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ウォール街を占拠せよ:今世界で最も重要なこと
2011年10月6日 - ナオミ・クライン
URL:
http://www.youtube.com/playlist?list=PLF483E06AFAA6C9F4





キャプション:
 リバティ広場では拡声器が禁止されていたため、人間マイクロフォンが解決策になった。遠くの人々も聞こえるように、群衆が演説者がしゃべったことを反響するのだ。


 「ウォール街を占拠せよ」の皆さん、こんにちは。

 あなたたちを愛してます。

 私は今あなたたちに「私を愛しています」と返すように、とは言いませんでしたね。これは明らかに人間マイクロフォンのボーナス機能です。他の人たちからあなたへと言われたことを、あなたから他の人たちへと言ってください。ずっと大きな声で。

 昨日、労働者のデモで講演者の一人がこう言いました。「我々はお互いを見つけたのだ」と。今ここで形成されている空間の美しさをこの感想はまさに捉えています。大きく開かれた空間の美しさを。同様に、どの空間も収容することができないほど大きなアイディアを。より良い世界を望むすべての人々に、大きく開かれた空間を。それらの人々がお互いを見つけるための。私たちは大きな嬉しさに包まれています。

 私が知っていることが一つあるとすれば、1%の富裕層は危機を愛しているということです。なぜなら危機の間に、パニックと恐怖が支配する時に、彼らのほしい物リストを押し通すことが可能になるからです。さもなければ押し通せない企業優先政策のリストです。そして、彼らは教育を民営化します。そして、彼らは社会保障を狙い打ちにします。そして、彼らはわずかばかりの公共サービスを大幅に削減します。私たちの中でも最も脆い環境に置かれてる人々の役に立つものをです。そして「すまないが、他に選択肢はない。今は危機なのだ」と言うのです。この経済危機の最中、これが世界中で起こっていることなのです。1%の富裕層は、残りの99%である私たちに彼らの法案を押しつけるのです。彼らの危機に乗じてです。

 幸いにも、この戦略を防ぐたった一つのものがあります。それはとても大きなものです。それは99%です。それがマディソンからマドリッドまでで、起こっていることなのです。「私たちはお前たちの危機に金を払うつもりはない!」

 そのスローガンは、2008年にイタリアで始まりました。それはギリシャに素早く広がりました。フランスにもです。そして世界中に飛び火していき遂に故郷へと帰り着きました。危機が最初に生まれた場所へと。

 「彼らはなぜ抗議しているんだ?」当惑した識者たちが訊ねています。その一方で世界の残りはこう訊ねているのです。「何でそんなに時間がかかったんだ?」と。「いつになったら現れるのかと思っていたよ」。そして何よりもこう言っているのです。「ようこそ」と。

 多くの人が類似点を比較しています。「ウォール街を占拠せよ」とかつて反グローバリゼーション抗議運動と呼ばれたものとの。それはとても縛りのない集りの運動でした。そして、反資本主義の運動でした。シアトルで1999年に世界の注目を集めた運動です。私はその一部だったことを誇りに思っています。私たちが呼ぶところの「運動の運動」の一部だったことを。

 両者には類似点もありますがしかし違いもまたあるのです。サミットは一時的なものです。それらはたった一週間続くだけです。そのことが私たちも一時的な存在にしました。私たちは現れ、消えました。それからの愛国心と軍国主義の狂乱の中で、9.11の攻撃に続く狂乱の中で、容易なことでした、私たちを完全に一掃するのは。

 一方「ウォール街を占拠せよ」は、固定された場所を選びました。場所に終わりはありません。これはとても賢明なことです。あなたたちが居続けるその間だけ、根をのばすことができるのです。だから嵐が来た時、私たちが洗い流されることはないでしょう。





 水平的かつ深く民主的であることは、素晴らしいことです。しかしこうした原則は、深い互換性を持っています。建造物や団体を築き上げる重労働と。やって来る嵐を乗り切るのに充分なほど頑丈なそれらを築く行為と。私はそれがやがて起こるのだと確信しています。そしてこの運動はその準備ができているのだと。

 他にもこの運動は、正しいことをしています。あなたたちは非暴力であろうと決心しています。あなたたちは、メディアが切望している壊れた窓や、通りでの乱闘のイメージを与えることを、拒否しています。そしてその驚くべき規律は、警察の恥ずべき不当な暴力に話が及ぶ結果を引き起こしています。それこそがまさに、私たちが昨晩に多く目撃し、非難したものです。一方で、この運動への支持はより強く拡大し続けています。日々拡大しているのです。

 十年という時がもたらした他の違いは、私たちが通りに繰り出していた時には、経済が好景気を迎えていたということです。本当に大変なことだったのです、規制緩和の資本主義について話すのは。特に豊かな国々ではそうでした。

 しかし、十年後の今、もはや豊かな国などないかのようです。たくさんの豊かな人たちがただいるだけです。公共の富を略奪し、豊かになった人たちです。天然資源を使い尽くし、汚染しながらです。

 今日では誰もが見て取れるように、このシステムは制御不能です。足かせをはずされた貪欲は、世界経済を破壊しました。そしてそれは同じく、地球を破壊しているのです。私たちは海を乱獲し、水圧破砕法と深海掘削で水を汚染し、地球上で最も汚い形態の化石燃料へと向かっています。あなたが指揮者ね?そんな感じ。アルバータ州のタール・サンドのようにです。私の国の真ん中に空いたブラック・ホールです。そして、大気は私たちが排出する炭酸ガスの総量を吸収しきれないのです。したがって、新たなる常態は連続的な災害です。経済的であり生態的である災害です。

 私たちがみな知っているように、あるいは少なくとも感じているように、この世界は逆さまなのです。私たちはまるで尽きることがないかのように振る舞っています。実際には有限である天然資源に対してです。そして私たちは、まるで厳格で不動の限界があるかのように振る舞っています。実際には豊富であるものに対してです。私たちが理想とする社会を築くための財源のことです。

 私たちの時代の課題は、これをひっくり返すことです。まともで包摂的な社会築くことは可能なのだ、と主張し続けることです。一方で同時に、地球の自然の限界に注意を払うことです。

 気候変動が意味しているのは、私たちはこれを、締め切りまでに成し遂げなければならない、ということです。今度は私たちの運動は、気を逸らされてはなりません。分断されても、燃え尽きてもなりません。そして私たちは、ここに居続けることで、彼らを崩壊させることができるのです。





 今度こそ、私たちは成功しなければなりません。私が言っているのは、銀行を規制し、金持ちに課税することだけではありません。それらも、ぜひともやるべきですけど。

 私が言っているのは、私たちの文化の根本的な価値観を変える、ということです。それは難しいことです。それをメディアのサウンドバイトにぴったり収めることも難しい。しかし、難しくてもなお緊急を要することなのです。

 それがまさに、この広場で起こっていることです。互いに食べ物を与えあうというやり方の中に。そして、互いに暖めあい、無料で医療を提供し、「瞑想のクラス」と呼ばれているものを提供するというやり方の中に。何?私が瞑想が好きだって知らなかった?私のここでのお気に入りのサインは「私はあなたを気にかけている」というものです。お互いの視線を避けるように人々を訓練する文化において、私たちを「奴らには死なせておけ」と言わせるように訓練する文化において、これはラディカルな声明です。

 私たちのみながその一部であるこの偉大な闘争において、重要ではないいくつかのことがあります。

・私たちが何を着ているのか。
・私たちは拳を振り回すのか、それともピース・サインを作るのか。
・私たちのより良い世界への理想を、合わせることができるかどうか。メディアのサウンドバイトに。

 そして、この偉大な闘争において、重要ないくつかのことがあります。

・勇気。
・私たちの倫理的な基準。
・私たちがお互いをどのようにとり扱うのか。

 私たちは、地球上で最も強力な勢力に、喧嘩をふっかけました。それは少しばかり恐ろしいことかもしれません。この運動が強力に成長するにつれ、もっと恐ろしいことになるでしょう。そこには誘惑が常にあるでしょう。小さな目標へと移行する誘惑が。例えば、あなたの隣に座っている人に対して、のように。結局のところ、それは勝つのがより容易な闘いなのです。

 私はくだらないことで言い争うな、とは言いません。しかし私が言いたいのは、私たちが協力して働こうと計画したかのように、お互いをとり扱いましょう、ということです。これからの長い長い年月のために。なぜならこの闘いが、まさにそれを要求するからです。

 この素晴らしい運動を取り扱いましょう、それが世界で最も重要なことであるかのように。なぜなら、実際にそうだからです。

 ありがとうございました。


運営者より:
 ナオミ・クラインの「ウォール街を占拠せよ」でのスピーチ動画に、日本語字幕を付けて公開。パート1からパート3までの全三本。オリジナルのキャプションと重なって読みにくい部分はご容赦を。既に公開している、彼女の「定稿」に基づく拙訳とはまた違った趣があると思う。例によって、誤訳が含まれている可能性がある。

 字幕を付けるにあたっては、彼女の筆が入ったはずのその「定稿」と、それに対する拙訳とを参照しながら、実際の演説との異同を確認し、ふさわしいものに仕上げたつもりだが、訳者の能力の限界に基づく誤訳があれば、申し訳ない。せめて、彼女の真摯な姿勢と「占拠」の現場の臨場感を感じ取っていただきたい。

by BeneVerba | 2011-10-25 14:01 | 動画 | Trackback | Comments(2)
一〇・一五行動の呼びかけ
October 15th Call to Action
2011年10月14日 - ウォール街を占拠せよ
原文:http://occupywallst.org/article/10-15-call-to-action/


 過去三〇年以上に渡って、一%の富裕層は、我々の人権を侵害し我々の環境を破壊するグローバルな経済システム――新自由主義――を、作り上げてきた。新自由主義は世界的な現象だ。このシステムこそが、あなたにもはや職がない理由であり、あなたが医療費、教育費、食費、住宅ローンをまかなうことができない理由である。

 新自由主義は、盗まれたあなたの未来だ。

 新自由主義は、労働基準を、最低生活賃金を、社会契約を、環境保護を破壊しながら、いたるところに存在する。それは「人類の顔の周囲に触手を巻き付けている大吸血鬼であり、金の臭いのするもの全てを容赦なくその血管に詰め込む」のだ。このシステムは南半球を荒廃させ、グローバルな経済危機――スペイン、ギリシャ、合衆国の経済危機――を引き起こしている。それは貪欲を基盤として築かれたシステムであり、ショックを与えて動揺させることで繁栄するシステムである。

 それは、人類を貧困化することで、一%だけが富むことを許すシステムなのだ。

 このシステムを停めなければならない!
 我々は、民主的かつ経済的に公正な時代の到来を告げねばならない。
 我々は、変わらなければならない。我々は、進化しなければならない。

 一〇月一五日に世界は立ち上がって一つとなり、こう言うだろう。「もうたくさんだ!私たちは新たな始まりであり、分かち合いの繁栄と、尊重と、相互扶助と、尊厳の時代の到来を告げる全戦線における、継続するグローバルな闘いなのだ」。

Actions worldwide



2012/6/3の変更点:
 現在の翻訳基準に合わせて、いくつかの語句の修正。こうした文書を改訳するのはどうかとも思ったが、時間が経ったこともあり、結局は自分に許した。

by BeneVerba | 2011-10-15 01:25 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
ウォール街を占拠せよ:今世界で最も重要なこと
Occupy Wall Street: The Most Important Thing in the World Now
2011年10月6日 - ナオミ・クライン
原文:http://www.naomiklein.org/articles/2011/10/occupy-wall-street-most-important-thing-world-now


 私は、木曜日の夜に「ウォール街を占拠せよ」で話すように招かれるという、栄誉を授かった。アンプが(恥ずべきことに)禁止されていたので、私が言ったことは全て、他の人々にも聞こえるよう、何百もの人々によって繰り返されなければならなかった(別名「人間マイクロフォン」)[1]。そのため、私が実際にリバティ広場(Liberty Plaza)で言ったことは、非常に短いものでなければならなかった。そのことを念頭に置いてほしい。これはより長い、ノーカット版のスピーチである。


 あなたたちを愛してます(I love you)。

 私は今、数百人のあなたたちに、「あなたを愛してます(I love you)」と大声で返してくるように、とは言いませんでしたね。これは明らかに人間マイクロフォンのボーナス機能です。他の人たちからあなたへと言われたことを、あなたから他の人たちへと言ってください、もっと大きな声で。

 昨日、労働者のデモで講演者の一人がこう言いました。「我々はお互いを見つけたのだ」と。この感想は、今まさにここで形成されているものの美しさを捉えています。より良い世界を望むすべての人々が、お互いを見つけるために、大きく開かれた空間を。同様に、どの空間も収容することができないほど、大きなアイディアを。私たちは大きな嬉しさに包まれています。

 私が知っていることが一つあるとすれば、1%の富裕層[2]は、危機を愛しているということです。人々がパニックに陥り、絶望し、何をすればいいのか誰も見当もつかない、その時こそ、彼らが企業優先政策のほしい物リスト(wish list)を押し通す、理想的な時なのです。教育と社会保障を民営化する、公共サービスを大幅に削減する、企業の力への最後の制約を取り除く。この経済危機の最中、これが世界中で起こっていることなのです。

 そして、この戦略を防ぐたった一つのものがあります、幸いにもそれはとても大きなものです。それは99%です。残りの99%がマディソンからマドリッドまで通りに繰り出し、「ノー、私たちはお前たちの危機に金を払うつもりはない」と言うことです。

 そのスローガンは、2008年にイタリアで始まりました。それはギリシャとフランス、アイルランドへと飛び火していき、遂に危機が始まった場所へとたどり着きました。

 「彼らはなぜ抗議しているんだ?」。テレビでは当惑した識者たちが訊ねています。 その一方で世界の残りはこう訊ねているのです。「なんでそんなに時間がかかったんだ?」。「いつになったら現れるのかと思っていたよ」。そして何よりこう言っているのです。「ようこそ」と。

 多くの人が「ウォール街を占拠せよ」と、1999年にシアトルで世界の注目を集めた、いわゆる反グローバリゼーション抗議運動との類似点を比較しています。あれはグローバルで、若者主導で、分散型の運動が、企業の力に対して直接的に狙いを定めた最後の時でした。そして私は、私たちが呼ぶところの「運動の運動(the movement of movements)」の一部だったことを、誇りに思っています。

 しかし、重要な違いもまたあるのです。例えば我々は目標として、世界貿易機関(WTO)、国際通貨基金(IMF)、G8といった、サミットを選びました。サミットはその性質上一時的なもので、一週間続くだけです。それはつまり、私たちもまた一時的なものであったということです。私たちは現れ、世界中のメディアの見出しを飾り、そして消えました。それから、9.11の攻撃に続く苛烈な愛国心と軍国主義の狂乱の中で、私たちを完全に一掃するのは容易なことでした。少なくとも北アメリカではそうだったのです。

 一方「ウォール街を占拠せよ」は、固定された標的を選びました。あなたたちは、ここでの自分たちの存在に、終了期日を設けていません。これは賢明なことです。あなたたちが居続けるその間だけ、あなたたちは根をのばすことができるのです。これは決定的なことです。あまりにも多くの運動が美しい花々のように咲き、すぐに死に絶えていくのが情報化時代の現実です。なぜなら、それらは土地に根をはっていないからです。そして、それらはどうやって自分たち自身を維持し続けるかについて、長期的な計画を持っていないからです。だから嵐が来た時、それらは洗い流される。

 水平的かつ深く民主的であることは、素晴らしいことです。しかしこうした原則は、これからやってくる嵐を乗り切るのに充分なほど頑丈な、建造物や団体(structures and institutions)を築き上げる重労働と、互換性があるのです。私は、それがやがて起こるのだと確信しています。

 他にもこの運動は正しいことをしています。あなたたちは、非暴力であろうと決心しています。あなたたちは、メディアが切望している壊れた窓や、通りでの乱闘のイメージを与えることを、拒否しています。そしてその驚くべき規律は、いくどとなく、警察の恥ずべき不当な暴力[3]に話が及ぶ結果を引き起こしています。それこそまさに、私たちが昨晩に多く目撃したものですね。一方で、この運動への支持は拡大し続けています。より多くの知恵とともに。

 しかし、十年という時がもたらした最大の違いは、1999年には私たちは熱狂的な好景気の絶頂時に、資本主義と対決していたということです。失業率は低く、株式のポートフォリオは急騰していました。メディアは金融緩和政策に酔っていた。当時それは操業停止(shut downs)ではなく、新設企業(start-ups)に関するものばかりでした。

 私たちは、熱狂の背後にある規制撤廃が相当の犠牲を払うものであることを、指摘しました。それは労働基準に損害を与えていました。それは環境基準にも損害を与えていました。企業は政府よりも強力になろうとしており、民主主義に損害を与えていました。しかし、あなたたちに正直に言うなら、良い時代が過ぎる中で、貪欲に基づく経済システムに挑むことは、困難な説得でした。少なくとも豊かな国々ではそうでした。

 十年後の今、もはや豊かな国などないかのようです。ただ、たくさんの豊かな人たちがいるだけです。公共の富を略奪し、世界中の天然資源を使い尽くしながら、豊かになった人たちです。

 論点は、今日では誰もが見て取れるように、このシステムがとてつもなく不公正で、制御不能なまま疾走していることにあります。足かせをはずされた貪欲は、世界経済を破壊しました。そしてそれは同じく、自然界を破壊しているのです。私たちは海を乱獲し、水圧破砕(fracking)と深海掘削で水を汚染し、アルバータ州のタール・サンドのように、地球上で最も汚いエネルギーの形態へと向かっています。そして、私たちが排出する炭酸ガスの総量を吸収しきれない大気は、危険な温暖化を引き起こしています。連続的な災害が、新たな常態となりました。経済的であり生態的である災害です。

 これらが地上の事実(the facts on the ground)です。1999年に比べて、これらがあまりにも露骨で、あまりにも明白なため、公衆が理解するのも、運動を構築するのもはるかに容易なのです。

 私たちがみな知っているように、あるいは少なくとも感じているように、この世界は逆さまなのです。私たちは、実際には有限であるものに対して、まるで尽きることがないかのように振る舞っています――化石燃料とその排出物を吸収する大気中の余地のことです。そして私たちは、実際には豊富であるものに対して、まるで厳格で不動の限界があるかのように振る舞っています――私たちが必要とする種類の社会を構築するための財源のことです。

 私たちの時代の課題は、これをひっくり返すことです。この偽の希少性に挑戦することです。私たちには、まともで包摂的な社会(decent, inclusive society)を構築するだけの余裕があるのだ、と主張し続けることです――その一方で同時に、地球が引き受けることができる本当の限界に注意を払うことです。

 気候変動が意味しているのは、私たちはこれを、締め切りまでに成し遂げなければならない、ということです。今度は私たちの運動は、出来事によって気を逸らされても、分断されても、燃え尽きても、一掃されてもなりません。今度こそ、私たちは成功しなければなりません。私が言っているのは、銀行を規制し、金持ちに増税することではありません。それらも重要なことではあるとはいえ。

 私が言っているのは、私たちの社会を統治している根本的な価値観を変える、ということです。それは、メディア好みの一つの要求事項(a single media-friendly demand)にぴったり収めるのは難しいし、どういう風に成し遂げればいいのか把握するのも難しいことです。しかし、難しくてもなお緊急を要することなのです。

 私はそれを、この広場で起こっていることに見ているのです。互いに食べ物を与えあい、互いに暖めあい、自由に情報を共有し、無料の医療や「瞑想のクラス」と呼ばれているものを提供し、エンパワーメントの訓練を施すというやり方の中に。私がここで気に入ったサインは、「私はあなたを気にかけている(I care about you)」と言っています。お互いの視線を避けるように人々を訓練する文化――言うなれば「奴らには死なせておけ」の文化――において、これは深遠でラディカルな声明です。

 最後にいくつかの考えを。この偉大な闘争の中で、重要ではないいくつかのことがあります。

  • 私たちが何を着ているのか。

  • 私たちは拳を振り回すのか、それともピース・サインを作るのか。

  • 私たちのより良い世界への理想を、メディアのサウンドバイト[4]に適合させることが可能かどうか。

 そしてここに、重要ないくつかのことがあります。

  • 私たちの勇気。

  • 私たちの倫理的な基準(moral compass)。

  • 私たちがお互いをどのようにとり扱うのか。

 私たちは、経済的にも政治的にも地球上で最も強力な勢力に、喧嘩をふっかけました。それは恐ろしいことです。そしてこの運動が、ますます強力に成長するにつれ、もっと恐ろしいことになるでしょう。そこには小さな目標へと移行する誘惑があることに、常に警戒しておいてください。例えば、この集会であなたの隣に座っている人に対して、のようにです。結局のところ、それは勝つのが容易な闘いなのです。

 そうした誘惑に屈してはなりません。私はくだらないことで言い争うな、とは言いません。しかし今度こそは、これからの長い長い年月のために、私たちが協力して働こうと計画したかのように、お互いをとり扱いましょう。なぜなら待ち受けている課題が、まさにそれを要求するからです。

 この素晴らしい運動を、それが世界で最も重要なことであるかのように取り扱いましょう。なぜなら、実際にそうだからです。本当にそうなのですから。



1. 人間マイクロフォン:人間マイクロフォン(the human microphone)がどういうものかは、10.5のマイケル・ムーアのスピーチを視るとよくわかる。

2. 1%の富裕層:アメリカの1%の富裕層が、どれほど富を独占しているかは、ThinkProgressのこの記事がわかりやすい。

3. 警察の恥ずべき不当な暴力:10.5の「ウォール街を占拠せよ」抗議行動では、警察が催涙ガスや警棒などの直接的な暴力をふるった。RTのこの動画この動画、アルジャジーラ英語版のこの記事などを参照。

4. サウンドバイト:ニュース番組で流される、スピーチやインタビューなどからのごく短い抜粋のこと。



訳者コメント:
 拙い部分が多々あると思われるが、とりあえず投稿。誤訳や誤字脱字などの指摘はこのエントリのコメント欄にてどうぞ。労力と能力の能う限り更新する予定(あくまで予定)。

 一つだけ感想を言えば、「今世界で最も重要なこと」とは、「ウォール街を占拠せよ」運動であるとともに、「私たちの社会を統治している根本的な価値観を変える」こと、逆さまの世界をひっくり返すことだと思われる。

10/10の更新:
 細々とした修正をたくさんと、訂正をいくつか。ちょっとした脚注を追加。小さな修正を行う場合は、更新を記載しない方針。

10/11の更新:
 YouTubeで視聴できたスピーチの動画を踏まえた上で、いくつかの修正と訂正。安定版。

10/13の更新:
 前回参考にしたスピーチの動画より明瞭な新しい動画を参考にしつつ、あらためて訳を見直した。なるべく小さな変更にとどめたかったが、以前に読み切れていなかったところもあり、予想以上の数の手直しになった。とはいえ、前回の更新で定まった形は引き継いでいる。さしあたっての「完成版」。

 明らかなミスなどが見つかった場合などを別として、今後私からは本文には手を加えないつもりでいる。誤訳や誤字脱字などの指摘は引き続き歓迎。後は脚注をもう少し充実させ、参考リンクなどを付け加えたいが、それがいつになるかは保証できない。


訳者謝辞:
 二つの点で、この訳はKatsuaki Sakai(@beyondaki)さんがいなければ、成立していなかった。一つは、私に翻訳をしようと思い立たせてくれたこと、もう一つは、ナオミ・クラインのスピーチの動画を教えてくれたこと。時には誰かのつぶやきが、誰かの行動に結びつくこともある。これからも善き相互作用が起きることを願いつつ、厚くお礼申し上げる。

2012/10/28の追記:
 新しいプロジェクトの一環として方針を変更し、本稿を訳し直した。「ナオミ・クライン - ウォール街を占拠せよ:今世界でもっとも重要なこと [新訳]」という別エントリを参照してほしい。




by BeneVerba | 2011-10-09 17:48 | 翻訳 | Trackback(2) | Comments(8)