、民主的かつ経済的に公正な時代の到来を告げねばならない。
 我々は、変わらなければならない。我々は、進化しなければならない。

 一〇月一五日に世界は立ち上がって一つとなり、こう言うだろう。「もうたくさんだ!私たちは新たな始まりであり、分かち合いの繁栄と、尊重と、相互扶助と、尊厳の時代の到来を告げる全戦線における、継続するグローバルな闘いなのだ」。

Actions worldwide



2012/6/3の変更点:
 現在の翻訳基準に合わせて、いくつかの語句の修正。こうした文書を改訳するのはどうかとも思ったが、時間が経ったこともあり、結局は自分に許した。

by BeneVerba | 2011-10-15 01:25 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
ウォール街を占拠せよ:今世界で最も重要なこと
Occupy Wall Street: The Most Important Thing in the World Now
2011年10月6日 - ナオミ・クライン
原文:http://www.naomiklein.org/articles/2011/10/occupy-wall-street-most-important-thing-world-now


 私は、木曜日の夜に「ウォール街を占拠せよ」で話すように招かれるという、栄誉を授かった。アンプが(恥ずべきことに)禁止されていたので、私が言ったことは全て、他の人々にも聞こえるよう、何百もの人々によって繰り返されなければならなかった(別名「人間マイクロフォン」)[1]。そのため、私が実際にリバティ広場(Liberty Plaza)で言ったことは、非常に短いものでなければならなかった。そのことを念頭に置いてほしい。これはより長い、ノーカット版のスピーチである。


 あなたたちを愛してます(I love you)。

 私は今、数百人のあなたたちに、「あなたを愛してます(I love you)」と大声で返してくるように、とは言いませんでしたね。これは明らかに人間マイクロフォンのボーナス機能です。他の人たちからあなたへと言われたことを、あなたから他の人たちへと言ってください、もっと大きな声で。

 昨日、労働者のデモで講演者の一人がこう言いました。「我々はお互いを見つけたのだ」と。この感想は、今まさにここで形成されているものの美しさを捉えています。より良い世界を望むすべての人々が、お互いを見つけるために、大きく開かれた空間を。同様に、どの空間も収容することができないほど、大きなアイディアを。私たちは大きな嬉しさに包まれています。

 私が知っていることが一つあるとすれば、1%の富裕層[2]は、危機を愛しているということです。人々がパニックに陥り、絶望し、何をすればいいのか誰も見当もつかない、その時こそ、彼らが企業優先政策のほしい物リスト(wish list)を押し通す、理想的な時なのです。教育と社会保障を民営化する、公共サービスを大幅に削減する、企業の力への最後の制約を取り除く。この経済危機の最中、これが世界中で起こっていることなのです。

 そして、この戦略を防ぐたった一つのものがあります、幸いにもそれはとても大きなものです。それは99%です。残りの99%がマディソンからマドリッドまで通りに繰り出し、「ノー、私たちはお前たちの危機に金を払うつもりはない」と言うことです。

 そのスローガンは、2008年にイタリアで始まりました。それはギリシャとフランス、アイルランドへと飛び火していき、遂に危機が始まった場所へとたどり着きました。

 「彼らはなぜ抗議しているんだ?」。テレビでは当惑した識者たちが訊ねています。 その一方で世界の残りはこう訊ねているのです。「なんでそんなに時間がかかったんだ?」。「いつになったら現れるのかと思っていたよ」。そして何よりこう言っているのです。「ようこそ」と。

 多くの人が「ウォール街を占拠せよ」と、1999年にシアトルで世界の注目を集めた、いわゆる反グローバリゼーション抗議運動との類似点を比較しています。あれはグローバルで、若者主導で、分散型の運動が、企業の力に対して直接的に狙いを定めた最後の時でした。そして私は、私たちが呼ぶところの「運動の運動(the movement of movements)」の一部だったことを、誇りに思っています。

 しかし、重要な違いもまたあるのです。例えば我々は目標として、世界貿易機関(WTO)、国際通貨基金(IMF)、G8といった、サミットを選びました。サミットはその性質上一時的なもので、一週間続くだけです。それはつまり、私たちもまた一時的なものであったということです。私たちは現れ、世界中のメディアの見出しを飾り、そして消えました。それから、9.11の攻撃に続く苛烈な愛国心と軍国主義の狂乱の中で、私たちを完全に一掃するのは容易なことでした。少なくとも北アメリカではそうだったのです。

 一方「ウォール街を占拠せよ」は、固定された標的を選びました。あなたたちは、ここでの自分たちの存在に、終了期日を設けていません。これは賢明なことです。あなたたちが居続けるその間だけ、あなたたちは根をのばすことができるのです。これは決定的なことです。あまりにも多くの運動が美しい花々のように咲き、すぐに死に絶えていくのが情報化時代の現実です。なぜなら、それらは土地に根をはっていないからです。そして、それらはどうやって自分たち自身を維持し続けるかについて、長期的な計画を持っていないからです。だから嵐が来た時、それらは洗い流される。

 水平的かつ深く民主的であることは、素晴らしいことです。しかしこうした原則は、これからやってくる嵐を乗り切るのに充分なほど頑丈な、建造物や団体(structures and institutions)を築き上げる重労働と、互換性があるのです。私は、それがやがて起こるのだと確信しています。

 他にもこの運動は正しいことをしています。あなたたちは、非暴力であろうと決心しています。あなたたちは、メディアが切望している壊れた窓や、通りでの乱闘のイメージを与えることを、拒否しています。そしてその驚くべき規律は、いくどとなく、警察の恥ずべき不当な暴力[3]に話が及ぶ結果を引き起こしています。それこそまさに、私たちが昨晩に多く目撃したものですね。一方で、この運動への支持は拡大し続けています。より多くの知恵とともに。

 しかし、十年という時がもたらした最大の違いは、1999年には私たちは熱狂的な好景気の絶頂時に、資本主義と対決していたということです。失業率は低く、株式のポートフォリオは急騰していました。メディアは金融緩和政策に酔っていた。当時それは操業停止(shut downs)ではなく、新設企業(start-ups)に関するものばかりでした。

 私たちは、熱狂の背後にある規制撤廃が相当の犠牲を払うものであることを、指摘しました。それは労働基準に損害を与えていました。それは環境基準にも損害を与えていました。企業は政府よりも強力になろうとしており、民主主義に損害を与えていました。しかし、あなたたちに正直に言うなら、良い時代が過ぎる中で、貪欲に基づく経済システムに挑むことは、困難な説得でした。少なくとも豊かな国々ではそうでした。

 十年後の今、もはや豊かな国などないかのようです。ただ、たくさんの豊かな人たちがいるだけです。公共の富を略奪し、世界中の天然資源を使い尽くしながら、豊かになった人たちです。

 論点は、今日では誰もが見て取れるように、このシステムがとてつもなく不公正で、制御不能なまま疾走していることにあります。足かせをはずされた貪欲は、世界経済を破壊しました。そしてそれは同じく、自然界を破壊しているのです。私たちは海を乱獲し、水圧破砕(fracking)と深海掘削で水を汚染し、アルバータ州のタール・サンドのように、地球上で最も汚いエネルギーの形態へと向かっています。そして、私たちが排出する炭酸ガスの総量を吸収しきれない大気は、危険な温暖化を引き起こしています。連続的な災害が、新たな常態となりました。経済的であり生態的である災害です。

 これらが地上の事実(the facts on the ground)です。1999年に比べて、これらがあまりにも露骨で、あまりにも明白なため、公衆が理解するのも、運動を構築するのもはるかに容易なのです。

 私たちがみな知っているように、あるいは少なくとも感じているように、この世界は逆さまなのです。私たちは、実際には有限であるものに対して、まるで尽きることがないかのように振る舞っています――化石燃料とその排出物を吸収する大気中の余地のことです。そして私たちは、実際には豊富であるものに対して、まるで厳格で不動の限界があるかのように振る舞っています――私たちが必要とする種類の社会を構築するための財源のことです。

 私たちの時代の課題は、これをひっくり返すことです。この偽の希少性に挑戦することです。私たちには、まともで包摂的な社会(decent, inclusive society)を構築するだけの余裕があるのだ、と主張し続けることです――その一方で同時に、地球が引き受けることができる本当の限界に注意を払うことです。

 気候変動が意味しているのは、私たちはこれを、締め切りまでに成し遂げなければならない、ということです。今度は私たちの運動は、出来事によって気を逸らされても、分断されても、燃え尽きても、一掃されてもなりません。今度こそ、私たちは成功しなければなりません。私が言っているのは、銀行を規制し、金持ちに増税することではありません。それらも重要なことではあるとはいえ。

 私が言っているのは、私たちの社会を統治している根本的な価値観を変える、ということです。それは、メディア好みの一つの要求事項(a single media-friendly demand)にぴったり収めるのは難しいし、どういう風に成し遂げればいいのか把握するのも難しいことです。しかし、難しくてもなお緊急を要することなのです。

 私はそれを、この広場で起こっていることに見ているのです。互いに食べ物を与えあい、互いに暖めあい、自由に情報を共有し、無料の医療や「瞑想のクラス」と呼ばれているものを提供し、エンパワーメントの訓練を施すというやり方の中に。私がここで気に入ったサインは、「私はあなたを気にかけている(I care about you)」と言っています。お互いの視線を避けるように人々を訓練する文化――言うなれば「奴らには死なせておけ」の文化――において、これは深遠でラディカルな声明です。

 最後にいくつかの考えを。この偉大な闘争の中で、重要ではないいくつかのことがあります。

  • 私たちが何を着ているのか。

  • 私たちは拳を振り回すのか、それともピース・サインを作るのか。

  • 私たちのより良い世界への理想を、メディアのサウンドバイト[4]に適合させることが可能かどうか。

 そしてここに、重要ないくつかのことがあります。

  • 私たちの勇気。

  • 私たちの倫理的な基準(moral compass)。

  • 私たちがお互いをどのようにとり扱うのか。

 私たちは、経済的にも政治的にも地球上で最も強力な勢力に、喧嘩をふっかけました。それは恐ろしいことです。そしてこの運動が、ますます強力に成長するにつれ、もっと恐ろしいことになるでしょう。そこには小さな目標へと移行する誘惑があることに、常に警戒しておいてください。例えば、この集会であなたの隣に座っている人に対して、のようにです。結局のところ、それは勝つのが容易な闘いなのです。

 そうした誘惑に屈してはなりません。私はくだらないことで言い争うな、とは言いません。しかし今度こそは、これからの長い長い年月のために、私たちが協力して働こうと計画したかのように、お互いをとり扱いましょう。なぜなら待ち受けている課題が、まさにそれを要求するからです。

 この素晴らしい運動を、それが世界で最も重要なことであるかのように取り扱いましょう。なぜなら、実際にそうだからです。本当にそうなのですから。



1. 人間マイクロフォン:人間マイクロフォン(the human microphone)がどういうものかは、10.5のマイケル・ムーアのスピーチを視るとよくわかる。

2. 1%の富裕層:アメリカの1%の富裕層が、どれほど富を独占しているかは、ThinkProgressのこの記事がわかりやすい。

3. 警察の恥ずべき不当な暴力:10.5の「ウォール街を占拠せよ」抗議行動では、警察が催涙ガスや警棒などの直接的な暴力をふるった。RTのこの動画この動画、アルジャジーラ英語版のこの記事などを参照。

4. サウンドバイト:ニュース番組で流される、スピーチやインタビューなどからのごく短い抜粋のこと。



訳者コメント:
 拙い部分が多々あると思われるが、とりあえず投稿。誤訳や誤字脱字などの指摘はこのエントリのコメント欄にてどうぞ。労力と能力の能う限り更新する予定(あくまで予定)。

 一つだけ感想を言えば、「今世界で最も重要なこと」とは、「ウォール街を占拠せよ」運動であるとともに、「私たちの社会を統治している根本的な価値観を変える」こと、逆さまの世界をひっくり返すことだと思われる。

10/10の更新:
 細々とした修正をたくさんと、訂正をいくつか。ちょっとした脚注を追加。小さな修正を行う場合は、更新を記載しない方針。

10/11の更新:
 YouTubeで視聴できたスピーチの動画を踏まえた上で、いくつかの修正と訂正。安定版。

10/13の更新:
 前回参考にしたスピーチの動画より明瞭な新しい動画を参考にしつつ、あらためて訳を見直した。なるべく小さな変更にとどめたかったが、以前に読み切れていなかったところもあり、予想以上の数の手直しになった。とはいえ、前回の更新で定まった形は引き継いでいる。さしあたっての「完成版」。

 明らかなミスなどが見つかった場合などを別として、今後私からは本文には手を加えないつもりでいる。誤訳や誤字脱字などの指摘は引き続き歓迎。後は脚注をもう少し充実させ、参考リンクなどを付け加えたいが、それがいつになるかは保証できない。


訳者謝辞:
 二つの点で、この訳はKatsuaki Sakai(@beyondaki)さんがいなければ、成立していなかった。一つは、私に翻訳をしようと思い立たせてくれたこと、もう一つは、ナオミ・クラインのスピーチの動画を教えてくれたこと。時には誰かのつぶやきが、誰かの行動に結びつくこともある。これからも善き相互作用が起きることを願いつつ、厚くお礼申し上げる。

2012/10/28の追記:
 新しいプロジェクトの一環として方針を変更し、本稿を訳し直した。「ナオミ・クライン - ウォール街を占拠せよ:今世界でもっとも重要なこと [新訳]」という別エントリを参照してほしい。




by BeneVerba | 2011-10-09 17:48 | 翻訳 | Trackback(2) | Comments(8)