2011年 11月 08日 ( 3 )

 主に自分のためのメモ。これらの翻訳は近日中に再チェックする予定。ただし、日数を取られそうな私事もあり、はっきりとした日付はわからない。なるべく早く、再チェックし訳文を向上させたい。

11/10の追記:
 翻訳のための時間はとれていないが、上記エントリを地道に再チェック中(下から順番にやっている)。既にお気づきかもしれないが、Ollieさんの助けを借りて、ジジェクのアルジャジーラでのインタビューの書き起こしが進行中。以上お知らせまで。

  You might have noticed, by the help of Ollie, transcript of Slavoj Zizek's interview on Al Jazeera English is in progress. FYI. Accomplishment is approaching. It is worth reading. You can join us, if you want to.

by BeneVerba | 2011-11-08 18:41 | 情報 | Trackback | Comments(0)
民主主義は敵である
Democracy is the enemy
2011年10月28日 - スラヴォイ・ジジェク
原文:http://www.lrb.co.uk/blog/2011/10/28/slavoj-zizek/democracy-is-the-enemy/


 アン・アップルバウムがワシントン・ポスト紙に書いているように、ウォール街とセントポール大聖堂の抗議運動は確かに類似している。「その焦点の欠如、その未熟な本質、そして何よりも現存の民主主義体制への関与を拒否することにおいて」。彼女はこう続ける、「タハリール広場のエジプト人とは異なるのは」、「ロンドンとニューヨークの抗議者たちは、開けっぴろげに(そして奇妙なことに)自分たちと彼らを比較しているのだが、私たちには民主主義体制があるということだ」。

 タハリール広場での抗議運動を、西洋流の民主主義を要求する声にまで――アップルバウムがしているように――貶めるならば、勿論ウォール街の抗議運動とエジプトでの出来事を比較することは、奇妙な行為となるだろう。西側世界の抗議者たちは、どうして既に所有しているものを要求できようか?このような見方において彼女が遮断しているのは、グローバルな資本主義体制への全般的な不満が、こちらとあちらでは異なる形態で現れているのではないかという可能性だ。

 「とはいえ、一つの意味において」、と彼女は渋々認めているのだが、「国際的な占拠運動が、妥当な立法的提案を生み出すことに失敗したことは、理解しうる。グローバルな経済危機の原因とその解決策の双方は、その名が示すとおり、地方や国家の政治家の能力の範囲外なのだ」。そして、彼女はこう結論づけることを強いられる。「グローバリゼーションは、明らかに西側の民主主義の正当性を損ないつつある」。これこそまさに、抗議者たちが関心を引こうとしているものだ。そう、グローバルな資本主義が、民主主義を損なっているのだ。論理的に更に推し進めた結論は、いかにして現在の形態を越えて民主主義を拡張するかを我々は考え始めるべきだ、というものになる。複数政党制と国民国家に基づく現在の民主主義の形態は、経済的な活動の破滅的な結果に対処する能力がないことを証明してしまったのだから。しかしながら、アップルバウムは、この推論を進める代わりに、それらの問題を持ち出した抗議者たちを非難する方を選ぶのだ。

 「グローバル」な活動家たちは、注意しなければ、凋落を加速させてしまうだろう。ロンドンの抗議者はこう叫ぶ。「我々に必要なのはプロセスだ!」。しかし、彼らには既にプロセスがあるのだ。それは英国の政治体制と呼ばれるものだ。もし、それをどう使えばいいのかわからないと言うのなら、彼らはそれを更に弱めてしまうだけだろう。


 つまり、アップルバウムの議論は、グローバル経済は民主政治の範囲外にあるのだから、それに対処するために民主主義を拡張しようとするどんな試みも、民主主義の凋落を加速するというものらしい。一体どうしたものであろうか?彼女の見地によれば、それは機能しない政治体制において政治的参加に関与することであるようだ。

 今この時において、反資本主義の批評に不足はない。我々は、企業が無惨にも環境を汚染しているとか、銀行家が彼らの銀行が公的資金で救済される一方で、巨額の賞与を受け取っているとか、目抜き通りのアウトレット店のために、搾取工場で子どもたちが超過労働をさせられているとか、そういった物語を多く浴びせられている。しかしながら、そこには落とし穴がある。それらの仮定となっているのは、そうした行き過ぎに対する闘いは、おなじみのリベラル民主主義の枠内で行われるべきだというものだ。明示的であれ、暗示的であれ、到達点となっているのは、資本主義を民主化することなのだ。そして、グローバルな経済に対応するべく、民主的な支配を拡張することなのだ。メディアに晒されることの圧力、議会の査問、より厳しい法律、警察の捜査といった方法によって。ここで問われないままになっているのは、ブルジョワ民主主義国家の制度的枠組みである。これこそは、最もラディカルな形態の「倫理的反資本主義」運動――ポルトアレグレのフォーラムやシアトルの運動、その他――においてすら、神聖にして犯すべからずものとなっているのだ。

 ここではマルクスの鍵となる洞察が、これまでもそうであったのと同様に、今日においても適切なものであり続ける。政治の分野においては、自由の問題は第一に置かれるべきものであってはならない――つまり、自由選挙、独立した司法、報道の自由、人権の尊重といったことである。本物の自由は、家族から市場まで、「政治に無関心な」社会的諸関係のネットワークの中にあるのだ。改良のために必要な変革が、政治的な改革を意味せず、生産の社会的諸関係の変革を意味する場所においてあるのだ。我々は、誰が何を所有するかに関して投票したりしないし、工場での労働者同士のつながりに関して投票したりしない。そうしたことは政治の分野の外において、押し進められるべく残されているのだ。そして、民主主義を「拡張」することで、そうしたことを変えられるというのは幻想である。人々の管理下に置かれた「民主的な」銀行を設立するというようなものだ。この領域におけるラディカルな変革は、法的権利その他といった民主的な装置の外でなされるべきなのだ。それらは勿論積極的な役割を果たしている。だが、民主的な仕組みというものは、資本の再生産の乱れなき機能を保証するようデザインされた、ブルジョワ国家の装置の一部だということを念頭に置くべきだ。「今日では、最終的な敵の名は資本主義、帝国、搾取などそういった類のものではなく、民主主義である」と言った時、バディウは正しかった。それは「民主的な幻想」なのだ。民主的な仕組みを唯一の妥当な変革のための手段として受け止めることは、資本の諸関係における真の転換の妨げとなる。

 ウォール街の抗議運動は始まったばかりである。だがこのようなやり方でこそ始めるべきである。形式的な拒否の身振りは、積極的な内容よりも重要なのだ。なぜなら、そのような身振りだけが新たな内容を招き入れるための空間を切り開くことができるのだから。したがって、我々は次のような質問によって気を散らされてはならない。「だが、あなたは何を望んでいるのか?」。これはかつてある男性の権威者によって、ヒステリーを患う女性に投げかけられた質問である。「あなたの泣き言や不平は――あなたが本当に何を望んでいるのか、何か考えはありませんか?」。精神分析の用語において、抗議とは、主人を怒らせるためのヒステリックな感情の噴出であり、彼の権威を損なうためのものである。そして、主人の――「だが、あなたは何を望んでいるのか?」という――質問は、言外の意味を隠している。「私の用語法で質問に答えるか、さもなくば黙ってろ!」。今までのところ抗議者たちは、ラカンが1968年に生徒たちに率直に話しかけたような批評に、自らを晒すことを避けることについて、実に上手くやっている。「革命家として、君たちは新しい主人を求めるヒステリー患者である。やがて君たちはそれを得るだろう」。



訳者コメント:
 ジジェクが、LRB blog(London Review of Books)に発表した挑発的かつ誠実な文章。「ウォール街を占拠せよ」での演説ガーディアンでの論説、アルジャジーラ英語版でのインタビューと重なりつつ、ここでは直接的な言葉で反リベラル民主主義の立場が述べられている。彼の語ることには繰り返しが多いとよく言われるが、反復しつつ内容が違ってきているのが興味深い。

 「ウォール街を占拠せよ」運動に冷淡なジャーナリスト(彼女の名前の発音は「アップルバウム」でいいと思う)を、グローバル経済に対応すべく民主主義を拡張するという姿勢がないと、切って捨てる一方で、返す刀で今度はそうした発想を自ら批判して見せる。彼のこうした言葉の有り様をなんと呼べば適切なのだろうか?それは「反語的な(ironic)」とか「逆説的な(paradoxical)」という形容では追いつかないようだ。

 彼が最近よく使う言い方に添って言えば、それは真空(vacuum)を作り出すために、領域(field)を開くために、空間(space)を切り開くために、必要な身振りなのだろう。彼はそうした新たな内容のための新たな領域を切り開こうとしていると同時に、それがありきたりなもので埋められることを警戒している。

 この翻訳は昨日の朝に投稿し、夜に訳文を見直し、今朝に改めてこのコメントを付けているのだが、昨晩訳文を見直した時に、やはりいくつかのミスが見つかった。そうしたミスは訳している時には気付かないものだ。一人で訳し、自ら再チェックするにはどうしても時間をおくことが必要なようだ。ネットの利点を生かし、訳文を向上させていくつもりなので、更新されていないかたまに覗いていただけると幸いだ。

by BeneVerba | 2011-11-08 16:31 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
ニューヨーク市の占拠の宣言
Declaration of the Occupation of New York City
2011年09月29日 - ニューヨーク市総会
原文:http://www.nycga.net/resources/declaration/


 この文書は2011年9月29日に、ニューヨーク市総会によって承認された。


 大規模な不公正への感情を表明するために、連帯し、共に集いし我々は、何ものが我々をここに結集させたのかを見失ってはならない。世界の企業の諸力により、不当な取り扱いを受けたと感じている全ての人民が、我らがあなた方の盟友であると知ることができるよう、これを書き記す。

 一つの人民として、団結し、我々は以下の現実を承認する:人類の未来は、その成員たちの協働を要求すること;我らの体制は、我らの諸権利を守らねばならず、その体制の腐敗においては、自らの諸権利を守ること、また隣人たちの諸権利を守ることが、諸個人の務めとなること;民主的な政府は、その正当な権力を、人民に由来すること。しかし、諸企業は、人民及び地球から富を絞り出すことに、同意を求めたりしないこと;また、経済的な力によって、物事が決定される時には、真の民主主義は達成されないこと。我々は、人民よりも収益を重んじ、正義よりも私利を重んじ、平等よりも抑圧を重んじる諸企業が、我らの政府を運営している時において、あなた方のもとへとやって来た。我々は、我らの権利として、ここに平和的に集い、これらの事実を知らせるものである。

  • 彼らは、原抵当権を所有していないにもかかわらず、違法な差し押さえ手続きにより、我らの住居を奪ってきた。
  • 彼らは、刑罰を受けることもなく、納税者からの救済措置を受けており、重役らへ法外な賞与を与え続けている。
  • 彼らは、職場において、年齢、肌の色、性、ジェンダー・アイデンティティ、性的志向に基づく、不平等と差別を永続化させてきた。
  • 彼らは、怠慢により食糧供給を汚染しており、独占により営農組織を損なってきた。
  • 彼らは、無数の動物たちへの拷問、監禁、非道な仕打ちを利用して収益を上げており、かつ、それらの慣行を積極的に隠匿してきた。
  • 彼らは、継続的に、被雇用者から、より良い賃金とより安全な労働条件を求めて、交渉する権利を奪おうとしてきた。
  • 彼らは、教育それ自体が人権であるにもかかわらず、数万ドルもの教育費を借金として、生徒たちを人質に取ってきた。
  • 彼らは、一貫して労働を外部に委託しており、またそれをレバレッジとして、労働者の医療費と賃金を削減してきた。
  • 彼らは、自らの過失性、有責性を認めることなしに、人民と同じ権利を得るべく、司法に影響を及ぼしてきた。
  • 彼らは、医療保険に関する契約から、免れる方法を見つけるための法律家集団に、数百万ドルを費やしてきた。
  • 彼らは、我らのプライバシーを、商品として売ってきた。
  • 彼らは、言論の自由及び報道の自由を妨げるために、軍事力及び警察力を行使してきた。
  • 彼らは、利益の追求のため、命を危うくするような欠陥商品についても、意図的にリコールを拒否してきた。
  • 彼らは、彼らの経済政策が、破滅的な失敗を生み出し、生み出し続けているにもかかわらず、経済政策を決定している。
  • 彼らは、彼らを規制するべき責任のある政治家らに、莫大な額の寄付を与えてきた。
  • 彼らは、石油に依存させておくために、代替となる他の形態のエネルギーを妨害し続けている。
  • 彼らは、既に相当の利益を上げている投資を守るために、人民の命を救うかもしれない、もしくは、安らぎを提供するかもしれない、ジェネリックな形態の薬品を妨害し続けている。
  • 彼らは、利益を追求するために、石油流出、石油事故、不正経理、非活性成分を故意に隠蔽してきた。
  • 彼らは、意図的にメディアを支配することで、人々に誤情報を与え、怯えさせてきた。
  • 彼らは、有罪であることに重大な疑惑が持ち上がっている時ですら、囚人らを殺す随意契約を受け入れてきた。
  • 彼らは、国内においても、国外においても、植民地主義を永続化させてきた。
  • 彼らは、無辜の海外の市民の拷問及び殺人に、関与してきた。
  • 彼らは、政府から契約を受注するために、大量破壊兵器を作り続けている。*

 世界の人民へ、

 我々、ウォール街リバティ広場を占拠中のニューヨーク市総会は、あなた方の本来の力能を見せるように、強く促すものである。

 あなた方の平和的に集会を行う権利を実行したまえ;公共の空間を占拠し;我らが直面している問題に対処するプロセスを形成し、誰もが近づくことのできる解決策を生み出すのだ。

 直接民主主義の精神において、行動し集団を形成している全ての共同体へ、我々は支持、文書、我らの意のままのあらゆる資源を提供する。

 我らに加わり、共に声を上げよう!

*これらの不満は包括的なものではない。


訳者コメント:
 既に複数の訳があり、自分でも前文を訳したことがある、「ウォール街を占拠せよ」の基本的な文書「ニューヨーク市の占拠の宣言」を改めて訳した。訳に当たっては禁欲的であるように務めた。つまり、原文の持つ意味の上の厳格さを損なわないように、修辞的な技法を極力廃し、日本語に移し替えていった。

 そのような方針で臨んだにもかかわらず、本日の朝にさしあたっての訳文を慌てて投稿し、夜になって訳を見直したところ、副詞の訳し忘れ、成句を誤読したことによる誤訳、時制の誤りなどが見つかり、我ながら呆れている。

 「ウォール街を占拠せよ」は、アメリカの原点への回帰でもあるとの思いから、にわか勉強であることを承知で、岩波文庫の『人権宣言集』と『世界憲法集』を参照したが、やはり付け焼き刃のものとなったかもしれない。

 今回の訳に際してはJNK氏の翻訳を参照させてもらったことを、感謝の念と共に記しておきたい。

by BeneVerba | 2011-11-08 07:27 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)