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帝国の言語としての英語を壊すために

 私が英語を操る能力は、当然にもネイティブ・スピーカーたちのそれに遠く及ばないだろう。だが、それが言語を運用する能力として本質的な劣性だとは思わない。同時にまた、私が英語より日本語の方に、はるかに習熟しているといっても、日本語の方が私にとって、より内面に近いとか、肉声であるだとか思わない。そうした見方は断固否定したい。

 それからまた、ネイティブ・スピーカーではない日本語話者が書いた「変な日本語」を笑いものにする風潮がある。人はそれらに滑稽さを感じるかもしれないが、そういう態度には大きな勘違いも含まれている。そうした「変な日本語」は、日本語の多様性のために、大いに喜ぶべきものであり、進んで迎え入れるべきものであると思う。

 私はこうしたことを、ウィリアム・バロウズのような「変な英語」で書く作家たちから、大いに学んだように思う。またアルンダティ・ロイも、「帝国の言語としての英語を壊すために」書いている作家の一人ではないかと思っている。

 私は言語というものに対して、また日本語と英語に対して、そういう興味の持ち方をしている。


To Confront English as A Language of Empire

My competence in English language is, of course, far from that of native English language speakers. But I don't think it is inferiority as an inherent competence in language. At the same time I don't think Japanese language is closer to internal existence or natural voices of mine. However I am far proficient in Japanese language more than English. I want to firmly deny such a point of view.

And there is a tendency which laughs about "ridiculous" words written in Japanese by non-native speakers. One may feel some kind of humorousness about those words, but such an attitude also contains significant mistakes. I think those "ridiculous" words are to be highly welcomed and willingly let in for diversification of Japanese language.

I think I learned a lot such things from authors who wrote in "ridiculous" English like William Burroughs. And I think Arundhati Roy is one of such authors who write "to confront English as a language of Empire"

I have an interest in language in general, and in Japanese and English language, in such a way.

by BeneVerba | 2012-07-31 16:12 | 言葉 | Trackback | Comments(0)
私たちはみな占拠者だ
We are all Occupiers
2011年11月16日 - アルンダティ・ロイ
原文:http://www.youtube.com/watch?v=2je_195fPGc





 マイク・チェック。ジャドソン教会とここにいる全ての人に感謝します。

 昨日の早朝、ニューヨーク市警がズコッティ公園を一掃しました。しかし、今日人々は戻って来ています。警察は知っておくべきだったのです。この抗議運動はなわばり争いではないことを。私たちはあちこちで公園を占拠する権利のために闘っているのではありません。私たちは正義のために闘っているのです。アメリカの人々のためだけの正義ではなく、全ての人々のための正義なのです。

 9月17日以来、あなたたちが達成したものは、その日にアメリカで、「占拠せよ」運動が始まってから、新しいイマジネーションと新しい政治的言語を、帝国の心臓部へ導入したことです。あなたたちは再導入したのです、夢を見る権利を。みんなをゾンビへと変えてしまう体制に。心のない大量消費と幸福や充実を、同じものだと見なしてしまう催眠術にかかったゾンビへと。

 作家としてあなたたちに言わせてください。これは計り知れない程の達成です。いくら感謝しても充分ではない程です。

 私たちは正義について語っています。今日、私たちが話題にしているように、アメリカ軍は、イラクとアフガニスタンで占領戦争を遂行しています。アメリカのドローンは、その後もパキスタンの市民を殺害し続けています。数万のアメリカ軍部隊と暗殺部隊が、アフリカへと進みつつあります。もしあなたたちのお金である数兆のドルを費やしても、イラクとアフガニスタンでの占領を遂行するのに充分ではないということになれば、イランに対する戦争が声高に唱えられるようになるでしょう。

 大恐慌の時代以来ずっと、兵器の製造と戦争の輸出が、アメリカの政策の鍵であり続けています。景気を刺激するための。つい最近も、オバマ政権下において、アメリカは取引をしました。サウジアラビアと600億ドルの兵器を。イスラム教徒の権利を殺すものです。そして、アラブ首長国連邦に数千のバンカー・バスターを売りたがっています。既に50億ドル分の軍用機を私の国に売っています。インドに。そこには最も貧しいアフリカの国々を集めたよりも、更に多くの貧しい人々がいるのです。これらの戦争、広島と長崎への原爆投下から、ヴェトナム戦争、朝鮮戦争、ラテン・アメリカに至るまでの戦争において、数百万の人名が奪われました。それらの全ては、「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」を守るために戦われたものでした。

 今日私たちが知るように、その「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」は、つまり、世界の残りがそれを熱望し求めるよう定められているモデルは、結果として、400人の人たちを生み出しました。その人たちが、アメリカの人口の半分の富を持っています。それは数千の人々が彼らの家と職から追われる一方で、アメリカ政府は銀行と大企業を救済するという事態を引き起こしました。アメリカンインターナショナルグループ(AIG)は、単独で、1千820億ドルを受け取っているのです。

 インド政府はアメリカの経済政策を崇拝しています。20年間の自由市場経済の結果として、今日では100人のインドで最も裕福な人たちが、GDPの4分の1にあたる資産を所有しています。その一方で、80%以上の人々が一日50セント以下で暮らしているのです。そして25万人の農民たちが、死への連鎖に追い込まれて、自殺しました。私たちはこれを進歩と呼び、今や自らを超大国だと考えているのです。あなた方のように、我々は完全な資格を得たのだ。我々には核兵器があり、おぞましい不平等もあるのだと。

 良い知らせは、人々がもう沢山だと感じており、これ以上我慢するのを止めようとしていることです。「占拠せよ」運動は、他の数千の抵抗運動へと加わったのです。世界中で行われている、最も貧しい人々が立ち上がり、最も豊かな企業をすぐにも止めようとしている抵抗運動へと。

 私たちの中のほんのわずかな人たちだけが、夢見ていました。あなたたちが現れ、私たちの味方につくアメリカの人々が現れ、このようなことを帝国の心臓部でやるだろうと。

 なんと伝えたらいいのか私にはわかりません。このことが意味する途方もなさを。

 彼ら1%の富裕層は、私たちには要求がないと言っています。彼らはおそらく知らないのでしょう。私たちの憤りだけで、彼らを殺すのに充分であることを。しかし、ここにいくつかのことがあります。私がかつて「革命前」に考えていたことです。私たちで一緒に考えたいのです。

 私たちは、不平等を製造するこの体制に終止符を打ちたいのです。私たちは、限りなき富と資産の蓄積に休止符を入れたいのです。個人によるものであれ企業によるものであれ。終止家として、そして休止派として、私たちは次のことを要求します。

 1つめ。実業界のクロスオーナーシップ制度を終わらせること。例えば、兵器製造業者はテレビ局を所有してはならない。鉱業会社は新聞を運営してはならない。商社は大学に資金を提供してはならない。製薬会社は公共の保健の財源を管理してはならない。

 2つめ。天然資源と重要なインフラストラクチャー、水道、電気、保健、教育などです。それらは民営化してはならない。

 3つめ。全ての人が、避難する権利、教育を受ける権利、医療を受ける権利を持たなくてはならない。

 4つめ。富裕層の子どもは親の資産を相続してはならない。

 この闘いは、再度私たちのイマジネーションを目覚めさせました。その道のどこかで、資本主義は正義のイデアが意味するものを、単なる「人権」にまで貶めたのです。そして、平等を理想とするイデアは冒涜的なものとなったのです。私たちは、闘っているのではありません。置き換えることが必要な体制をなんとか改革しようとして。

 終止家として、そして休止派として、あなたたちの闘いに敬意を表します。

 サラーム、そしてジンダバード。
 


by BeneVerba | 2011-11-23 08:18 | 動画 | Trackback | Comments(0)
私たちはみな占拠者だ
We are all Occupiers
2011年11月16日 - アルンダティ・ロイ
原文:http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2011/nov/17/we-are-all-occupiers-arundhati-roy





 火曜日の早朝、ニューヨーク市警がズコッティ公園を一掃しました。しかし、今日人々は戻って来ています。警察はこの闘いがなわばり争いではないことを知っておくべきだったのです。私たちはあちこちで公園を占拠する権利のために闘っているのではありません。私たちは正義のために闘っているのです。それは、アメリカの人々のためだけの正義ではなく、全ての人々のための正義なのです。

 9月17日にアメリカで「占拠せよ」運動が始まって以来、あなたたちが達成したのは、新しいイマジネーションと新しい政治的言語を、帝国の中心へと導入したことです。心のない大量消費と幸福や達成を同じものだと見なしてしまう催眠術にかかったゾンビへと、みんなを変えてしまう体制に、あなたたちは夢を見る権利を再導入したのです。

 作家としてあなたたちに言わせてください。これは途方もない達成です。いくら感謝しても充分ではないほどです。

 私たちは正義について語っています。今、私たちが話題にしているように、アメリカ軍はイラクとアフガニスタンで占領戦争を遂行しています。アメリカのドローンは、その後もパキスタンの市民を殺害し続けています。数万のアメリカ軍部隊と暗殺部隊が、アフリカへと進みつつあります。もしあなたたちのお金である数兆のドルを費やしても、イラクとアフガニスタンでの占領を運営するのに充分ではないのなら、イランに対する戦争が声高に唱えられるようになるでしょう。

 大恐慌の時代以来ずっと、兵器の製造と戦争の輸出が、アメリカの景気刺激策の鍵であり続けています。つい最近も、オバマ政権下で、アメリカはサウジアラビアと600億ドルの兵器の取引をしました。そしてアラブ首長国連邦に数千のバンカー・バスターを売りたいと思っています。既に50億ドル分の軍用機を私の国インドに売っています。最も貧しいアフリカの国々を集めたよりも、更に多くの貧しい人々がいる私の国インドにです。これらの戦争――広島と長崎への原爆投下から、ヴェトナム戦争、朝鮮戦争、ラテン・アメリカに至るまでの――において、数百万の人名が奪われました。それらの全ては、「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」を守るために戦われたものでした。

 今日私たちが知るように、「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」――世界の残りがそれを熱望し求めるよう定められているモデル――は、アメリカの人口の半分の富を持つ400人の人たちを生み出す結果となりました。それは数千の人々が家や職から追われる一方で、アメリカ政府が銀行と大企業を救済するという事態を引き起こしました。アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)単独で、1千820億ドルを受け取っているのです。

 インド政府はアメリカの経済政策を崇拝しています。20年間の自由市場経済の結果として、今日では100人のインドで最も裕福な人たちが、GDP(国内総生産)の4分の1にあたる資産を所有しています。その一方で、80%以上の人々が一日50セント以下で暮らしているのです。そして25万人の農民たちが、死への連鎖に追い込まれて、自殺しました。私たちはこれを進歩と呼び、今や自らを超大国だと考えているのです。「アメリカのように、我々は完全な資格を得たのだ。我々には核兵器があり、おぞましい不平等もあるのだ」と。

 良い知らせは、人々がもう沢山だと感じており、これ以上我慢するのを止めようとしていることです。「占拠せよ」運動は、最も貧しい人々が立ち上がり最も豊かな企業をすぐにも止めようとしている、世界中の数千の抵抗運動へと加わったのです。私たちの中で、あなたたち――私たちの味方につくアメリカの人々――が現れ、このようなことを帝国の中心でやるだろうと夢見ていた人は、ほとんどいませんでした。この出来事が意味する途方もなさを、なんと伝えたらいいのか私にはわかりません。

 彼ら1%の富裕層は、「奴らには要求がない」と言っています。彼らはおそらく、私たちの憤りだけで彼らを殺すのに充分であることを知らないのでしょう。しかし、ここに私たちで一緒に考えたい幾つかのことがあります。私がかつて「革命前」に考えていたことです。

 私たちは、不平等を製造するこの体制に終止符を打ちたいのです。私たちは、個人または企業による限りなき富と資産の蓄積に休止符を入れたいのです。終止家として、そして休止派として、私たちは次のことを要求します。

  • 実業界におけるクロスオーナーシップ制度を終わらせること。例えば、兵器製造業者はテレビ局を所有してはならない。鉱業会社は新聞を運営してはならない。商社は大学に資金を供給してはならない。製薬会社は公共保健の財源を管理してはならない。

  • 天然資源と重要なインフラストラクチャー――水道、電気、保健、教育など――は民営化してはならない。

  • 全ての人が、避難する権利、教育を受ける権利、医療を受ける権利を持たなくてはならない。

  • 富裕層の子どもは親の資産を相続してはならない。


 この闘いは、再度私たちのイマジネーションを目覚めさせました。道のどこかで、資本主義は正義のイデアが意味するものを、単なる「人権」にまで貶めたのです。そして、平等を理想とするイデアは冒涜的なものとなったのです。私たちは、置き換えることが必要な体制をなんとか改革しようとして闘っているのではありません。

 終止家として、そして休止派として、あなたたちの闘いに敬意を表します。

 サラーム、そしてジンダバード。


*これは2011年11月16日に、ワシントン・スクエアの人民大学で、著者から渡された演説原稿である。



訳者コメント:
 時間がない中大急ぎで訳したもの。本文中にあるように、実際の演説とは若干ながら異なる部分があり、またエントリ中で掲載した動画ではスピーチの後に質疑応答が続いている。これは原文として提示した記事の翻訳と考えてほしい。

 「終止符主義者として、そして休止符派として(As "cap-ists" and "lid-ites")」という部分は、英語の言い回しを利用した造語である。あるろくでなしのフランス人が別なろくでなしのアメリカ人の作品を訳している時に言ったように、こういう言語に基づいた言葉遣いを翻訳するのは不可能だ。日本語訳は苦肉の策である。

 内容についてはコメントを控えて皆さんにお任せしたい。様々なものが読みとれるはずだ。だが、いくら時間が無くとも長崎と広島の原爆投下や朝鮮戦争に触れているスピーチを訳さないわけにはいかなかった。

 これまで常にそうであったように、誤訳や誤字脱字などの指摘を歓迎する。また時間をおいての再チェックを行うこともお約束する。だが、それにお応えできるのはおそらくは数日後となるだろう。

11/23の更新
 再チェックを行い若干の語句を修正。「cap-ists」と「lid-ites」という造語をそれぞれ「終止家」「休止派」としてみた。これらは「capitalist(資本家)」と「Luddite(ラッダイト)」を連想させるのだと思う。

by BeneVerba | 2011-11-18 06:24 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)