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 私が大月書店から、『ウォール街を占拠せよーーはじまりの物語』の翻訳を打診されたちょうどその頃、私は、あまりにも長い抑鬱状態から回復しようとしていたところだった。私の病状をなんと説明したものだろう?おそらく、それを語るにはまた別の文章を書くべきなのだろう。

 私の場合病状が悪化すると、まるであらゆるエネルギーを使い果たしたように、いわば「電池切れ」の状態になる。「exhausted」になる。簡単に述べるなら、そうだ。それは文字通りの生き地獄である。それが何年も続く。

 私が病に冒されるようになったのは、ちょうど思春期に入ろうとしていた頃だった。小学生の高学年の時に、何か「妙な感覚」がしたのを覚えている。ただし、それがその後の本格的な症状と関係あるかどうかまではわからない。それゆえに、私には思春期がない。病に覆い尽くされてしまっているからだ。

 高校生活は悲惨そのものだった。後半は、ほとんど学校にも行かなかったが、当時の担任の先生の助力もあって、なんとか卒業できたようなものだった。

 高校の卒業式に出席し、通学鞄を部屋の片隅に投げ捨てたあと、私は「電池が切れた」。そのまま最低限の社会生活を送ることもできなくなったのだ。

 部屋の片隅の通学鞄は、一〇数年以上同じ場所にあった。


 事態が突然好転したのは、二〇一〇年の冬から春にかけてである。それにもちょっとしたエピソードがあるのだが、別の機会に譲ることにしよう。

 ある程度動けるようになった私は、自分がどのくらい回復したのか試すつもりで、とりあえず語学の勉強をはじめ、資格試験をうけてみることにした。それなりに悪くない結果を得て、自信を深めた私は、さらなる社会復帰の道のりを目指そうとした。


 明くる二〇一一年になって、ご存じのように東日本大震災と福岡第一原発の事故が起きる。私は、原子力発電に反対するために、福岡で最初に開かれた最初の一回か、二回のデモに参加した(これは福岡サウンドデモ裁判として争われたデモでもあった)。後から知り合う人たちも、九州電力本社前で抗議などしていたという。

 当時の福岡のデモの雰囲気は、危機の中にも希望がある、そういう感じだった。おそらく、みな事故の危機感を共有していたと思うが、同時に混沌とした活力のあるデモでもあった。東京の悪いところを真似して、日の丸を持ってくるような馬鹿はまだいなかった。ただし、その混沌とした可能性の中に危険性も潜んでいたかもしれない。


 私は都合が付く限り、反原発運動に参加しながら、資格などの勉強を続けていた。そして、同じ二〇一一年の九月には、「ウォール街を占拠せよ」として知られることになる抗議運動が、ニューヨークで起きる。

 「はじまりの物語」訳者後書きでも書いたとおり、それに何よりこのブログを遡ればわかるとおり、私がこの運動の文書を翻訳するようになったのは、全くの偶然からである。

 ナオミ・クラインの印象的なスピーチが、インターネットを通じて流れてきたのだが、誰も翻訳している人がいなかった。そこで、私はその週の日曜日を使ってそれを翻訳したのだった。もし、彼女のスピーチの上手な翻訳を、それまでに誰かが発表していれば、私が翻訳しようなどとは思わなかっただろう。


 翌年二〇一二年になって、大月書店から本を一冊訳してみないかと打診があった。無名の私が本を訳せると言っても、すぐにその話に飛びついたりはしなかった。私の社会復帰とどちらを優先すべきか迷った。場合によっては、大月書店からの打診を断り、何かもっと別のことに時間を割いた方が良かったかもしれなかった。

 結局、サイトを運営する宣伝にもなるかとも思い、引き受けることにした。重い決断だった。ひきうけた以上は、二冊目のオファーがあるかどうかもわからないのだから、精一杯この一冊に力を込めようと思った。

 打診に対して、私は、自分の身の上について率直に明らかにしたメールを送った。病や経歴も含めてだ。これは私の性分なのだろうが、私は人から知られていないことを好む。大月書店とは、できるだけ匿名性の高い形で接触しようとしていた(結局それは不可能だとわかったが)。

 私にとって好ましいのは、「私のことが知られている」ことではなく、「(私のことは知らないが)私のした仕事は知られている」状態である。だが、大月書店との係争によって、私は自分のアイデンティティを公表せざるを得なくなってしまったのは、非常に残念なことである。

 翻訳作業の中のやりとりで、大月書店の編集者岩下結は、私のルーツに対してある程度の理解を示していた。同書に「POCcupy (People of Color Occupy Wall Street Too!)」という占拠運動内のマイノリティ・グループを中心とした章があるのだが、岩下は次のようなメールを私によこしている。

「POCuupy」の訳稿、拝読しました。ベーネさんの問題意識、そしてこれまで意見交換してきたことからしても、重要な論点の含まれた章ですね。この章の構成や文体のぎこちなさ自体が、OWS内部の葛藤を反映しているようにも感じられます。OWSを単に美化するのでなく、こういった葛藤や模索の中にこそ日本の運動が学ぶべきものが多くあるように思います。

 私にとって、岩下が反原発運動内の右翼的傾向を控えるように、脅しをかけてきたのは、青天の霹靂だった。上の引用が示唆するように、岩下は、私のルーツも思想信条のことも知った上で、そのようなことを言ってきたのである。

 言うことを聞かないと、交渉中の翻訳契約は反故にする、というのは脅しでなくて何であろう。

 二〇一〇年の回復期から、一転、大月書店との間に係争を抱えることによって、私の体調は悪化の一途をたどっていた。特に、昨年の秋から年末・年始にかけては、ほとんど言っていいほど動けない状態が続いた。「電池切れ」「exhausted」になったのだ。だが、それも徐々にではあるが回復しつつあるようだ。

 あくまで個人的な経験から言うと、差別を受けたときには、立ち止まって戦うか、やり過ごすかだ。どうやら戦って前進することはできないらしい。戦うには、それまでやっていたことを中断するしかない。立ち止まるしかない。

 大月書店とのやりとりは、私の回復に大きな損傷を与えたし、今も与え続けている。差別の被害をそれ以上を受けたくないときなどに、個人の選択としてやり過ごすことも決して否定はしない。だが、私は傷付きながらも戦うことを選んだ。

by BeneVerba | 2016-01-24 07:39 | 意見 | Trackback | Comments(0)
全てのマイノリティは新しいマジョリティである
The All Minority Are The New Majority
2011年10月30日 - アンジェラ・デイヴィス
原文:
http://pastebin.com/9sEVQv2K
https://www.youtube.com/watch?v=cmxWyhIPzgM

e0252050_1254884.png


ファシリテーター:
 マイク・チェック。マイク・チェック。

 どうもありがとうございました、アンジェラ。それでは質疑応答の時間に入りたいと思います。フレイリーが順番係を務めます。質問したい人は、彼女に目で合図を送ったり、近くまで行って肩を叩いたりして下さい。

 質問の順番が回ってくるまでは、後ろの方で座って待っていて下さい。最初の質問者は誰ですか?

質問者:
 こんにちは、アンジェラ教授。あなたの成したことの全てに感謝します。私と友人のアンジェラは、ズコッティ公園に来たばかりで、行動の日を計画するのに苦労していました。それはあなたが話されたことの中にも現れていたことでもあるとともに、そうした懸念を効果的にまとめあげることについて、どのような提案をなさいますか?

 つまり、女性やトランスジェンダーに対する抑圧、あらゆる人種、あらゆる国籍やルーツを待つ人々に対する抑圧、この世界に存在する全ての差異に対する抑圧を、一つのまとまりとして考えるということです。

 ですが、不均衡なことに、そうした人々は、この運動に関してテレビや新聞に採り上げられる人々よりも、さらに抑圧に苦しめられているのです。そうした人々を周縁化したり、かれらに沈黙を強いたりせずに、しかし、この大きく異なるものの、密接なつながりを持つ問題について、真の文化的な変化をもたらすにどうしたらよいのでしょうか?ありがとうございました。

アンジェラ・デイヴィス:
 それは複雑な問いですね。この問いは、実践することで解決していくものです。

 それは私が、「私たちは、複雑性を持った統一性の下に連帯することを学ばなければならない」と言った時に言いたかったことです。差異を消してしまわないような統一性です。歴史的に周縁化されてきた人々が、コミュニティの全体に成り代わって、声を上げることができるような統一性です。

 月日が過ぎるにつれて、あなた方のみなが、今よりもさらに深く学ぶことを、私は確信しています。この運動が、当初からマジョリティの意志を表現するものであったことを、見過ごしてはなりません。しかし、マジョリティもまた、全ての差異を包摂するという観点から、敬意を払われるべきものなのです。

ファシリテーター:
 次の質問者は、リンダ。

質問者:
 こんにちは、私がリンダです。あなたが、ここに来てくれたことに、感謝の念を表したいと思います。ここ「ウォール街を占拠せよ」で、あなたが廃絶しようとしている産獄複合体について、何か手助けできることがありますか?

アンジェラ・デイヴィス:
 産獄複合体を終わらせるために、あなた方ができることはたくさんあります。教育は、産獄複合体を終わらせるのに、役立つことでしょう。住宅事情の改善、職業の供給、保険制度の充実、特に精神保健制度の充実。これらの全てが、監獄というものを、時代遅れの代物にすることに、役に立つことでしょう。

ファシリテーター:
 次の質問者は、イーザン。

質問者:
 こんにちは。私の質問も産獄複合体についてのものです。あなたは活動家として、己の闘争を、長年に渡って闘ってこられました。私たちは、刑務所という制度に対して、直接行動に参加する際に、どのような戦略を採用するべきなのでしょうか?

 この運動に参加している人々の多くが、逮捕されうるということが大きな特権であり、奇妙な力学を生むものであると認識しています。なぜなら、多くの人々は制度のとりこになっているからです。そういうわけで、活動家は市民的不服従を戦略として用いる歳に、そうした力学を慎重に取り扱うべきだと思いますか?

アンジェラ・デイヴィス:
 これも複雑な問いですね。なによりも、私は刑務所の廃絶を、真剣に考えています。まず、刑務所の廃絶を、私たちのラディカルな政治的アジェンダに、付け加えることからはじめましょう。

 市民的服従が――、言い間違えました「市民的不服従」ですね、市民的不服従が関係する限りにおいて、それは真剣に取り扱われるべきものです。単純に、逮捕が起こりうるかもしれないからという理由ではありません。それは、より奥深い特定の目標を持って、なされるものなのです。

 「逮捕されちゃった」という新しいアプリが、あるそうですね。もっと大きなコミュニティにおける状況が重要なのです。不当逮捕が起きた時には、法律家、活動家、その他の人々が対応することが大切です。そうしたものが、組織化さねばなりませんし、それだけの理由はあるのです。そうですね、刑務所廃止運動において、私たちは「ムミア解放!」と声を上げましょう。そして、「死刑を廃止しよう!」と言いましょう。そして、「トロイ・デイヴィスに尊厳を!」と。

ファシリテーター:
 次の二人の質問者は、私たちのファシリテーターのどちらかです。ショーンはずっと精力的に活動してきました。私は、質問箱を開けて、新しい人の声を聞こうと思います。ここにいる人で、発言したい人はいますか?それでは、あなた!

質問者:
 マイク・チェック。私はジャネルです。デイヴィスさんへの私の質問は、いったいどうやって、有色人の若者たちの無関心に揺さぶりをかけて、社会運動へと参入させればいいのか、どうやって著名人たちを巻き込めばいいのかというものです。

 特に、より貧しく、手助けが必要であるにも関わらず、充分なサービスを受けていない地域の若者たちをです。カニエ・ウェストやジェイ・Zのような人々は、金持ちや富についてラップしていますが、彼らを聴いている若者たちは、貧しい状態に置かれたままなのです。この運動を、みんながみんなのために配慮し、全ての人々を含み、誰もが報われるような、包摂的な運動にするためには、どうしたら良いのでしょうか?

アンジェラ・デイヴィス:
 あなたの質問は、包摂性についてのものと、運動に参加したくないと感じている人々に対する、明白な抑圧の両方についてのものですね。私たちが運動を築き上げていくにつれ、今は運動を遠ざけている人々も、私たちに参加しなければならないように、感じることでしょう。私が考えるに、本当の質問は、包摂性にこだわり続けることなのです。形だけではなく、お互いの物語を語り合うことを実践することです。ジャッキー・アレクザンダーの言葉を引用しましょう。「私たちは、お互いの物語について、もっと能弁であるべきだ」。

ファシリテーター:
 次の質問者は、こっちね。

質問者:
 こんにちは。私の名前はエスターです。私の質問も似ています。日常生活において特権を奪われて、どこかしら、自分たちのためのものではないと感じていたり、あるいは、この場所に来るのが居心地良さそうに思えないと感じていたりするために、この場にいない有色人の人々に対して、何か仰りたい言葉はありますか?それにまた、リーダーのいない運動は、伝統的に周縁化された人々に、どのような影響を及ぼすのでしょうか?

アンジェラ・デイヴィス:
 まさに、それが問題です。私は、これといった答えを持っているわけではありません。ですが、有色人の人々を、女性たちを、周縁化されたセクシャリティの人々を、移民たちを――、特に、無届滞在者たちを、巻き込んでいくことに、こだわることが重要だと言えるでしょう。誰もがみな、そうした人々の声に、耳を傾けることに積極的であるべきです。伝統的に特権を与えられた人々は、権利は周縁化され人々にも及ぶものであることに、自覚的になるべきなのです。これこそが、私たちの誰もがしなければならない仕事なのです。どうもありがとう。

ファシリテーター:
 次の質問者は?すぐあっちに。

質問者:
 二、三ヵ月も経てば、選挙戦が人々の注目を引き付けはじめると思います。民主党支持者は、大銀行やウォール街に反対するかのような姿勢を取りたがります。どのような政治的姿勢をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。第三の政党なのか、それとも他の何かあなたにできることなのか。


アンジェラ・デイヴィス:
 それには一つの方法しかありません。二大政党制は、これまでずっと機能したことがありません。今でもそうです。明らかに、私たちには別の選択肢が必要です。

 個人的には、私たちには、強力で、ラディカルな、第三の政党が必要だと思います。この運動においては――、これはもちろん政党ではありません――、政党ができる以上のことを成し遂げています。ですから、腐敗した二大政党制に圧力をかける最善の方法は、この運動を育て上げていくことだと、私には思われます。

 それを実践するためには、この国だけでなく、海の向こうの人々とも、連携しなければなりません。中東で闘いを担っている人々と、アフリカで闘いを担っている人々と、ヨーロッパで、オーストラリアで、ラテン・アメリカで闘いを担っている人々とつながるのです。それが、政治体制に圧力をかける最善の方法だと、今の私は考えます。

ファシリテーター:
 次の質問者は、マイケル・アダムズ。

質問者:
 デイヴィスさん、私はずっと資本主義に反対してきました。私は、資本主義とは自己中心的で、貪欲なものだと考えます。私は、私たちの祖先たちが、何百年も前にしたように、新しい貨幣を造り、物々交換をやるべきだと思うのです。それから、私があなたにお聞きしたい意見は……私は、企業の奴隷でした。大企業に勤めていたのです。今はもう、そんなことをしようとは思いません。私は、資本主義社会に対する、あなたの意見をお聞きしたい。

アンジェラ・デイヴィス:
 私は、資本主義はゴミだ、というあなたの意見に賛成です。私の人生における大半――途方もない大半――、ちょうどここのグリニッチ・ヴィレッジの高校に通っていた時から、私は、いくどもいくども、「打倒資本主義!」と言ってました。しかし、私たちに必要なのは、より複雑なオルタナティヴです。

質問者:
 物々交換については、どうですか?

アンジェラ・デイヴィス:
 私たちが必要としているのは……私たちが、いつかは貨幣なしに生きていけるようになる、というあなたの意見に賛成です。貨幣が不要になる時代を、私たちは想像してみなければなりません。一方で、このラディカルな闘争においては、あらゆる範囲の問題設定が定義可能なのです。ですが、私は打倒資本主義に賛成です。

ファシリテーター:
 次の質問者。

質問者:
 みなさん、こんにちは。私の名前はケシです。こんにちは、デイヴィス教授。私たちのために、スピーチと、質疑応答をありがとうございました。

 あなたの「ウォール街を占拠せよ」という言葉に対する意見は、どのようなものでしょうか?植民地支配の歴史を考えると、より大きな世界的な規模の運動において、「占拠」という言葉が含む意味に対して、どうお考えですか?また、この運動を構築するに当たって、運動を持続的なものに、政治的なものに、包摂的なものにするために、言葉はどのような役割を果たしているのでしょうか?

アンジェラ・デイヴィス:
 素晴らしい質問ですね。私たちは、言葉に挑んでいるのです。私たちは、また、言葉を変えようとしているのです。

 私たちは、私たちが用いる言葉の共振に気付いています。私たちは、プエルトリコの運動が、「反占拠」というスローガンを掲げたことを知っています。私たちが、「ウォール街を占拠せよ」という時には、この国が先住民の虐殺によって占拠されて、建国されたものであることに、自覚的でなければなりません。

 私たちが、「ウォール街を占拠せよ」とか、「ワシントン・スクエアを占拠せよ」と言う時には、占拠は他の国では、暴力的で残忍なものであることに、自覚的でなければなりません。パレスティナは、その土地を占拠し続けており、私たちは、軍事的な占領に「ノー」と言う方法を学ばなければならないのです。それと同時に、私たちは、「占拠」という言葉の意味を変えようとしています。私たちは、「占拠」を美しい何かに、コミュニティをまとめ上げる何かに、愛、幸福、希望を求める何かに、変えているのです。

質問者:
 他の国々での女性の投票権についてはどう考えますか?どうお感じになりますか?

 全ての女性は投票する権利を持つべきです。そのことは理解されなければなりません。とはいえ、あなたの言うとおり、多くの国々では、このアメリカでも、女性は投票から遠ざけられているのです。

質問者:
 中東については?中東のムスリム国家については、どうですか?

アンジェラ・デイヴィス:
 既に述べたように、そのことは理解されなければなりません。あらゆる場所において、女性は、投票する権利を持つべきなのです。そして、私たちはあらゆる場所での女性の投票権を、支持しなければなりません。

 しかし、同時にまた、多くの問題もあるのです。多くの場合において、民主主義とは、投票権のことだとみなされています。しかし、民主主義とは、はるかに多くの意味を持つものです。そうして、この運動は、新しく、より創造的な民主主義のための戦略を、発展させている最中だと考えます。

ファシリテーター:
 次の質問者は、白いスカーフの女性。

質問者:
 こんにちは。お会いできて光栄です。私は、無駄なことはしたくありません。現実的でいたいのです。私たちは、どのようにして、私たちが「複雑な統一」と呼んでいるものを進めたり、調和させていくことができるのでしょうか?ですが、平等や進歩、その他は「空白補充」の再分配を必要とします。ボランティアにしろ、その他にしろ、もっと多くの「空白補充問題」が必要なのです。

アンジェラ・デイヴィス:
 質問ありがとうございます。それこそが、この運動の全てに思えます。形式的な平等を、どうやって内実のある平等に変化させるのか。そのために、私たちは、住宅問題や、教育の無償化、教育の脱商品化、福祉サービスの充実を支持しているのです。それにまた、想像力の行使や、職業の要求、正義への要求もです。平等、自由、それらは、この運動が目指しているものの全てに思えます。自由への要求であり、自由の再定義でもあります。

ファシリテーター:
 次の質問者は、こちら。

質問者:
 こんにちは。数々の革命や動乱は、巡り巡って、また別の革命を呼んできました。何かとても素晴らしいものの先頭にいると、私には思えるのです。それで、私の質問というのは、この運動をただの「もう一つの革命」にせず、持続性があり、人間味のあるものにするために、何ができるのだろうかということです。

アンジェラ・デイヴィス:
 良い質問ですね。しかし、これが「もう一つの革命」だとしても、とても素晴らしいことだと思います。でも、あなたの質問はわかります。過去を思い描き、現在を生き、未来を想像することで、この運動が、私たちを前進させることでしょう。

 私たちは、未来が決して何をもたらすのか、知ることはできません。私たちは、私たちの活動が、どのような可能性を持った帰結をもたらすのか、決して知ることはできません。学者にして活動家の、スチュアート・ホールは、かつて「保証などはない」と述べたことがあります。保証はありません。ですが、私たちは、私たちの理想や、希望、想像を反映させた未来を、築き上げることができるかのように、行動することはできます。

ファシリテーター:
 次の質問者は、こっちです。

質問者:
 選挙の話に焦点が集まったおかげで、第三の政党に投票すべきだと私は考えています。しかし、選挙をボイコットするという選択には、より力があるのではないでしょうか?

アンジェラ・デイヴィス:
 私の考えを明確にしてくれて、ありがとうございます。なぜなら、私が、私たちには、ラディカルな第三の政党が必要だと言う時、それは未来を投影して言っていることなのです。また、私は、独立した政党こそが、今日では重要な役割を果たすだろうと考える一方で、私たちは共和党に議席を与えてはならないと言わねばなりません。

 ブッシュが大統領だった時のことを覚えていますか?わずか数年前のことです。そしてまた、質的には異なる状況ではありますが、同じように、オバマも私たちを失望させました。オバマ政権に圧力をかける最善の方法は、この運動を築き上げてゆくことです。

 この運動は、オバマをトップに選ぶことのできる、勢力を反映したものです。そのことを忘れないようにしましょう。そして、労働組合を巻き込み、教会の人々を巻き込み、貧しい学生たちを巻き込み、あらゆる人々を巻き込んで、この運動を築き上げてゆきましょう。私たちが「九九%」と言う時、私たちは、「九九%」の人々を組織化することを、固く決意しなければいけません。

質問者:
 ディヴィスさん、ありがとうございました。あなたが、私たちのためにしてくれたことと、してくれていることに感謝します。私は、あなたは光輝く実例であり、私たちがやらなければならない、真剣な研究と熟考の反映だと思います。

 私は、最近になって、独学で『共産党宣言』を読み始めました。あなたが、かつて共産党の党員だったことを知っています。そういうわけで、あなたは特定の概念群に対して、親しまれていると確信しています。私は「危険な階級(ルンペン・プロリアート)」というアイディアに、惹かれています。「社会の屑、この受身の腐敗した群れは、時として、プロレタリア革命によって、運動へと引き込まれるが、しかしながら、その生活状態からして、反動的な陰謀に買収されるであろう」。「ウォール街を占拠せよ」が、私たち独自の「危険な階級」になりうるという、潜在的な三つの概念を与えてくれませんか?

アンジェラ・デイヴィス:

 三つですね。一番目は、「私はトロイ・デイヴィスだ」というスローガンです。州政府によって死に直面していた時、トロイ・デイヴィスは、私たちに、死刑執行に抗して、この運動を継続してゆく可能性を、与えてくれました。それが一つの方法です。

 私は、長年にわたって刑務所廃止運動に、携わってきました。今年は、アッティカ刑務所の反乱から、四〇周年記念にあたります。この運動が、アッティカの反乱から、四〇年後に起きたのは、全くの偶然でしょう。「危険な階級」となるには、アッティカ刑務所で四〇年前に、アフリカ系の囚人、ラテン系の囚人、白人の囚人、ネイティブ・アメリカンの囚人たちが、団結して民主的なコミュニティを作り、ラディカルな変革を求めたことに学ぶことです。それが二つ目の方法ですね。

 私は、もっともっと多くの方法を、あなた方に伝えることができるのですが、あなたはたった三つだけを、教えてほしいのですね。無届滞在者たちと、自分を同一視しなさい。それがもう一つの方法です。この国では、他のどの集団よりも大きな割合で逮捕されている、トランスジェンダーの人々と、自分を同一視しなさい。それが四番目の方法です。

 もっともっと多くの方法を、伝えたいのですが、ここらでお終いにすることにしましょう。あなた方は、私の伝えたかったことを、理解してくださっていると思います。

ファシリテーター:
 最後の質問者、クリスティーナ。

質問者:
 あらためまして、ここに来られたことに感謝したいと思います。これは、とても大きな喜びです。私は、これを目撃することができるように、娘を連れてきました。私の質問は、保守派の同胞たちに対して、私たちはみな一つだと言うことを知らせるために、どのように出迎えたら良いのかというものです。

アンジェラ・デイヴィス:
 保守派の人々はいます。保守派の人々はいるのですよ。私の戦略は、いつももっとも受け入れやすい人々を、運動に連れて来るというものです。私たちが、巨大になるにつれ、より多くの保守派の人々が、取り残されたと感じるようになり、私たちに加わるようになることでしょう。実に簡単なことですね。

 ありがとうございました。



訳者コメント:
 アンジェラ・デイヴィスが、二〇一一年一〇月三〇日に、ワシントン・スクエア公園で行った講演の後半部分で、前半部分のスピーチと異なり、こちらは質疑応答である。それにしても、前半部分を私が翻訳したのは、なんと二年以上も前のことになる。本来ならば、前半部分を訳した後、数日からせめて数週間以内に、今回訳した後半の質疑応答部分を訳出したかったのだが、大まかに言って、二〇一二年は、『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』の翻訳に明け暮れ、二〇一三年は、労働委員会での大月書店との闘争に明け暮れた。そして、それらは私を疲弊させた。

 「マディソン通りからマドリッド通りまで詰めかけて」(正しくは、「ウィスコンシン州のマディソンからスペインのマドリッドまで」)という、まともにリサーチをしたとは思えない珍訳本を堂々と出版したり、今どき「ブラックパンサーのアンジェラ・デイビスを祭り上げたりして」(彼女は、今でも現役の活動家であり、『監獄ビジネス――グローバリズムと産獄複合体』という本も出している)などといった駄文を書き散らしていたピエロめいた御仁がいたことなども思い出す。

 なお、私が最近電子メールで連絡を取った、OWS関係者に拠れば、「私たちの運動は、政府によって破壊されてしまった」そうである。それでも、記録として本稿を訳すことにする。また、動画の著作権者のRobert K. Chin氏の許諾を得たので、できる限り早く、日本語字幕版の動画も公開する予定である。




by BeneVerba | 2014-09-09 12:08 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
ウォール街を占拠せよ:今世界でもっとも重要なこと
2011年10月6日 - ナオミ・クライン
URL:https://www.youtube.com/watch?v=PBmLjw0wSks



 ナオミ・クラインが、2011年10月6日にリバティ広場(ズコッティ公園)で行った演説の、分割されていない完全版の動画。再編集の許可を与えてくださった Toy Tiger Studios に感謝する。

 クラインのこのスピーチについては、上述のように既に動画として三分割して公開したものの他、公式サイトの原稿を元に訳したもの、さらにその新訳などがあるが、公式サイトの定稿版ではなく、以前の動画に付けていた字幕を参照しつつ、新たに訳した。ちなみに長さはちょうど25分。

 古くからのブログ読者はご存知かもしれないが、私は元々、2012年の秋から冬にかけて、これまで訳した記事も含めて、新たに訳し直し、「ウォール街を占拠せよ」がどんなものかわかるようなライセンス・フリーの小冊子を作成することを考えていた。だが、大月書店との係争や脱原発日の丸派との諍いに時間を取られてしまい、それ以上に割ける労力はなく、企画倒れとなっていた。

 とはいえ、これもかつてのそうした構想が発展したものであるとも、言えるかもしれない。

 ここで整理のために、ナオミ・クラインのOWSでのスピーチの、本サイトでの翻訳をまとめておくと次のようになる。

 四番目が、このエントリである。なお、分割してアップロードしていた「動画の旧訳」は、このエントリの公開と前後して、限定公開設定にするので注意されたい。限定公開設定になれば、URLからは閲覧できるが、検索などには引っかからなくなるはずである。




by BeneVerba | 2014-06-01 14:39 | 動画 | Trackback | Comments(0)
ウォール街を占拠せよ
#OCCUPYWALLSTREET
2011年07月13日 - アドバスターズ
原文:http://www.adbusters.org/blogs/adbusters-blog/occupywallstreet.html

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 さあ、そこの九万人の解放者、反逆者、急進派[1]の諸君!

 未来にとって良い前兆となる、革命戦術の世界規模の移行が今まさに進行中だ。タハリール広場とスペインの野営地(acampadas)の融合[2]である、この真新しい戦術はどのようなものなのか?その精神は、次の引用によくとらえられている。
 反グローバリゼーション運動は、道のりの第一歩でしかなかった。振り返ってみると、我々のモデルは、狼の一群のように体制を攻撃することにあった。そこには最高位の雄、つまり群れを率いる一匹の狼と、後ろからそれに従って行く人々とがいた。今やこのモデルは進化を遂げた。我々は、ひとまとまりの巨大な群がりとなった民衆なのだ[3]
  ――ライムンド・ヴィエホ、ポンペウ・ファブラ大学、バルセロナ、スペイン

 この新方式の美しさは、そして、この新戦術がエキサイティングなのは、その実践的な簡潔さにある。種々の物理的な集会で、ヴァーチャルな集まりで、私たちはお互いに語り合う。私たちは、自分たちのたった一つの要求[4]が、どんなものであるのかに焦点を合わせる。想像力を目覚めさせるような、そして、できることなら、未だ到来していないラディカル・デモクラシーへと、私たちを押し進めるような要求だ。私たちは外へと繰り出し、類のない象徴的な意義のある広場をぶんどって、我々のケツに賭けてその出来事を引き起こすのだ。

 私たちの民主主義をもっとも腐敗させている輩に対して、この新しき戦術を展開する時がやってきた。それはウォール街だ。金融におけるアメリカのゴモラ(罪悪の町)だ[5]

 九月一七日に、二万人の人々がロウアー・マンハッタンへと押し寄せて、テント、食堂、平和的なバリケードを設置し、数ヵ月の間ウォール街を占拠するのを見たい。いったんそうなれば、私たちは、一つの簡潔な要求を、多数の声で絶え間なく繰り返すことだろう。

 タハリール広場の抗議が成功した理由の大半は、「ムバラクは退陣せよ」という明快な最後通告を、エジプトの民衆が勝利するまで、いくどとなく繰り返したせいだった。このモデルに従うならば、私たちの簡潔な要求とは何に当たるのだろうか?

 これまでに私たちが聞いた中で、もっともエキサイティングな候補は、なぜアメリカの政治的な支配層が、現在では民主主義の名に値しないのかという、その核心を突いたものだ。私たちは、バラク・オバマに対して、ワシントンの私たちの代表者たちへマネーが与えている悪影響を根絶する任務を帯びた、大統領委員会を任命するよう要求する。今こそ「企業支配は民主主義ではない!」と声を上げる時だ。さもなくば私たちに望みはない。

 この要求は、現在の国民的な雰囲気をとらえていると思われる。なぜなら、ワシントンから腐敗を一掃することは、右翼であれ左翼であれ、全てのアメリカ人が切望するとともに、支持できるものであるからだ。私たち二万人規模の民衆が、ウォール街から私たちを追い払おうとする警察や州兵の試みに対して、数週間に渡って耐え抜けば、オバマも私たちを無視することができなくなるだろう。私たちの政府は、民衆の意志とワシントンのお金のどちらを選ぶのか、公然と強いられることになる。

 これはアメリカにおける全く新しい社会的変動のはじまりとなるかもしれない。ティー・パーティー運動を乗り越え、現在の権力構造に囚われる代わりに、世界中にある一〇〇〇のアメリカ軍基地の半分を廃棄することであれ、グラス・スティーガル法[6]を復活させることであれ、企業犯罪に対して三振法[7]を制定することであれ、我ら民衆が自らが望むものを獲得し始めるのだ。政治から金を引き離す大統領委員会という一つの単純な要求を皮切りに、私たちは、新しいアメリカのためのアジェンダを設定し始めるのだ。

 コメントを投稿し、お互いに助け合って、私たちのたった一つの要求がどんなものであるべきかについて、焦点を合わせてほしい。その次には、勇気を振り絞って、テントを携え、復讐の九月一七日にウォール街へと向かおう。



野性のために、
カルチャー・ジャマーズHQ




    訳註:
  1. 原文では「redeemers, rebels and radicals」となっている。「読者(reader)」とかけてあると思われ、また「r」で始まる単語が並べられている。こうした言葉遊びを訳すのは困難なため、無理な訳語を当て嵌ることは控えた。
  2. タハリール広場は、エジプトの首都カイロにある広場。二〇一一年初頭にムバラクを辞任に追い込んだエジプト革命において、中心的な役割を果たした。「スペインの野営地」とは、「ウォール街を占拠せよ(OWS)」に先だってスペインで起きた、15M運動のこと。
  3. 引用元は不詳だが、二〇一一年に起きた運動のあり方をよく表している。それは相互につながることによって、ひとまとまりでありながらも、それぞれの部分が自律しているような存在の様式である。また、バルセロナは、スペインの首都マドリッドと並ぶほど15M運動が高揚を見せた土地である。
  4. 文章全体に見られるように、「ウォール街を占拠」するというアイディアは、『アドバスターズ』誌が呼びかけた時点では、一つの要求に的を絞ることにこだわっていた。だが、実際に起きたのは、無数の要求があるような(それゆえに却って「要求がない」という非難を受けた)運動だった。
  5. ウォール街というアメリカの、そして世界の金融的な首都を標的に選んだこの運動は、いずれにせよ何らかの意味において、反資本主義的な性格と真の民主主義を求める志向を持っていた。
  6. 銀行業と証券業の分離を定めた法律。一九三三年に制定され、ビル・クリントン大統領期の一九九九年に無効化された。このことが金融危機を招いた要因の一つと考えられている。
  7. 重大な刑事犯罪を三回以上犯した人物に、より厳しい刑罰を与えることのできるアメリカ合衆国の州法。一九九三年にワシントン州で初めて制定された。




訳者コメント:
 「ウォール街を占拠せよ」運動を引き起こすことになる、『アドバスターズ』誌による呼びかけを新たに訳し直した。また、当初同誌のブログに掲載されていた画像も日本語版を作成してみた(現在は外されている模様)。

 ここに初めてウォール街を占拠するというアイディアが生まれたわけだが、それ以前に「アラブの春」があり、スペインの15M運動があったことをこの文書は伝えている。反資本主義的な性格と直接民主主義的な志向が既に現れている一方で、「一つの要求」にこだわるなど、後に実際に起きた運動とは異なる部分もある。

 なお、時間がないために、この記事の訳註やコメントは後で見直し、書き換える可能性があることをお断りしておく。

by BeneVerba | 2013-03-20 12:27 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
ゼネスト
General Strike
2011年12月01日 - ガヤトリ・スピヴァク
原文:
http://occupytheory.org/
http://occupiedmedia.us/2012/02/general-strike/


e0252050_865913.png ある都市の全労働者がその道具を捨て置き、特定の諸要求が応じられるまで労働を拒否する時、それはゼネストと呼ばれる。この考えを最初に思いついたのは、労働者の一員ではなかったが、反国家主義の信念を持っていた人々である、一九世紀のアナーキストたちである。ドイツの反動的軍隊に殺戮されたポーランドの革命思想家、ローザ・ルクセンブルグ(一八七一~一九一九年)は、一八九六年に始まり一九〇五年のとてつもないゼネストに終わった、ロシア帝国での大規模なゼネストを目撃した後に、ゼネストの概念を書き換えて、これを労働者(プロレタリアート)のためのものにした。政治的な左翼から右翼に転向したフランスの思想家、ジョルジュ・ソレル(一八四七~一九二二年)もまた、労働者に力を注ぎ込むための方法として、ゼネストを思い描いていた。

 アフリカ系アメリカ人の歴史家、社会学者であるW・E・B・デュボイス(一八六八~一九六三年)は、奴隷解放宣言直後の奴隷たちの大量脱走をゼネストとして記述した。なぜならば、奴隷制度が「黒人プロレタリアート」(綿産業ための農園労働者)に、通常の労働者として自らを形成することを許していなかったからだ。同じ時期に、インドの国民的解放運動家マハトマ・ガンジー(一八六九~一九四九年)が、再度ゼネストの定義を書き換えて、階級とは関係なしに、植民地支配を受けている民衆のためのものとし、そうして、ゼネストは労働者階級の運動から、市民的不服従とボイコットの政治の混成物へと転換された。彼は、それを「不服従」と呼んでいた。

 今日では、グローバリゼーションが、労働とはほとんど関係のない金融システム――不均衡な通貨による取引――を通して機能するために、グローバルな労働者たちは深く分断されている。この分断こそが、もう一度ゼネストを呼び起こすための理由である。その利益が絶えず上方へと流れ込んでいる、体制によって権利を剥奪された人々によって、ゼネストは既に呼び起こされようとしている。それらは銀行を救済するために流れ込み、医療や教育から、そしてそれらをもっとも必要としている場所から遠ざけられている。今やこのゼネストの再定義において、権利を剥奪された市民たちの集団――すなわち、九九%――として、労働者が力を合わせる機会を得たのだ。

 アントニオ・グラムシ(一八九一~一九三七年)は、国家による福祉制度から何の恩恵を受けていない人々や、国家において何の役割を果たしていない人々を、サバルタン――貧しい者たちの中でももっとも貧しい人々――として定義した。今日では、この話もまた書き換えられようとしている。我々が現在目撃しているのは、九九%のうち最大の部分である、中産階級のサバルタン化である。デュボイスとガンジーがかつて思い描いていたように、ゼネストは、古い時代のきっちりとした労働者/支配者の闘争を超える、強力な象徴となりつつある。まさにこの点において、心に留めおくべきゼネストのいくつかの特徴がある。

  1. ゼネストは、道義的に憤慨したイデオローグたちではなく、日常的な実際の不正義に苦しんでいる人々によって担われる。
  2. ゼネストは、たとえ国家の抑圧装置が、ストライキをする人々に多大なる暴力を振るったとしても、その定義から言って非暴力である。
  3. ゼネストは、一般的に言って、法律を改正するか書き直すことに力点を置いた諸要求からなる。すなわち、ロシアの労働者にとっての就業日の労働時間、解放奴隷にとっての合衆国憲法修正第一四条及び第一五条(実質的にそれらが問題となっていないならば)、ガンジーの時代における脱植民地化された法体系などである。

 もしゼネストと法制度の間のつながりを認識するならば、それが法的な改革を目指すものではなく、社会的、経済的な正義を要求するものだと気付くだろう。銀行への救済措置を禁止すること、財政への法的監査を設けること、富裕層に課税すること、教育を脱民営化すること、化石燃料と農業への助成金に手を付けること、などなど。法的な変革への強烈な参与とその実践は、正義を実現するための努力なのだ。そして、覚えておくべきことは、政党とは異なり、ゼネストの参加者たちは、実際にものごとが変化するまで、妥協する必要がないということだ。既に圧力は功を奏している。一一月には、五%の手数料を徴収しようとした、デビットカードに対して勝利を見た。

 ゼネストは常に、ある意味では「ウォール街」に対するものであり、より広い言い方では資本主義に対するものだった。しかし、革命もまた、個別の独裁者や王によって代表される、悪い体制に対抗するものであったために、「革命」という我々の概念も、武装闘争や暴力の行使、体制転覆と混同されている。ロシアではツァーだったし、中国では腐敗した封建制度とヨーロッパによる植民地支配だった。ラテンアメリカではラティフンディウム制だったし、フランスではブルボン家による君主制だった。アメリカではハノーヴァー家による君主制であり、後には奴隷所有制度だった。今日のアラブ世界では、チュニジアのベンアリであり、エジプトのムバラクである。

 対照的にも、占拠運動においては、ゼネストの精神はその中へと入り込んでおり、アメリカの市民的不服従の伝統と協働している。つまり、市民たちは規制撤廃された資本主義国家に抗しているのであって、特定の個人または体制に抗しているのではない。それゆえ、短期的には我々は、民衆ではなく、ビジネスと銀行に対して国家に責任を持たせている、法律を変えなければならない。そして、長期的には、正義への意志を生かしてゆく教育を確立し、育まねばならない。



訳者コメント:
 「ウォール街を占拠せよ(OWS)」運動においては、いくつかの自主的なメディアが現れたが、この「ゼネスト」というガヤトリ・スピヴァクの論考が掲載された雑誌『TIDAL』もその一つ(掲載されたのは二〇一一年一二月発行の第一号)で、同誌は「Occupy Theory, Occupy Strategy」をキャッチコピーにしている。

 スピヴァクは、ゼネストという概念の変遷をたどりながら、その現在的な意義を考察している。ここでは、単に労働者のみがゼネストを担う存在ではなく、彼女がグラムシから取り入れた用語に従えば、「サバルタン」たちがゼネストを担うとされる。

 OWSという特異な社会運動が発生した条件の一つとして、スピヴァクがここで述べているように、それまでマイノリティたちだけが経験していたような社会的な状態に、新自由主義の侵攻によって、中産階級に属する人々もまた置かれるようになったことがある。

 当然ながら、「九九%」としてまとめられることには、差別と抑圧の問題を隠蔽しかねないという問題がある。この点については、前半のみながら既に訳出したアンジェラ・デイヴィスのスピーチや、『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』の特に「ポキュパイ」の章を参照されたい。

 なお、翻訳に当たっては、初出である『TIDAL』誌所載のものに基づいている(上記のリンクからPDFがダウンロードできる)が、同誌に掲載されたものは誤記が多いために、『The Occupied Wall Street Journal』のウェブサイトに掲載された同じ論考も適時参照した。




by BeneVerba | 2013-03-18 08:23 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
宣伝ツイート連続でいかせてもらいます。
at 08:44:53


【宣伝】『ウォール街を占拠せよ: はじまりの物語』http://www.amazon.co.jp/dp/4272330780/ 当事者自身が書いた運動のインサイドストーリーです。といっても、主観的なものではなく、記述的な文章が続く、ある意味で「地味な本」です。つまりノンフィクションですね。
at 08:45:31


【宣伝】『ウォール街を占拠せよ: はじまりの物語』http://www.amazon.co.jp/dp/4272330780/ 基本的に、この本にはスピーチの貯めに訪れては帰る「スター」は登場しません。運動内部の各作業部会(ワーキンググループ)の役割分担や活動を知ることができるのは、この本だけだと思います。
at 08:46:10


【宣伝】『ウォール街を占拠せよ: はじまりの物語』http://www.amazon.co.jp/dp/4272330780/ 他の章もそうですが、特に「はじまり」の章において「アラブの春」や「M15運動」とのつながり(抗議活動の地球規模の連鎖)が触れられています。この章の訳註は頑張って書きました。
at 08:46:35


【宣伝】『ウォール街を占拠せよ: はじまりの物語』http://www.amazon.co.jp/dp/4272330780/ この本はある意味では、ズコッティ公園(リバティ広場)が主人公と言えるでしょう。公園内部の対立や人種間の対立にも触れられています。とくに「ポキュパイ」の章は深い内容です。
at 08:47:24


【宣伝】『ウォール街を占拠せよ: はじまりの物語』http://www.amazon.co.jp/dp/4272330780/ 写真が豊富なのは、類書の中でもこの本だけです。笑えるものから、意外なものまで厳選して掲載してあります。写真にはあえて説明をつけませんでした。
at 08:47:47


【宣伝】『ウォール街を占拠せよ: はじまりの物語』http://www.amazon.co.jp/dp/4272330780/ 写真で私のお気に入りは、女の子が掲げる「政府は私のお友達じゃない(The Government is Not My Friend)」です。これをまだ理解していない人がたくさんいます。
at 08:50:56


以上宣伝でした。
at 08:51:50

by BeneVerba | 2012-11-07 08:58 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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 ギル・スコット・ヘロンは、一九七一年に「革命はテレビに映らない(The Revolution Will Not Be Televised)」とラッピングした。スライ・ストーンは、同じ年に発表されたアルバム「There's a Riot Goin' On(暴動が進行中である)」に、アルバムと同名の「曲」を入れた。マーヴィン・ゲイはやはりこの年に発表されたアルバムのタイトル・トラックで、「今起きていること(What's Goin' On)」に目を向けるように呼びかけた。

 その四〇年後にあたる昨年二〇一一年、とてつもなく多様で流動的な反資本主義運動「ウォール街を占拠せよ」(OWS)が起きた。

 OWSやその周辺の情報について調査していると、自分のブログに突き当たることがよくある(もちろん、それまで存在を知らなかった情報にたどり着くこともある)。あるいは関連する情報を調べていくと、まとまったものが存在せず、複数の記事が伝える断片から全体を構成しなければならなかったりする。

 この問題は、『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』の訳註を書く時に、深刻なものとなった。参考にできる書籍はほとんど存在しなかった。情報を求めて、一日中インターネットをあさり、わずかな記述のために図書を読み、問い合わせのメールを送信する日々が続いた。そうした調査の結果が訳註の一行や一節に変わった。訳註のみを書く専門家を雇いたいと思った。

 『はじまりの物語』が発行されたのは、奥付では九月一七日である(実際には配本はもっと遅れた)。ニューヨークからのルポが寄せられている『デモ!オキュパイ!未来のための直接行動』は、八月二八日発行。『市民蜂起/ウォール街占拠前夜のウィスコンシン2011』が一〇月一日発行。昨年に始まったことが、本格的な日本語の情報になり始めたのはごく最近のことだ。今後には、作業中と聞いている、スペインの五月一五日運動についての書籍の邦訳が控えているはずだ。

 世界の運動は進行中である。今も動いている。私はそのような条件のもとに訳している。このブログやその他で。

 これからより情報が伝わるにつれて、日本にいる人々が世界の動向に気付き始める可能性はある。だが、運動の情報を日本語に翻訳したり、それを読んだりするよりも――それも悪くないが――もっと良いのは、おそらく何かに参加することであり、自分(たち)で何かを始めることだ。




by BeneVerba | 2012-10-27 05:52 | Trackback | Comments(0)
『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』へのTwitter上での感想その他
2012年10月26日
原文:http://togetter.com/li/394800

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説明:
私が翻訳した『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』についての現時点での感想を集めてみました。残念ながら、日本のOWSに対する状況は、不十分な報道を元に、勝手に想像したOWS像に基づいて論評されている状態です。

皆さんもぜひTwitterその他で、この本へのフィードバックをお寄せ下さい。また、リストに自分のツイートも入れてほしいと言う方、あるいは、Togetterには自分のツイートを使ってほしくない方は、コメント欄もしくは私のTwitterでお知らせ下さい。

- 大月書店:『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b103380.html


ツイート:


ライターズ・フォー・ザ・99% 著・芦原省一訳 『ウォール街を占拠せよ はじまりの物語』 http://t.co/2NjZoK1l を版元の大月書店から頂いた。感謝。解説を書いている高祖岩三郎氏は、ウォール街占拠運動に深くかかわっている方。この本は大いに期待できる。写真も多数。
kawazoemakoto 2012/09/28 11:17:13


すばらしい力作です!@BeneVerba さんが半年かけて翻訳してくれました。写真・訳注の豊富なウォール街占拠の定番本!★『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』(芦原省一訳・大月書店)http://t.co/l0785AYk ★ブログ案内http://t.co/HM3iXfYB
beyondaki 2012/10/03 18:09:47


@amardayo ちょっと、宣伝も兼ねていますが、でも当事者たちの声が豊富な良い本だと思います。岩波の本(「私たちは99%だ」)よりずっと具体的です。これでスペイン本があれば、完璧ですね。 @BeneVerba  
beyondaki 2012/10/03 18:38:42


みなさん、オキュパイ・ウォールストリートはすでに終わったと思っておいででしょうけど、そんなことはありません。本体はネット上の平滑空間に移行し1周年とかメーデーとか、大統領選討論会時に条里空間たるリアルの場に舞い降ります。中心を持たないこと、あるいは全員がリーダーとなることの実践。
gonoi 2012/10/04 12:34:21


『ウォール街を占拠せよ はじまりの物語』( @BeneVerba さん翻訳、高祖さん解説)http://t.co/TKfgClYY を大月書店さんからご恵投頂きました。いまの非制度的・非議会主義の直接民主主義を知る上で必読の書。装幀はRLLの川邉雄さん、作品として見ても綺麗デス!
gonoi 2012/10/04 12:43:51


『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』(芦原省一訳、大月書店、2012年10月刊――奥付は、「一周年記念」の9月17日「第一刷発行」となっていますが)読了。BeneVerbaさん、よい仕事をされました。芦原さんのご苦労に感謝。http://t.co/E0DbPjvG
hirotatessai 2012/10/08 10:51:07


山形が即席訳したが、訳者本人は全く理解できていないイエス!マガジン本のエッセンスを引用する。(1)People who've experienced the power of having a voice will not easily go back to silence.
hirotatessai 2012/10/13 11:23:43


(2) People who've found self-respect will work hard to avoid a return to isolation and powerlessness; the Occupy Wall Street movement
hirotatessai 2012/10/13 11:24:55


(3)gives us reason to believe that we the people can take charge of our destinies. The 99% are no longer sitting on the sidelines of history
hirotatessai 2012/10/13 11:25:57


we are making history.歴史をつくるのは民衆だ、と言っている。2012年のケベック、チリ、ギリシャ、スペイン(まだある)の運動を山形は知らないのか。2011年「から」の運動のグローバル連動性・相互ネットワーク性は、いまも続いているし、「未来を予示」している。
hirotatessai 2012/10/13 11:31:40


まあ、「相手にする必要もない糞」かもしれませんが、糞に言いがかりのケチをつけられた「新進気鋭の翻訳家」の芦原さんを応援したくなりました。
hirotatessai 2012/10/13 11:48:27


それにしても、アルゼンチンの2001年危機について調べれば調べるほど、いまギリシアやスペイン――否、世界中で起こっていることとの類似性に気づかされる。ネオリベラリズムがもたらした危機は深く、グローバルなものであり、それに対する抵抗も深く、グローバルに連動している。
hirotatessai 2012/10/13 12:16:59


「2011年から」の運動は、今も続いている――否、拡大しているし、明らかに未来(の、すくなくとも、「もう一つ」の方向性)を予示している。このことに気づかない「知識人」や「ジャーナリスト」は似而非だし「糞」だ。このことは、いずれ歴史が証明するだろう。
hirotatessai 2012/10/13 12:21:03


ちなみに、わたしは「左でも右でもなく前へ!」主義者のデモクラットである。右翼や中央派でないのは明白だろうが、旧左翼でも新左翼でもないので、誤解なきよう。笑
hirotatessai 2012/10/13 12:26:13


出かける前にもう一言。芦原さんの翻訳書のメリットは、①OWS内部の対立と多様性が具体的に描かれている点、および、②OWSがある意味では「計画され、組織された運動」であったことを明らかにした点にある。この二点は、それ以前の二冊の邦訳書では読み取れなかった点だ。。
hirotatessai 2012/10/13 12:59:30


Writers for the 99%著「ウォール街を占拠せよ」感想文。民主主義に多数の入り口をつくろうと草の根運動<人間マイク>は訴える。差別に対する闘いを欠いた入り口はひとつもない。このウォール街人民広場という開かれたテクストを日本人がどう読もうとするのかという問いかけがある
owlcato 2012/10/14 21:50:52


Writers for the 99%著「ウォール街を占拠せよ」感想文。民主主義に多数の入り口をつくろうと草の根運動<人間マイク>は訴える。差別に対する闘いを欠いた入り口はひとつもない。このウォール街人民広場という開かれたテクス http://t.co/wZxGrx3i
owlcato 2012/10/14 21:52:31


ライターズ・フォー・ザ・99%『ウォール街を占拠せよ』(大月2012)拝読。ジェネラルアセンブリーの運営、人民マイク、トゥインクリング、公園における内部対立の様相まで、「OWSそれ自身が語るような本」というように、類書の中ではOWS運動の内実を最も詳細に記録するものとして拝読。
AkaiOHI 2012/10/15 01:30:04


『ウォール街を占拠せよ はじまりの物語』http://t.co/0QaArKnl この本、けっこうおもしろくて参考になるんだけど、訳文がヘボすぎて読み進めるのがしんどい。@BeneVerba は改訂版を出すべし。
kdxn 2012/10/15 01:13:00


お買い上げありがとうございます。「日の丸と歴史修正主義を許容しない、レイシズムを許容しない、団体旗を禁止しない」の明確化はまだでしょうか? RT @kdxn 『ウォール街を占拠せよ はじまりの物語』http://t.co/SuLozZBy この本けっこうおもしろくて参考になる…
BeneVerba 2012/10/15 04:12:50


@BeneVerba 歴史修正主義とレイシズムは許容してませんし団体旗は禁止してません。
kdxn 2012/10/15 04:13:40


@kdxn 針谷大輔を許容しているでしょう。
BeneVerba 2012/10/15 04:14:52


@BeneVerba 針谷大輔というのは人の名前であって、歴史修正主義ともレイシズムともイコールではないです。
kdxn 2012/10/15 04:15:49


@kdxn ふーん、そうですか。
BeneVerba 2012/10/15 04:17:14


僕としては原文が見える(推測できる)訳文でよかったけどね。記録として読むか、運動論として読むか等によっても評価は違ってくる。こういう意見もあるだろうね。> [ユーモア:『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』を反原連の野間氏が大絶賛!!] http://t.co/bu90DpHN
spiral_cat 2012/10/15 19:32:16


「ウォール街を占拠せよ」を読んでる途中。訳文がいささか生硬だという印象はあるけれど、野間先生がいう風にへぼだとは思わない。原注がほぼない(学術論文の類ではないので)が、訳注で補われている説明は素晴らしい。
ShiraishiM1970 2012/10/15 20:12:43


「ポキュパイ」の章ぐらいまで読んだ。ジェネラルアセンブリーという徹底した直接民主主義の追求と、そこから予め排除されていると感じる集団の葛藤。それは占拠以前の社会関係からの地続き。内部から誠実にそれを語った記録であると思う。
ShiraishiM1970 2012/10/15 20:24:25


「ウォール街を選挙せよ はじまりの物語」をかった。いま、ブルックリン橋高の章。700人大量弾圧の件。涙腺が崩壊ぎみだ。電車の中なのにやばい。
secretaria1988 2012/10/21 11:11:16


「逮捕を喰らうまで、私がいつも抱えていた問題の一つは、...そう、いつもぶらついたり、あれこれくだらないばかりやっていたが、本当には人々にであった感じがしなかったということだった」ウォール街を占拠せよはじまりの物語p.55
secretaria1988 2012/10/21 11:17:52


アーレントは〈活動〉こそが、現れのためのものだと言う。活動は、OWSは、人々から奪われていた〈活動〉を回復するインフルであり、手続きだったのかも。そして、OWSによって人々は現れてきたのではないか。
secretaria1988 2012/10/21 11:24:27


OWSもう一つの物語。まだまだ読んでいる途中。ブルックリン橋の大弾圧で質的転換、拡張を迎えるというのが面白い。クレバーに「逃げた」人、逃走を助けた人も含めて。弾圧はあるし、逃げたいし、逃げることは自然でまともだ。だけど、引き受けざるえない人がいて、そこから、またはじまる。
secretaria1988 2012/10/22 00:52:36


ブルームバーグヴィル、NYCGA、OWSの運動の共通点で、「とりわけ重要なのは、世界中の抗議者たちが、象徴的な重要性を持つ空間を占拠し、意志的に共同体を築き上げながら、自分たちが住みたいと望む社会…の、縮小版を創造しようとしていること」(『ウォール街を占拠せよ はじまりの物語』)
shiro_yamate 2012/10/22 12:44:32


いま、気づいたらスタバでOWSの本を読んでいた。偽サヨクなのがバレる。あー、情けない。 http://t.co/5P7jV8hz
secretaria1988 2012/10/22 18:37:37


「私は司書。図書を整頓することができる。今このとき、図書を整頓することは革命的行為」OWSもう一つの物語p.94
secretaria1988 2012/10/22 19:26:05


人民図書館の古本屋のくだりはやばいな。不覚にも落涙。それもスタバ。くそ。
secretaria1988 2012/10/22 19:35:05


ジェシー・ジャクソンが、参加するために花壇をよじ登っていた。ジャクソンは、「私は訪問しているのではない。占拠しているのだ」と言い、抗議者たちと腕を組んだ。/警官たちは引きさがり、やがて消えていった。OWSもう一つの物語p.122
secretaria1988 2012/10/22 20:06:47


「『ウォール街を占拠せよ』は、自分たちが明言するほど多様でも安全でもなかった」「この運動は、差別を感知する能力を欠いた欠陥論理を、危ういほど黙認する個人たちによって、人種的に敵対する社会の中に生み出されたものだった」 OWSもう一つの物語p.143
secretaria1988 2012/10/22 20:27:38


(リブカの)六歳と十二歳の娘たちは、占拠の期間中、ほとんどの週末をズコッティで過ごしていた/リブカがいつも冗談として口にするように、「これは家族のお出かけかしら、それとも革命?」なのだった。
secretaria1988 2012/10/22 21:03:44


『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』が正式な書名となります。@secretaria1988
BeneVerba 2012/10/23 16:35:08


『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』の「ポキュパイ」の章には、「占拠がマイノリティにとっては、経済的苦境だけでなく、OWSがもう一つの負担となっていることが書かれています(もちろんそれだけが書かれているのではありません)。続く。
BeneVerba 2012/10/23 20:26:12


(承前)気になるのは、私と同じ反原連批判の態度をとる立場の人に、「占拠運動は白人中心主義」「占拠運動は帝国主義の問題を考えていない」という誤解ないし見解が多そうなことです。 そうした問題について積極的に触れているのは『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』だけです。ぜひお読みを。
BeneVerba 2012/10/23 20:40:40


今読了。1冊のパンフレットや書籍を、人を活動家にさせる事がある。これはそういう稀有な例の一つだと思う。占拠したい!Rt @BeneVerba: 【RT希望】◆『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』 http://t.co/syBjDIrd
secretaria1988 2012/10/25 18:07:27


やや真面目に感想をいうと、やっぱ労働運動せんといかんな、と。オキュパイが経済闘争であることは自明であるが、改めて確信。ウィスコンシンのような闘いをせねば。Rt @BeneVerba: 【RT希望】◆『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』 http://t.co/syBjDIrd
secretaria1988 2012/10/25 18:11:46


OWSが多様な価値観や思想潮流の合流点なりえたのは、やはり経済闘争であったからだろう。失業の増大、公務員の賃下げ、学費値上げ、医療福祉のカットなとなど。そういった全面攻勢への反撃としての「占拠」。故に、軍や警察に所属する人々に対して離反を求められる。
secretaria1988 2012/10/25 18:25:59


OWSという運動を参照して学ぶのは、広範な連帯を可能にする、経済闘争という方向性と、各戦線を結びぶ、デモクラシーだろう。GAを合意の技法としてではなく、各戦線、潮流を結ぶ、思想/実践として学ばねばなるまい。日本における輸入がうまくいかないのは(輸入自体は悪くない)、このあたりかな
secretaria1988 2012/10/25 18:34:07


数日間の感想ツイートありがとうございました。 編集者さんと「地味な」本ということで意見が一致していたのですが、力のある本と言ってもらえて嬉しいです。RT @secretaria1988 1冊のパンフレットや書籍を、人を活動家にさせる事がある。これはそういう稀有な例の一つだと思う。
BeneVerba 2012/10/25 19:08:08


そこら辺が日本との違いですね。まだ左翼や労組を忌避している。 RT @secretaria1988 やや真面目に感想をいうと、やっぱ労働運動せんといかんな、と。オキュパイが経済闘争であることは自明であるが、改めて確信。ウィスコンシンのような闘いをせねば。RT 『はじまりの物語』
secretaria1988 2012/10/25 18:11:46


もはや活動家モードなので(笑)、嘆いたりはしないです。あの本で会った事もない活動家とつながっていることを知ったので。左翼フォビアをこえて、どうズコッティをつくるのか、それが今の関心です。Rt @BeneVerba: そこら辺が日本との違いですね。まだ左翼や労組を忌避している。
secretaria1988 2012/10/26 00:10:41


「『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』を今日読み終えた。精読とはいい難い。電車、昼休みによんだ。スタバでもよんだ。読み終えたあと感じたのは、人に読ませたいという感情。だから、さっき人にあげてしまった。こんなことは、はじめて。 http://t.co/syBjDIrd
secretaria1988 2012/10/26 00:17:54


活動家の諸氏は日々敗北の連続だろう。練にねったオルグ作戦は失敗続きかもしれい。でも、止めないのはなぜ。勝てる確信が多分あるのだ。たぶん。私個人は、それなりの手応えを、感じることがある。長年進めてきたオルグもたまに芽を出すようになってきた。いや、勝てるんだよ。まじで。
secretaria1988 2012/10/26 00:44:53




コメント:


まとめを更新しました。
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今回の更新は、廣田鉄斎さんの山形浩生氏への批評を自主的に削ったことと、 野間易通氏の書籍への表現を独立したセクションとせず統合したことです。
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書籍への表現→書籍への評言
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コメント欄にて補足します。「気になるのは、私と同じ反原連批判の態度…」というツイートは気持ちが先走りすぎたかもしれません。この本を訳している時に「ポキュパイ」のような動きがあることを知ってほしいという思いが強かったので。今言うのならば、むしろ反原連関係者に読んでほしい。反原連と同様とも言えなくもない、「社会の悪に立ち向かった運動が、それを再生産してしまう」ということが書かれているからです。その意味で野間氏にはそこまで読んでほしいですね。
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まとめを更新しました。訳者が人々の感想を自分でまとめるのもどうかと思いますが、誤読などを除外すれば、訳者に訳した本の解釈を独裁する権利はありません。私の読み方と異なる読み方があってむしろ読者の方から学んでいます(これもSNS時代のあり方かもしれません)。
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by BeneVerba | 2012-10-26 11:14 | 転載 | Trackback | Comments(0)
ウォール街を占拠せよ:今世界でもっとも重要なこと
Occupy Wall Street: The Most Important Thing in the World Now
2011年10月06日 - ナオミ・クライン
原文:http://www.naomiklein.org/articles/2011/10/occupy-wall-street-most-important-thing-world-now

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Photo by David Shankbone



*私は、木曜日の夜に「ウォール街を占拠せよ」で話すように招かれるという、栄誉を授かった。恥ずべきことに拡声器が禁止されていたので、私が言ったことは全て、他の人々にも聞こえるように、何百人もの人々によって復唱されなければならなかった(別名「人間マイクロフォン」[1]。そのために、実際に私がリバティ広場で口にした言葉は、非常に短いものでなければならなかった。そのことを念頭に置いてほしい。これはより長い、ノーカット版のスピーチである[2]


 あなたたちを愛しています。

 私は今、あなたたち数百人に向かって「あなたを愛しています」[3]と大声で返しなさい、とは言いませんでした。これは明らかに人間マイクロフォンのボーナス機能ですね。他の人たちから自分に言ってほしかったことを、自分から他の人たちに言ってください[4]。ひたすら大きな声で。

 昨日、労働者のデモで講演者の一人がこう言いました。「我々はお互いを見つけたのだ」と。この感慨は、まさに今ここで創造されているものの美しさを捉えています。それは、より良い世界を望んでいる全ての人たちが、お互いを見つけることのできるように大きく開かれた空間です。そして、同じくらいに、どんな空間でさえも収容できないほどの大きなアイディアです。私たちは今とても大きな嬉しさに包まれています。

 私が知っていることが一つあるとすれば、かれら一%の富裕層たち[5]は、危機を愛しているのだということです。人々がパニックに陥り、絶望し、何をすればいいのか誰も見当がつかない、その時こそ、かれらが自分たちの「ほしい物リスト」、つまり企業優先の政策を押し通す絶好の機会なのです。教育と社会保障を民営化すること。公共サービスを大幅に削減すること。企業の力に対する最後の制約を取り除くこと。現在の経済危機の最中で、これこそが世界中で起こっていることなのです。

 そして、この戦略を防ぐものがたった一つだけ存在します。幸いにも、それはとても大きなものです。それは九九%です。この九九%がマディソンからマドリッドまで通りに繰り出して[6]、「ノー、私たちはお前たちの危機に金を払うつもりはない」と言うことです。

 そのスローガンは、二〇〇八年にイタリアで始まりました。そして、それはギリシャ、フランス、アイルランドと飛び跳ねていき、はるばると旅をして、遂に危機が始まった場所へとたどり着きました。

 「かれらはなぜ抗議しているんだ?」。テレビでは当惑した識者たちがそう訊ねています。 その一方で、世界の残りはこう訊ねているのです。「なんでそんなに時間がかかったんだい?」。「いつになったら現れるのかと思っていたよ」。そして何よりもこう言っているのです。「ようこそ」と。

 多くの人々が「ウォール街を占拠せよ」と、一九九九年にシアトルで世界の注目を集めた、いわゆる反グローバリゼーション抗議運動[7]との類似点を比較しています。あれはグローバルで、若者主導で、分散型の運動が、企業の力に対して直接的に狙いを定めた最後の時でした。そして私は、私たちが呼ぶところの「諸運動による運動(the movement of movements)」の一部だったことを、誇りに思っています。

 しかし、そこには重要な違いもまたあるのです。たとえば、私たちは目標として、世界貿易機関(WTO)、国際通貨基金(IMF)、G8といったサミットを選びました。サミットはその性質上一時的なもので、一週間続くだけです。それはつまり、私たちもまた一時的な存在であったということです。私たちは現れ、世界中のメディアの見出しを飾り、そして消えました。それから、九・一一攻撃に続く苛烈な愛国心と軍国主義の狂乱の中で、私たちを完全に一掃するのは容易なことでした。少なくとも北アメリカではそうだったのです。

 一方で、「ウォール街を占拠せよ」は固定された標的を選びました。あなたたちは、ここでの自分たちの存在に、終了期日を設けていません。これは賢明なことです。あなたたちが居続けるその間だけ、あなたたちは根を伸ばすことができるのです。これは決定的なことです。あまりにも多くの運動が美しい花々のように咲き誇り、すぐに死に絶えていくのが情報化時代の現実です。なぜなら、それらは土地に根をはっていないからです。そして、どうやって自分たち自身を維持し続けるのかという、長期的な計画を持っていないからです。だから嵐がやって来ると、洗い流されてしまう。

 水平的かつ深く民主的であることは、とても素晴らしいことです。しかし、そうした諸原則は、これからやって来るであろう嵐に耐えることのできる、頑丈な構造や組織を築き上げる重労働とも共通するものなのです。私は、それがやがて起こるのだと確信しています。

 他にもこの運動は正しいことをしています。あなたたちは、非暴力であろうと決心しています。あなたたちは、メディアが切望している、壊れた窓や通りでの乱闘のイメージを与えまいとしています。そしてその驚くべき自制心は、警察の恥ずべき不当な暴力が、いくどとなく話題になるという結果を引き起こしているのです。それこそまさに、私たちが昨晩に多く目撃したものです[8]。一方で、より多くの知恵とともに、この運動への支持は拡大し続けています。

 しかし、一〇年という歳月がもたらした最大の違いは、一九九九年には、熱狂的な好景気の絶頂時に、私たちは資本主義と対決していたことです。失業率は低くて、株式のポートフォリオは急騰していました。メディアは金融緩和政策に酔い、当時は操業停止(shut downs)ではなく、新設企業(start-ups)に関する報道ばかりでした。

 私たちが指摘したのは、その熱狂の背後にある規制撤廃が相当の犠牲を払うものであるということでした。それは労働基準に損害を与えていました。それは環境基準にも損害を与えていました。企業は政府よりも強力になろうとしており、民主主義に損害を与えていました。しかし、正直に言って、良い時代が過ぎる中で、貪欲に基づく経済システムに対して挑戦することは、困難な説得でした。少なくとも豊かな国々ではそうだったのです。

 一〇年後の今、もはや豊かな国などないかのようです。ただ、たくさんの豊かな人たちがいるだけです。公共の富を略奪し、世界中の天然資源を使い尽くしながら、豊かになった人たちです。

 論点は、今日では誰もが見て取れるように、このシステムがとてつもなく不公正で、制御不能なまま疾走していることにあります。足かせをはずされた貪欲は、世界経済を破壊しました。そしてそれは同じく、自然界も破壊しているのです。私たちは海を乱獲し、水圧破砕(フラッキング)と深海掘削で水を汚染し、アルバータ州のタール・サンドのような、地球上でもっとも汚いエネルギーの形態へと向かっています[9]。そして、私たちが排出する炭酸ガスは、その総量を大気が吸収することはできず、危険な温暖化を引き起こしています。複合的な災害が新たな常態となりました。経済的であり生態的である災害です。

 これらは紛れもない現実です。一九九九年に比べて、こうしたことがあまりにも露骨で、あまりにも明白なため、公衆が理解するのも、素早く運動を構築するのもはるかに容易なのです。

 私たちがみな知っているように、あるいは少なくとも感じているように、この世界は逆さまなのです。私たちは、実際には有限であるものに対して、まるで尽きることがないかのように振る舞っています。化石燃料とその排出物を吸収する大気中の余地のことです。そして私たちは、実際には豊富であるものに対して、まるで厳格で不動の限界があるかのように振る舞っています。私たちが必要とする種類の社会を構築するための財源のことです。

 私たちの時代の課題は、これをひっくり返すことです。この偽の希少性に挑戦することです。私たちには、まともで包摂的な社会(decent, inclusive society)を構築するだけの余裕があるのだ、と主張し続けることです。その一方で、同時にまた、地球が引き受けることができる本当の限界にも配慮することです。

 気候変動が意味しているのは、私たちはこれを、締め切りまでに成し遂げなければならない、ということです。今度は私たちの運動は、事件によって気を逸らされても[10]、分断されても、燃え尽きても、一掃されてもなりません。今度こそ、私たちは成功しなければなりません。私が言っているのは、銀行を規制し、金持ちに増税することではありません。それらも重要なことではあるとはいえです。

 私が言っているのは、私たちの社会を統治している根本的な価値観を変える、ということです。それは、メディアが好むような一つの要求にぴったり収めるのは難しいし、どういう風に成し遂げればいいのか把握するのも難しいことです。しかし、難しくてもなお緊急を要することなのです。

 しかし、私はそれを、この広場で起こっていることに見ています。お互いに食べ物を与えあい、お互いに暖を取りあい、自由に情報を共有し、無料で医療や瞑想の授業を提供し、エンパワーメントの訓練を施すというやり方の中に[11]。ここで見つけた私のお気に入りのサインは、「あなたのことを気にかけている(I care about you)」というものです。お互いの視線を避けるように人々を訓練して、「奴らには死なせておけ」と言わせる文化において、これは深遠でラディカルな声明です。

 最後にいくつかの考えを述べましょう。この偉大な闘争の中で、重要ではないいくつかのことがあります。

  • 私たちが何を着ているのか。
  • 私たちは拳を振り回すのか、それともピース・サインを作るのか。
  • 私たちのより良い世界への理想を、メディアのサウンドバイト[12]にうまく合わせられるか。

 そしてここに、重要ないくつかのことがあります。

  • 私たちの勇気。
  • 私たちの倫理的な基準。
  • 私たちがお互いをどのようにとり扱うのか。

 私たちは、経済的にも政治的にも地球上でもっとも強力な勢力に、喧嘩をふっかけました。それは恐ろしいことです。そしてこの運動が、ますます強力に成長するにつれ、もっと恐ろしいことになるでしょう。そこには小さな目標へ移行するという誘惑があることに、常に警戒しておいてください。たとえば、この集会であなたの隣に座っている人に対して、のようにです。結局のところ、それは勝つのが容易な闘いなのです。

 そうした誘惑に屈してはなりません。私はくだらないことで言い争うな、とは言いません。しかし今度こそは、これからの長い長い年月のために、私たちが協力して働こうと計画したかのように、お互いをとり扱いましょう。なぜなら待ち受けている課題が、まさにそれを要求するからです。

 この素晴らしい運動を、それが世界でもっとも重要なことであるかのように取り扱いましょう。なぜなら、実際にそうだからです。本当にそうなのですから。



    訳註:
  1. 「人間マイク(human mic)」または「人民マイク(people's mic)」は、一人の言葉を周りにいる人々が繰り返し、より遠くにいる人々がさらにそれを繰り返すことで、拡声器を使用せずに多数が意思疎通することのできる言語伝達法。『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』(大月書店)では、数千人の人間がファシリテーターを取り囲んでいたために、いわば仕方なく使うようになったという趣旨の記述もある。
  2. このスピーチ原稿は、二〇一一年一〇月一日発行の『オキュパイド・ウォール・ストリート・ジャーナル』紙(運動の情報紙)の創刊号に掲載された他、『ザ・ネイション』の電子版でも一〇月六日付で発表されている。
  3. 英語の二人称代名詞目的格「you」に、複数と単数の区別がないために、「I love you」という言葉を一人が多数に言う時とその逆で意味の違いが出てくる。
  4. 原文「Say unto others what you would have them say unto you」は、マタイの福音書(7-12)の「Do unto others as you would have others do unto you(己の欲する所を人に施せ)」を意識した言葉だと思われる。
  5. 経済学者のジョセフ・E・スティグリッツは、雑誌『ヴァニティ・フェア』二〇一一年五月号の「一%の、一%による、一%のために(Of the 1%, by the 1%, for the 1%)」という記事で、「最富裕層の一%のアメリカ人が国民所得の四〇%を毎年獲得して」いると述べている。また、チョムスキーは一%と九九%の対立を、実際の数字ではなくとも「imagery」なものだと語っている(拙訳はこちら)。また、ThinkProgressの「一%の最富裕層アメリカ人について知っておくべき五つの事実(How Unequal We Are: The Top 5 Facts You Should Know About The Wealthiest One Percent Of Americans)」(拙訳はこちら)という記事も参照のこと。
  6. ウィスコンシン州の州都マディソンでは、団体交渉権剥奪法などを進める共和党のスコット・ウォーカー知事に対して、二月中旬から大規模な抗議が行われ、州議会議事堂が占拠された。マドリッドはスペインの首都で、そのプエルタ・デル・ソル広場は五月一五日運動(M15)の発祥の地。こうした抗議の地球大の連鎖、もしくは相互の影響については前掲『はじまりの物語』の他に、『市民蜂起――ウォール街占拠前夜のウィスコンシン2011』(かもがわ出版)を参照。
  7. 一九九九年一一月末からシアトルで開催されたWTO閣僚会議に、世界中から五万人から七万人とされる個人や組織が集まって抗議活動を展開し、会議の妨害に成功した。
  8. 一〇・五の抗議行動は、労働組合や学生組織が参加して、それまでで最大規模になるとともに、警察が催涙ガスや警棒などの直接的な暴力をふるった。こうした警察暴力(ポリス・ブルータリティ)についての報道は、大衆の関心をOWSに引き寄せる役割を果たした。RTの次の動画ではその様子の一部を見ることができる。http://www.youtube.com/watch?v=xUpdRt_30UU
  9. 水圧破砕法(fracking)は、頁岩層に大量の水や砂、化学物質を注入してシェールガスを採掘するが、水質や土壌に深刻な汚染をもたらす。効率的な天然ガスの採掘法とされ、石油依存の克服を目指すアメリカなどで注目されている。タール・サンドはオイル・サンド、油砂とも呼ばれる極めて粘度の高い砂岩で、精製の過程で大量の炭素を排出する。
  10. この「事件」の一つとして、九・一一攻撃とその後に続くアフガニスタン・イラク侵略戦争が想定されていることは、スピーチ中で触れられていることからも間違いないだろう。
  11. ウォール街の占拠地は、食堂、図書館などを備えるほかに、医療班(メディクス)とそのテント、「聖なる空間」「聖なる樹」と呼ばれる瞑想場などもあり、瞑想の授業が行われていた(前掲『はじまりの物語』)。なお、原文中では「ヘルスケアを証明する(proving health care)」となっているが、明らかに「提供する(providing...)」の誤記。
  12. 報道機関が、耳目の引きやすさを考慮して、スピーチやインタビューなどから抜き出すごく短い抜粋のこと。




訳者コメント:
 一つ前のエントリで宣言した通りに、これまでに訳したOWS関連の文書を見直していくことにした。いずれはPDFの形に編集し、自由に配布・印刷できるようにしたいと考えている(PDFでなくとも良いかもしれない。是非ご意見を)。また、以前の訳文を残しておくため、読者に新しい翻訳の完成を知らせるためなどの理由で、新しいエントリとして公表していくことにした。

 訳に当たっては訳註を多くし、全くウォール街占拠になじみがない人にとっても、理解の助けとなるようにした。そのいくつかでは自分の翻訳である『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』を参考としている。理由は、そうするのがふさわしいからである。他にそういった本があればそれを挙げただろう。「ウォール街を占拠せよ」に関しては、未だ極端に日本語での情報が少ないことを考慮してほしい。それがPDFという形態での配布を考えた理由の一つでもある。

 このナオミ・クラインのスピーチは、OWS関連のものとしては、拙ブログでもっとも多くの読者を獲得した。Googleで「ウォール街を占拠せよ」検索すると「ウォール街を占拠せよ:今世界で最も重要なこと」が「他のキーワード」として表示されるくらいだ。このスピーチの和訳を最初に公表してから、一年以上がたつ。「We are so grateful」を、「私たちは大きな嬉しさに包まれています」(以前の稿)と訳したのは今でも誇りである。


10/28の更新:
 訳註も含めて再チェック、主に日本語表現の面で見直した。意味の変わったところはほとんどなく、「これ」を「それ」に変えるなどの微妙な言い回しの調整。おそらく投稿時の操作ミスで、訂正したはずの脱字が残っていたのであらためて訂正。他には、「他の人たちからあなたに言ってほしかったことを、あなたから他の人たちに言ってください」を「他の人たちから自分に言ってほしかったことを、自分から他の人たちに言ってください」に変え、訳註を若干追記した。




by BeneVerba | 2012-10-25 16:17 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
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 いつ頃からかは忘れたが、おそらくは『ウォール街を占拠せよ/はじまりの物語』を訳していた期間に、これまでに発表した「ウォール街を占拠せよ」(OWS)関連の翻訳を基本的に全て見直して、PDFとして配布することを考え始めた。もちろんOWSは『はじまりの物語』にも書かれているように、現在も進行し、発展している運動である。同書中の登場人物ベッツィ・フェイギンの言葉を借りれば、「これは、はじまり――いえ、はじまりですらない。これは今も続いている。急速に発展していってる」ということなのだ。

 とはいえ、もしくはそれだけに、ある程度の期間を区切るのならば、そうした試みには記録としての意味があるはずだ。例えば、OWSが始まってからの一年間、あるいは今年のメーデーまでの文書に限るなど。昨年九月一七日以前のドキュメントを入れることも考えられる。そうすれば、OWSの初期の動向を示すことができるはずだ。また、時系列表のようなものや解説(訳註になるかコラムのようなものになるかわからないが)を、加えることも考えられる。それに写真も入れたい。

 こじつけかもしれないが、OWSが流動的な運動体であるのなら、その翻訳もそうであって良いのではないか?これ以上変更することはないと明言していた、ナオミ・クラインのズコッティ公園でのスピーチ「ウォール街を占拠せよ:今もっとも重要なこと」の訳文も見直すつもりだ。読者がそのPDFを読んで、OWSの最初の一年間(これは厳密な区切りではない)がわかるような小冊子にしたい。

 配布するPDFのライセンスとしてはクリエイティブ・コモンズを考えているが、これはもう少し考えてみる必要がある。なんにせよ、まずおそらくはブログでの更新が最初となるだろう。それらが一通り済んだ段階で、PDFとして配布するという手順になるはずだ。

 私が先に進むためにも、おそらくそれは必要なことだ。




by BeneVerba | 2012-10-24 16:42 | 情報 | Trackback | Comments(0)