<   2012年 09月 ( 2 )   > この月の画像一覧

連帯原則
Principles of Solidarity
2011年09月23日 - ウォール街を占拠せよ
原文:http://www.nycga.net/resources/documents/principles-of-solidarity/

e0252050_14373248.jpg


 二〇一一年九月一七日、経済的、政治的なエリートたちによって永続化されている、私たちの時代のあけすけな不平等に抗議するために、アメリカ合衆国の各地から人々が集まった。その日一七日、諸個人としての私たちは、政治的な権利の剥奪と社会的、経済的不平等に対して立ち上がったのだ。

 私たちは意見を率直に述べ、反抗し、ウォール街を占拠することに成功した。今日では、誇らしいことに、私たちはリバティ広場に残り、非暴力的な市民的不服従に参与し、お互いへの尊敬、受容、愛情に基づいた連帯を築きつつ、自らを自律した政治的存在として確立している。

 私たちが取り戻したこの土地から、全てのアメリカ人に対して、また世界中に対して私たちが告げているのは、「もうたくさんだ!」ということである。一体いくつの危機を必要とするのだろうか?私たちは九九%であり、私たちは担保に取られた自分たちの未来を取り戻すために、移住したのだ。

 諸個人としての私たちは共に団結し、直接民主主義的なプロセスを通して、次の連帯原則を作成した。団結のために重要なものがこれらには含まれているが、これらに限るものではない。

  • 直接的で透明な参加型民主主義に深く参与すること
  • 個人的および集団的な責務を実践すること
  • 個人に固有の権利と、相互作用におけるその影響を認識すること
  • あらゆる形態の抑圧に対して、お互いに力を授け合うこと
  • 労働の価値をどのように評価するのか再定義すること
  • 個人のプライバシーを不可侵のものとすること
  • 教育は人権の一つであることを信条とすること
  • 技術、知識、文化を、無償で受容、創造、改変、配布できる万人に対して開かれたものとすること(二〇一二年二月九日に修正案を承認)

 私たちは果敢にも、より大きな平等性の可能性を提供するであろう、新しい社会的、政治的、経済的なオルタナティヴを想像するものである。私たちは、提案された他の連帯原則を現在統合しており、要求がそれに続くだろう。


*原則統合作業部会は、今もなお提案された他の原則を、可能な限り早くこの生きた文書に統合すべく活動している。これは原則統合作業部会によって作成された公式文書である。ニューヨーク市ジェネラル・アセンブリーは九月二三日にこの作業中の草案を受け入れることに合意し、公に共有するためにオンライン上に投稿された。



訳者コメント:
 本日9月28日に、いよいよ『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』が発売される(来月初めにずれ込む地域もあり)。発売記念ということで、大月書店の寛大な許可を得て、実際の書籍にある「ウォール街を占拠せよ」の「連帯原則」を基に、その前後のただし書きを含め、現在の版のOWSの「連帯原則」を訳出、公開することにした。

 どのような経緯でこの「占拠運動が生み出した最初の公式文書」が生まれたのかなどは『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』の「占拠の誕生」の章に書かれている。これはその名の通り、占拠運動を進める際の基本的な原則であり、他の合意された行動や文書などもこの原則の上にあるものであるはずだ。

 占拠運動に関心を持つ人ならば、この運動が直接民主主義的な志向を強く持っていることはおなじみだが、「労働の価値の再定義」や「技術、知識、文化」の共有なども新しい時代を創造しようとする意志が感じられると私は思う。





by BeneVerba | 2012-09-28 14:28 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
e0252050_14114414.jpg 明日九月二八日、私が初めて翻訳を担当した本『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』(原題「Occupying Wall Street: The Inside Story of an Action that Changed America」)が大月書店から発売される。この運動の最初の二ヵ月間を中心に、数十名の運動の当事者たちがウォール街占拠について綴った本だ。ただし、一部の地域では、来月一日に配本されるそうだ。本来ならOWSの一周年記念に合わせて発売したかったのだが、出版のスケジュールに不慣れなせいもあり、ぎりぎりまで訳文を練っていたためにこの時期の発売となった。


 序文にも書かれているように、本書はまさしくドキュメントであり記録である。編集者氏と相談の上、原書にはない写真を大々的に使うことに決めたのもそのせいである。

 昨年九月一七日以前のブルームバーグヴィルというニューヨーク市長への抗議の占拠から、『アドバスターズ』からの呼びかけを受けて集まった人々が、準備期間を経てついに最初のジェネラル・アセンブリーを開く感動的な場面まで、あるいはメディアの注目も集まっていた一〇月から一一月までに起きたブルックリン橋での大量逮捕、「清掃」にかこつけた最初の排除の企て、そして、一一月一五日の強制排除まで迫真の記述が続いている。こうした部分は世界的な革命の年であった昨年二〇一一年の「インサイド・ストーリー」としての記録性を持つとともに、その高揚を伝えるものである。

 一方で、ジェネラル・アセンブリー、人民図書館、人民食堂、広報作業部会、法務作業部会、POC(有色人)作業部会など、運動内部の重要な活動についても具体的に書かれている。特にジェネラル・アセンブリーとPOC作業部会についての記述は、占拠運動に興味がある人にこそ読んでほしい章だ。前者からは水平的で合議的な、合意中心の意志決定がどのようなものであるのかが、後者からは「占拠」という行為の持つ皮肉な問題性とマイノリティの問題が対抗運動にとって重要な課題であることを知ることができるはずだ。

 原書を最初に読んだ時に感じたのは、この本からは複数の声が聞こえてくるということだった。本書を翻訳する作業は、そうした無数の声を聞きとりながら、それを損なわずに文体的な統一をはかるというなかなか困難なものだった。それがうまくいったかどうかは読者の判断に委ねたいと思う。

 実際この本は、当事者たちの筆に拠るものながら、客観的な記述を保っている。それにまた、ズコッティ公園(この本の中で運動内の呼び名である「リバティ広場」ではなく、この正式名称が用いられているのもそうした姿勢の表れではないだろうか)内部の東端と西端の対立に代表される、運動内部の緊張についても脚色なく記している。


 特に最初の章に書かれているように、またoccupywallst.orgも書いているように、昨年は地球規模の革命の年であった。「アラブの春」と呼ばれる中東での運動はむろんのこと、橋下市長が支配する大阪と比べられるようになったウィスコンシン州の抗議、もう一つの占拠運動であるスペインのM15運動など、世界中で反資本主義的な抗議の連鎖が続いた(ナオミ・クラインの表現を借りるなら「飛び跳ね」)。

 三・一一の原発震災を受けて、脱原発デモが起こり始めた日本もそうした文脈の中にあるのかもしれない。この本を翻訳する仕事の話を大月書店からもちかけられた時に頭の中にあったのは、単なる輪入ではない翻訳は可能か、なんとか占拠運動と脱原発デモを結びつけられないかということだった。だが、世界の運動にあって、今の脱原発運動に欠けているのは国家と資本の力に向かい合う視点である。

 この本の著者たちがおそらくは確信し、またこの運動の参加者でもある解説の高祖岩三郎氏と私が訳者あとがきで強調しているのは、OWSが現在も継続中であり、これからも何らかの形で続いていくだろうということだ。原発を止めても廃炉のプロセスがあり、放射能の影響も残り続ける日本でもまた運動は続いていくだろう。私が読者に知ってほしいのは上述のような視点である。

 とはいえ既にこの本は私の手を離れている。読者がどういう意味を読み込もうとそれは読者の自由であるし、その自由を確保することが訳者の仕事だと考えている。


 最後になったが、私がこの本の翻訳を担当することができたのも、このブログを読んで支持を与えてくれる読者のみなさんのおかげだと考えている。感謝したい。どうもありがとう。今後は、今回この本を訳した時に身に付けた技術や厳しさを反映して、引き続き情報や意見をオンライン上で発信していくつもりだ。

by BeneVerba | 2012-09-27 14:10 | お知らせ | Trackback | Comments(0)