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 昨年九月一二日に、文京区本郷にある大月書店本社前で、全国争議団の仲間たちと、全国結集行動の一環として、社前闘争を行ってまいりました。大月書店に対しては事前に、この日に団体交渉申し入れに行くこと、そして、大月書店社長中川進が在社していることを、要求する要請文を送信しておりました。

 ずいぶん遅れた、闘争報告にて、申し訳ありません。

 この日、まず数名の人間で下見に行ったところ、なんとまあご丁寧なことに「団交拒否通知」が、大月書店本社ビルの正面玄関にでかでかと貼ってある始末でした。

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 言葉を交わさないうちから、緊張感が増す中で、私たち、福岡地区合同労働組合の仲間たちや、全国争議団の仲間たちが、シュプレヒコールを上げ、大月書店ビルの入り口に近づこうとすると、玄関のガラス戸を挟んで、社内に数名の人影が現れました。どうやら社員と思しきこの数名と私たちの間で、まずは言葉のやりとりがありました。

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 「団体交渉の申し入れをしたい。中に入れてくれ」「入れることはできません」といったやりとりが、数回にわたって繰り広げられました。玄関の社内部分にたたずむ数名は、「中川進と岩下結は在社しているのか」「そもそもおたくらは大月書店の社員なのか。名前は何というのか」と聞いても、一切何も答えず無言のままでした。

 そこでふと上を見上げると、二階部分にある、正面部分に向いて開いた小さめの窓から、ビデオカメラのみを差し出して、自らの姿を隠しながら私たちを撮影する輩が、いました。さらに、あろうことか、この撮影者は、私たちの「撮影やめろ!」という訴えに反応するように、私たちに対して指で「ファックユー」の仕草を何度もしていました。

 大月書店現編集部長岩下結は、私宛のメールで、自社のことを「伝統的な左翼出版社」と誇っていたのですが、そうであるならば、大月書店の犯した民族差別・思想差別に対して真摯に対応すべきでしょう。しかし、今回の振る舞いは、「伝統的な左翼出版社」にあるまじき、敵対者に対しては何をしても許されるという、倫理も何もあったものではない振る舞いでした。

 また、この社前闘争には、私が福岡地区合同労働組合とフリーターユニオン福岡という、二つの組合に加盟している関係で、フリーター全般労組からも、支援の人が駆けつけてくれました。その人は、「(ファックユーの仕草も含めて)これでは大月書店は、しばき隊と変わらない」という感想を漏らしていました。

 福岡県労働委員会での団交要求は、却下という不当な結果に終わりましたが、大月書店闘争は、志気も高らかに、まだまだ続いていきます。

by BeneVerba | 2015-01-09 23:56 | 労組 | Trackback | Comments(0)
 大月書店の民族差別・思想差別・言論弾圧事件(大月書店が私に働いた仕打ちはこれらの要素を持っています)、及び団交拒否による不当労働行為事件に対し、支持を表明してくださるみなさまに対して、報告いたします。
 
 福岡地区合同労働組合の組合員である私は、福岡県労働委員会において、実質的な団交拒否を続ける大月書店に対して、昨年より不当労働行為に対する救済を申し立てていました。この度、福岡県労働委員会は、私の労働者性を認めず、不当にも救済申し立てを棄却しました。
 
 しかし、重要なのは、今回否定されたのは私の労働者性であって、大月書店が民族差別などを働いたかどうかではない、ということです。
 
 「実質的な団交拒否」というのは、私の居住地も組合の所在地も福岡県であるのにも関わらず、大月書店は、福岡地区合同労働組合からの要求書に対し、あくまでも会社所在地である東京での団交開催に固執し続けたことです。
 
 こうした「実質的な団交拒否」を不誠実団交と言い、労組法では不当労働行為として定めています。
 
 福岡地区合同労働組合は、やはり本社が福岡ではなかったサン・パートナーの係争において、「福岡での団交開催」命令を獲得し、これは中央労働委員会を経て、既に命令が確定しています。
 
 大月書店は、当初、私たちの組合の要求に対して、東京開催という条件付きでしたが、団交には応じると回答書を送っていたのです。しかし、労働委員会に救済申し立てを起こすと態度を翻し、合理的な理由も述べることなく、「撤回する」としました。
 
 団体交渉というのは、使用者の側に対して弱い立場にある労働者が、団結することで交渉力を獲得しようとするものです。ですので、組合が交通費その他を負担して、遠隔地である会社の所在地で団体交渉を開くことは、団体交渉の趣旨から言って、本末転倒なのです。
 
 また、私は、民族的・思想的なアイデンティティを捨てて、大月書店の指示に従うか、それとも、それらのアイデンティティを守って、翻訳契約を失うかという、非常に困難な立場に立たされたのですが、そうした困難は独力では解決できません。
 
 今回の福岡県労働委員会の今回の判断は、不当であると同時に、非常に保守的なものでした。
 
 労働委員会という場では、「労働者性」を判断するに当たって、労働基準法研究会「労働基準法の『労働者』の判断基準について」や労使関係研究会「労働組合法上の労働者性の判断基準について」といった辺りに示された判断基準が、デファクトスタンダードとなっています。
 
 私たちの組合では、「労働者」概念をより広くとった、革新的とも言える川口美貴『労働者概念の再構成』(2012年)を武器として、労働委員会で主張しました。
 
 また、前述のように大月書店事件は、民族差別、思想差別、言論弾圧としての性格も持ち合わせています。この点についても、労働委員会という場ながら、人権の問題として、ある程度は主張することができました。
 
 労働者性を判断する学説が複数あるのだから、それを踏まえて判断されるべきであるとの主張を、労働委員会にて展開したのですが、福岡県労働委員会の命令書には、私たちが特に念入りに述べたこの主張すら、触れられていません。あくまで、従来通りの基準に則った判断を下しました。
 
 それにまた、「労働者性」が争点として挙げられたのは、労働委員会が大月書店側の主張に引きずられたものです。労働委員会は、労組法に「労働者が団結することを擁護」するものとして定められているのだから、その点も不当であると言えます。
 
 大月書店側が、特に私の労働者性に焦点を当てた主張を展開した理由としては、団体交渉となれば、民族差別などが問題とならざるを得ないために、それを回避し、会社のメンツを守るためだと考えられます。
 
 今後の手続きとしては、中央労働委員会に再審査を請求するか、地方裁判所に行政訴訟を起こすかという二つの道があります。
 
 不当な棄却命令が出たところで、今後も闘い抜いていく決意に変わりはありません。それどころか、ますます闘う決意を強くしております。今後とも、ご支持のほどをよろしくお願いいたします。

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by BeneVerba | 2014-08-16 17:43 | お知らせ | Trackback | Comments(0)
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 大月書店不当労働行為事件は、地方労働委員会にて、七月二八日に双方が最終準備書面を提出し、後は判断を仰ぐばかりとなりました。それに先立つ審問においては、大月書店社長中川進に反対尋問を行い、主張の矛盾点を明らかにすることができました。

 例えば、私に民族差別・思想差別を働いた当時の担当編集者岩下結が、翻訳者の訳文に口出しするタイプであることを明らかにできたことなどです。他にも、組合の仲間の質問に答えて、中川が思わず『ウォール街を占拠せよ——はじまりの物語』が売れていたら、私との次の契約もあったと答える場面もありました。

 私が大月書店と争議を構えることにしたのは、お金が目的ではありません。もし、お金が目的だったら、朝鮮民族としてのプライドを捨てて、「反原連批判をやめよ、日の丸批判をやめよ」という岩下の指示に従い、二冊目の契約を得ていたことでしょう。

 しかし現実には、争議を闘い続けて、お金が減る一方なのです。闘いを継続するには、資金が必要です。心苦しくも、私は、皆様方にカンパのお願いをしなければなりません。

 翻訳者が出版社に団体交渉を挑むのは、前代未聞の事態だといわれます。大月書店は当初、私たちの組合の要求書に答えて、付随的な条件こそ違ったものの、団交に応じる旨回答していました。その点を地労委でも訴えたのですが、不本意にも大月書店側の主張を飲む形で、団交拒否(不誠実団交)以外にも、私が労組法上の労働者であるか否かも争点とされました。

 この点を理解するのに、決め手となるのは「労働者」概念です。私たちの組合では、川口美貴『労働者概念の再構成』を参考にして、翻訳者も労働者であると堂々と主張しています。この主張が行政委である労働委員会で認められるなら、労働者の概念を拡張することになると考えています。

 この闘いは、勝ち目が薄くとも闘わざるを得ない闘いであり、負けられない闘いです。八月中にも労働委員会の決定が出るとされています。どんな結果が出ようとも、民族差別を受けたという当初の怒りを寸毫も忘れることなく、闘い続けていきたいと思います。

 何卒、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。


▼カンパのお願い
郵便振替
口座名義:芦原省一
口座記号:01710-5-72665

店名:一七九
預金種目:当座
口座番号:0072665
*ゆうちょ銀行以外から振り込む場合

9/2の追記
 なお、上記の郵便振替口座に振り込まれたカンパは、私が寄付を募りながら活動する「オンライン上の無償の翻訳者」であることもあり、福岡地区合同労働組合とは独立会計ですが、組合に対して収支報告をすることで、公正さを維持いたします。

by BeneVerba | 2014-08-09 11:26 | お知らせ | Trackback | Comments(0)
ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会
担当者様

2014年6月27日
芦原省一
beneverba(at)gmail.com


貴会事務局の岩下結氏について

前略 
 一七日付の朝日新聞報道で、以前大月書店で担当者だった岩下結氏が、貴会において事務局を担っていることを知りました。私は、大月書店に対し加盟する労組を通じて、団体交渉を要求しているものです。
 そもそも、その団体交渉のきっかけとなったのが、岩下氏が私に送った電子メールなのです。長くなりますが一部引用します。

 繰り返しますが、誰かを批判するのをお止めする権利はありません。(友人として悲しいという気持ちはありますが。)しかし一方で、我々にとってはビジネスの問題でもあります。たとえば反原連を支持する論者を批判するのは自由ですが、それが結果的に本が売れる道をいっそう狭くしていることはご自覚ください。

 最初から申し上げているように、この本は、国内でOWSに関心を寄せる方(知識人、といってもいいでしょう)に媒介してもらえない限り、売れる見込みのない本です。…

 そうしたきわどい戦略を顧みず、売れなくても構わない、わかる人だけにわかってもらえればいいということであれば、お止めすることはしませんが、ビジネスパートナーとしての信頼関係もそれまでということになるでしょう。

 ******* は、***さんが訳す予定はないそうです。さっそく***さんに紹介してもらえました。社内で了解が取れしだい近日中にオファーする予定ですが、訳者をお願いするかどうかの判断にあたって最大のネックが上記のような懸念であることはお伝えしておきます。取引材料にするようなつもりはありませんが、個人的にこんな思いは何度もしたくありませんし、会社への責任としてもビジネス上の判断を外すわけにはいきませんから。ビジネスパートナーとしての信頼関係もそれまでということになるでしょう。

 このメールが「誰かを批判するのをお止めする権利はありません」といいつつも、首都圏反原発連合、ひいては日の丸派脱原発の批判をとめるように脅迫していることは明らかです。朝鮮半島にルーツがある私は、これを民族差別としてとらえています。そのような人物が、反レイシズムに取り組んでいるかのように、見なされるのは耐えがたい苦痛です。

 また、岩下氏が事務局長であることは、私に対する二次加害に当たると考えます。それは犯罪者が犯罪予防の活動を行うようなものです。その犯罪者に被害を受けた人はどう思うでしょうか。
それゆえに、次の要求を行います。文書(電子ファイル可)での回答をお待ちしております。

一、岩下結を事務局の任務から解任し、これ以上の二次加害を防ぐこと。
二、会として、岩下結が事務局に就いた経緯を明らかにすること。
三、会として、このような二次加害を防ぐために再発防止を行うこと

草々



by BeneVerba | 2014-06-27 08:54 | 意見 | Trackback | Comments(0)
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 朝日新聞の一七日付け朝刊に次のような記事が掲載された。下記はその一部である。

これでいいのか「嫌中憎韓」/ブームの出版界に疑問の声

 東京都内の出版社の一室で4月下旬、大手から中小まで様々な出版社の社員約20人が議論を交わしていた。他国や他民族への憎悪をあおる言説に出版界の中から歯止めをかけられないか。そんな考えからフェイスブックなどを通じて集まった「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」のメンバーだ。

 会社に秘密で参加している人も多く、今後どのような活動ができるのかはまだ未知数だが、事務局の岩下結さんは「今の状況をおかしいと思っている人が多いことを示したかった。のろしをあげることに意味がある。今後も会合を開き、出版界全体で考える流れを作っていきたい」という。

 この記事中に登場する岩下結とは、大月書店の編集副部長であり、私に「反原連や日の丸を批判するのなら契約はやれない、契約がほしければそれらの批判はやめろ」と脅迫した人物である。自分が民族差別を働いておいて、「荷担しない」も何もないものである。

 しばき隊や仲良くしようぜパレードが問題なのは、一つにそのあり方だが、もう一つ問題なのは、しばき隊や仲良くしようぜ関係者が差別発言をした相手にとっては、差別者がまるでそうではないかのように取り扱われることで、差別の二次加害になっている点である。

 想像してほしい。自分に差別発言ないし差別を働いた人間が、あろうことか「差別と闘う」人間として取り扱われることの苦しみを。

 「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」は、このような人物を入会させるべきではなかったし、まして事務局にすべきではなかったのだ。岩下がなすべきは、厚顔無恥にもこのような会で活動することではなく、まずは私に対する、真摯な謝罪である。


by BeneVerba | 2014-06-27 03:50 | 意見 | Trackback | Comments(0)
 以前のエントリでも書いたように、私は大月書店との仕事を始めるに当たって、自分のエスニックアイデン・ティティを知らせていました。そして、大月書店はそれに一定の理解を示していたのです。また、大月書店は日本軍政奴隷制度(「従軍慰安婦」制度)関連の本も出しており、マイノリティに理解のある版元に思えました。
 なぜマイノリティとの連帯ではなく、右翼の受け入れなのでしょう。ブログやツイッターにも書きましたが、先行きに危ういものを感じます。また、自分の持つ思想から言っても、アイデンティティから言っても、自分の居場所がここにはないと感じます。
 ――芦原メール
 これから必要なのは、差異の尊重が同時に「自分たち」の利益であると素直に思えるようなアイデンティティを、広範に育てていくことのように思います。ベーネさんご自身がそうするかは別にして、やはり在日はじめさまざまな差異をもつ人々が、脱原発運動の中でも声をあげ、それに多数者の側が学んでいくほかはないのでしょう。

 実際、野間さんなども、ベーネさん自身のバックグラウンドを知っていれば、全然違った捉え方をするだろうと想像します。もちろん、そのような人の属性で対応を変えることはあるべきではないし、当事者からの開示がなくてもそのような可能性を考えておくのが、あるべき市民のふるまいなのですが。これは、PC的な最低限のモラルとしてすら多様性への配慮が共有されていない日本の限界だと感じます。
 ――岩下メール
 その後、前回のエントリで紹介したように、私は大月書店の担当編集者から、「反原連を批判するなら契約はやらない」という趣旨の脅しを受けます。私は、大いに悩みはしたものの、契約を失う可能性を承知した上で、「反原連批判をやめよ」という脅しにきっぱり反対しました。なぜなら自らのエスニシティはそれほどかけがえないものだからです。
 反原連批判を止めるつもりはありません。理由の一つとしては、アイデンティティは「中断」することができないものだからです。反原連批判を控えてくれというのは、「しばらくの間存在しないでいてくれ」というのと同じことです。勘違いなされては困るので、もう一つの理由も挙げましょう。それはこれが脱原発運動全体にとって重大な問題であるからです。
 ――芦原メール
 その後、大月書店は私個人の資質を非難するようになっていき、最終的に「翻訳契約はやらない」と言いました。

 反原発デモに日の丸が翻る間だけ、朝鮮半島にルーツがあることを忘れるのは不可能です。そして、日の丸は、反原連的な「右も左もない脱原発」運動によって持ち込まれるようになったものであり、私は実際に反原発デモで、意図せずに日の丸と歩かされるという人生でも最悪の屈辱的な体験をさせられました。自分は思想的にも民族的にも日の丸を否定しているにもかかわらずです。

 大月書店のやったことは人権侵害であり、思想差別であるとともに民族差別(私の仲間の一人の言葉を借りれば、「ぶんなぐられても仕方のないようなこと」)なのです。


関連リンク:
  • 『はじまりの物語』が出版された直後の大月書店からの電子メールの抜粋
  • 寄付のお願い及び大月書店との係争について
  • 株式会社大月書店(サイト外)

  • by BeneVerba | 2014-05-23 11:40 | 意見 | Trackback | Comments(0)
    以下抜粋。

     繰り返しますが、誰かを批判するのをお止めする権利はありません。(友人として悲しいという気持ちはありますが。)しかし一方で、我々にとってはビジネスの問題でもあります。たとえば反原連を支持する論者を批判するのは自由ですが、それが結果的に本が売れる道をいっそう狭くしていることはご自覚ください

     最初から申し上げているように、この本は、国内でOWSに関心を寄せる方(知識人、といってもいいでしょう)に媒介してもらえない限り、売れる見込みのない本です。…

     そうしたきわどい戦略を顧みず、売れなくても構わない、わかる人だけにわかってもらえればいいということであれば、お止めすることはしませんが、ビジネスパートナーとしての信頼関係もそれまでということになるでしょう。

     ******* は、***さんが訳す予定はないそうです。さっそく***さんに紹介してもらえました。社内で了解が取れしだい近日中にオファーする予定ですが、訳者をお願いするかどうかの判断にあたって最大のネックが上記のような懸念であることはお伝えしておきます。取引材料にするようなつもりはありませんが、個人的にこんな思いは何度もしたくありませんし、会社への責任としてもビジネス上の判断を外すわけにはいきませんから。ビジネスパートナーとしての信頼関係もそれまでということになるでしょう

    注:伏せ字や太字での強調は芦原による。

     上述のように、「誰かを批判するのをお止めする権利はありません」とか「取引材料にするようなつもりはありませんが」などと言いながら、実質的には、翻訳契約と引き替えに反原連批判をやめるように取引を要求していることは明らかだろう。また、このブログでは伏せ字にしてある翻訳候補の書名について、「訳者をお願いするかどうかの判断にあたって最大のネックが上記のような懸念である」と言っているという点にも注目されたい。

     換言するならば、大月書店は私が朝鮮半島にルーツを持つことを知った上で、私に、日の丸の持ち込みと右翼との共闘に代表される反原連的なあり方を批判するな、と言いはなったのだ。

     大月書店はまぎれもない民族差別出版社である。


    関連リンク:
  • 寄付のお願い及び大月書店との係争について
  • 株式会社大月書店(サイト外)

  • by BeneVerba | 2014-05-15 22:08 | 意見 | Trackback | Comments(6)
     私は、『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』の翻訳者として起用される以前から、インターネットで寄付を募ることを考えていました。稼ぐためにではなく、インターネットでの翻訳活動を自律したものとして維持するためにです。外国語で書かれた記事を翻訳することは、その記事を読むのに比べて、はるかに多くの時間がかかります。さっと読めるような記事でさえ、いざ日本語に訳してみると結構手間がかかるものです。自分の生活から、翻訳に必要な時間と労力を割いてもよい、と思えるだけの何かが必要でした。

     二〇一一年の一〇月から一一月にかけて、「ウォール街を占拠せよ(OWS)」運動がもっとも慌ただしい展開を見せていた頃に、この運動に関連する文書を立て続けに翻訳しながら、感じていたことが、いくつかありました。そのうちの一つは、この先もこの動きに付き合っていくことになるのだろうということ。もう一つは、翻訳活動が明らかに実生活を犠牲にしているということでした。

     その当時に、ブログなどで書いたりしませんでしたが、翻訳に時間を取られるあまりに、いくつかの大切な案件をしくじっていました。それにまたインターネットで翻訳を公開することには、いくつかの危険も伴っていました。

     人々と共有したいと思う文書を翻訳し公開するのに、インターネットは非常に適したメディアだと思います。しかし、いくらインターネットで広く読まれた翻訳であっても、後で活字による翻訳が現れると、そちらの方が「正典」と見なされかねません。

     また、私が既に翻訳を発表している文書を、他の誰かが別に訳すことになった際に、その人が私の翻訳をこっそり参照しつつ、そのことには言及しなかったとしても、それを防ぐ手だてはありません。以前に、中野真紀子氏がオンラインで発表していた翻訳を、早尾貴紀氏が剽窃したとして、中野氏が抗議したことがありました。インターネットで翻訳を公開することには、無報酬かつ無記名の下訳係として利用される危険性が付きものなのです。

     上述のような理由ゆえに、その後『はじまりの物語』を翻訳することになったのは、喜ばしいことでした。時々翻訳書を出せるのなら、インターネットで世界の社会運動を紹介するという私の仕事を、側面から支えるものになるだろう、と考えたのです。それに加え、『はじまりの物語』を翻訳する中で、OWSについて、また二〇一一年に起きた地球規模の運動について、知見を深めることもできました。


     しかし、やがて暗転がやって来ます。

     『はじまりの物語』の出版後に、次に翻訳する本をどうするかについて、大月書店との間でやりとりがありました。それは友好的かつ前向きなもので、その際に翻訳の候補として数冊の書籍が挙げられていました。しかし、私が、脱原発運動における日の丸の容認などを批判していることについて、大月書店側は否定的な態度を取り始めました。

     大月書店が『はじまりの物語』の翻訳を打診してきたのは、二〇一二年の初頭ですので、私が、それ以前に、ブログなどでそうした傾向を批判してきたことを知っていたはずです。にもかかわらず、最終的には、ある一冊の本の翻訳者として起用することを断られました。

     私が、脱原発運動における日の丸の容認や右翼との共闘に反対するのは、思想的な理由だけに基づくものではありません。もう一つの理由としては、私が韓国籍だった祖父(故人)を持つ日本国籍者として生まれたことが挙げられます。そして、大月書店側には、その両方の理由を伝えていました。私にとって、日の丸は、私のような人々を殺し、犯し、虐げ、支配してきた(そして、今もそうしている)旗です。

     私は、そうした理由に基づき、脱原発運動の中の日の丸は全く容認できないし、批判を控えることはできないと伝えました。ですが、大月書店は私の首都圏反原発連合などへの「罵倒」を問題にし、「出版はビジネス」だとして、先に述べた書籍の翻訳者として私を起用することを拒否したのです。

     日本も批准している「国際人権規約B規約」は、その第二七条において、マイノリティの権利を定めています。また、一九九二年に国連で採択された「マイノリティの権利宣言」では、より全面的にマイノリティの権利が謳われています(日本政府による朝鮮学校の無償化からの適用除外や、今まさに各地方自治体に広がりつつある、朝鮮学校への補助金打ち切りといった差別政策は、こうした権利を侵害するものです)。
    国際人権規約B規約
    第二七条
     種族的、宗教的又は言語的少数民族が存在する国において、当該少数民族に属する者は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。

    マイノリティの権利宣言
    第四条
     マイノリティに属する人々は、個人として、また当該集団の他の成員たちと共同して、いかなる差別もなしに、この宣言に定める権利を含めた、その諸権利を行使することができる。

     マイノリティの権利は保障されており、民族的なアイデンティティを持つことは人権の一つです。私は、国籍としては日本国籍ですが、自分の中にある朝鮮半島とのつながりも、とても大切なものです。

     私は、脱原発運動に携わりつつ、日の丸の容認などの誤った動きに反対してきました。私が、脱原発デモなどに出かける時には、崖から飛び降りるような決意を必要とします。なぜなら、そうした抗議の現場に行くと、必ずと言っていいほど日の丸があり、ほとんど全ての人がそれを容認してしまっているからです。

     脱原発運動における日の丸や右翼を容認することは、「朝鮮人や中国人といったマイノリティよりも、日の丸や右翼の方が大切だ」と宣言しているのに等しいのです。そのような脱原発運動は、解放の場ではなく抑圧の場となっており、言いたいことを言う場であるよりも、はるかに言いたいことが言えない場になっています。現在の脱原発運動は、根深い日本人中心主義に陥っています。

     脱原発デモを妨害するために、在特会や右翼がやって来ますが、デモの中にも日の丸が掲げられるなら、私の居場所はどこにもなくなります。私にとっては、どちらも恐怖の対象ですが、脱原発運動の中に日の丸があることは、後ろから撃たれるようなものです。

     私が、こうして自分のプライバシーの一部(もちろん一部に過ぎません)を、状況に強いられつつも、明らかにすることを決めたのは、私のものであれ、誰のものであれ、マイノリティとしてのアイデンティティを社会が受け入れることは、当たり前のことだと考えるからです。しかし、日本社会は、全くのところ、多様なエスニシティを持った人々や、その他のマイノリティたちが社会の中に存在することを認めていません。そうであるならば、変わらなければならないのは私や私たちではなく、日本社会の方です。そして、私はそれを変えようとしているのです。

     大月書店に対しては、加入している労働組合を通じて、昨年から団体交渉を要求していますが、まだ団交は行われていません。私は、この争議は契約関係を争うのみならず、自らの命と尊厳を賭けた闘いだと認識しています。

     それにまた、この闘いは、現在の日本のファシズム状況との闘いでもあると考えています。非常事態を理由として、脱原発以外の重大な問題が棚上げされてしまい、その脱原発運動においても日の丸や右翼が跋扈し、これまで社会運動を担ってきた側も、それを受け入れてしまっているという状況です。私は、こうした傾向を「下からのショック・ドクトリン」とか「自発的なショック・ドクトリン」と呼んでいます。したがって、私が告発しているのは、大月書店だけではありません。

     寄付を募る目的は、冒頭に述べたように、翻訳活動を持続的に続けてゆける状態を維持することです。しかしながら、もし、みなさんが、寄付という形で私を支援してくれるのなら、翻訳を通して、インターネットで世界の社会運動を紹介していくという活動に対してのみならず、大月書店との争議に対しても、大きな支援となります。

     私の活動を支援していただけるのなら、寄付のご検討をよろしくお願いいたします。


    ▼ 寄付の方法と寄付に対する考えなど

     寄付には二つの方法があります。一つは郵便振替による寄付、もう一つはChari-boという募金代行サービスを使った寄付です。しかし、Chari-boは「システム利用料」として、「最大で20%」をさっ引くとのことなので、郵便振替口座への寄付の方を強くお勧めします。

     寄付は、個別の翻訳ないしは文章ではなく、私の翻訳活動、著述活動の全体に対して寄付されるものとします。また、寄付の際にお寄せいただいた意見があれば、それらを参考にいたしますが、何を翻訳し、何を書くかという判断は私にあるものとします。また、寄付者からお寄せいただいた意見は平等なものと見なし、寄付金の多寡によって、軽重を計ることはしないものとします。

     また、アマゾン・ドット・コム社のアフィリエイトを、導入することにしました。導入については迷いもありましたが、アフィリエイトを採用する側が、商品を選べることなどを考慮して決めました。書籍を購入する際に、利用していただけると助かります。他には、もちろん『ウォール街を占拠せよ――はじまりの物語』を購入することも、私への助けとなります。


    ▼ 郵便振替
    口座名義:芦原省一
    口座記号:01710-5-72665

    店名:一七九
    預金種目:当座
    口座番号:0072665
    *ゆうちょ銀行以外から振り込む場合






    by BeneVerba | 2013-03-31 21:37 | お知らせ | Trackback(1) | Comments(7)